VirtualBox(ヴァーチャルボックス)

米Oracle Corporationより開発、提供等が行われている、マルチプラットフォームに対応したオープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア(Type 2 ハイパーバイザー)。macOS(Mac OS X)、Windows、Linux、SolarisをホストOSとしての対象プラットフォームとし、カーネルモード(特権モード、スーパーバイザーモード、マスターモード)における各種の命令をハードウェアレベルにてハンドリング可能な CPU仮想化支援「Intel VT-x(Intel Virtualization Technology)」「AMD-V(AMD Virtualization)」をサポートする。

macOS、Windows、Linux、SolarisをホストOSとするオープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア

仮想マシンでは、仮想対称型マルチプロセッシングの「Virtual SMP(Virtual Symmetric Multiprocessing)」に対応する他、バージョンを重ねる毎に対応するコア数や割り当て可能なRAM容量、VRAM(Video RAM)容量等をスケーラブルに拡張している。

また、Seamless(シームレス)モード、マウス統合、共有フォルダー、クリップボード共有、コピーアンドペースト、ドラッグアンドドロップ等の実装等により、ホストOSOS、ゲスト間におけるシームレスな連携を実現している他、OTN(​Oracle Tech Network)におけるプリビルドされた仮想アプライアンスの提供(Pre-Built Developer VMs(for Oracle VM VirtualBox))や「OCI(Oracle Cloud Infrastructure)」との統合等、仮想化ソリューションにおける有力ベンダーならではの種々のメリットも特徴の一つとして挙げられる。

機能面においては、サスペンドや共有フォルダー、任意の状態に保存された仮想マシンを任意のタイミングにて復元可能なスナップショット等を実装しており、スナップショットは 複数世代のノードを作成可能なマルチスナップショットとして実装され、「Snapshot Manager(スナップショットマネージャ)」を用いたマネジメントに対応している。

また、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)を通じて機能拡張にも対応しており、開発元から提供されているVRDP(VirtualBox Remote Desktop Protocol)機能を追加する事によって、ゲストOSに対するリモートデスクトップクライアントからのリモート接続にも対応している(Remote Display(リモートディスプレイ)機能を利用する事によって、標準ではリモートデスクトップにおける接続先として利用する事のできない「Windows XP Home Edition」等に対するリモートアクセスも可能となる)。また、コミュニティからの貢献等により、日本語含む複数言語に対応したローカライズ、及び日本語キーボードのサポート等も行われている。

また、ゲストOS拡張機能として「Guest Additions」と称されるドライバーソフトウェアが提供されており、同ソフトウェアをインストールする事によって、継続利用可能な永続的な共有フォルダー、仮想マシン終了時に設定がクリアされる一時的な共有フォルダー、シームレスなカーソルの移動を実現するマウス統合、仮想グラフィックスカードに対応したグラフィックスドライバー、タイムシンクロナイズ、及びホストOSにおけるウインドウであるかの如くに、ゲストOSにおけるそれらをハンドリング可能とする「Seamless(シームレス)」モード等ゲストOSに対して各種の機能を追加する事ができる(この機能は、「Parallels Desktop for Mac」における「Coherence(コヒーレンス)」モード、「VMware Fusion」における「Unity(ユニティ)」モードに相当する)。尚、独国時間2007年9月3日付にてリリースされた「InnoTek VirtualBox 1.5 for Windows/Linux」において初めて実装された「Seamless(シームレス)」モードは、当該時点においてMac OS Xベースの仮想化ソフトウェア以外では初の実装となった。

企業買収に伴う開発元の変遷

開発当初は、米Connectixと共同でOS/2版「Virtual PC」の開発等も手掛けていた独InnoTek GmbHにより、「QEMU」「Qt」「COM/XPCOM API」等の各種オープンソーステクノロジーをベースとした開発が行われ、ダイナミックリコンパイラーには「QEMU」の成果物が採用されていた。

2007年1月25日付にて、Windows、Linuxをホストとし、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠した「InnoTek VirtualBox 1.3.2」がイニシャルリリースとして公開され、個人利用、評価目的に限り無償にて利用可能とした。

「Sun xVM VirtualBox」としてリブランドされ、Mac OS X、SolarisホストがGA版に

2008年の上半期に実施された米Sun Microsystemsによる買収に伴い、「Sun xVM」ラインナップの一部としてリブランドされ、米国時間2008年5月2日付にてリリースされた「Sun xVM VirtualBox 1.6」より、Mac OS Xホスト、Solaris(OpenSolaris)ホストがGA版としてリリースされる事となる。

「Sun xVM VirtualBox 1.6.0」では、Linux、OpenSolaris(何れもゲストOS)において「Seamless(シームレス)」モードが利用可能となった他、Solaris(ゲストOS)を対象としたゲストOS拡張機能「Guest Additions」の提供が開始された。

また、この間の米国時間2008年5月29日には、初版のリリース以来約18ヶ月間にて、ダウンロード件数が500万件を突破した旨がプレスリリースを通じてアナウンスされている。