「Ubuntu 22.04 LTS」を「VMware Fusion 12」にインストール

CanonicalによるLinuxディストリビューション「Ubuntu 22.04 LTS(開発コードネーム「Jammy Jellyfish」)」が、現地時間2022年4月21日付にてGAリリースを迎え、現在Ubuntu Foundationによる公式ダウンロードページを通じて、x86-64(AMD64)を対象としたisoイメージが入手可能となっています。今回は、同オペレーティングシステムを macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Fusion 12」にゲストOSとしてインストールしてみましたので、そのプロセス等を簡単に纏めてみたいと思います。

ゲストOSのタイプとして「Ubuntu 64-bit」を選択し、仮想マシンに対して2プロセッサー、2GBメモリーを割り当て

「VMware Fusion」には、「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」におけるプロセスの一部に、Linux(ゲストOS)を対象とした自動インストール機能「Linux Easy Install(Linux簡易インストール)」オプションが実装されていますが、当ポストでは インストーラーを通じたマニュアルインストールを実践しています。

仮想マシン作成時のゲストOSのタイプは「Ubuntu 64-bit」を選択し、ホストシステムとのバランスを考慮しながら 仮想マシンにプロセッサーとメモリーを割り当て、ダウンロードしたISOファイルから仮想マシンを起動します(使用条件にもよりますが、仮想マシンには 2プロセッサー、2GBメモリーは割り当てたいところです)。

ゲストOSタイプは「Ubuntu 64-bit」
ゲストOSのタイプとして「Ubuntu 64-bit」を選択

「Ubuntu」では、Live CDを そのままインストールCDとして使用する事が可能となっており、ウィザードに従って インストールオプションやタイムゾーン指定、キーボードレイアウトの選択、及びアカウント設定等を行っていく事となります(タイムゾーン指定以降の設定は、インストールプロセスにおいてファイルコピーと並行して行われる事となります)。

インストールオプションは「Minimal installation(最小インストール)」構成を選択

インストール時のオプションは、「Ubuntu 18.04 LTS(Bionic Beaver)」より新たに追加された「Minimal installation(最小インストール)」構成を選択しています。このオプションは、インストール時に Webブラウザー(Firefox)と基本ユーティリティのみをインストールする事によって、ディスク使用量の低減やアップデート時間の短縮等に貢献します(初期状態でインストールされないアプリケーションには、メールクライアントの「Thunderbird」、オフィススイートの「LibreOffice」、メディアプレーヤの「Rhythmbox」、ラスターグラフィックスソフトウェアの「GIMP」等が含まれます)。

「Ubuntu 18.04」の最小インストール
↑「Ubuntu 18.04 LTS(Bionic Beaver)」より新たに追加され、Webブラウザーと基本ユーティリティのみをインストールする「Minimal installation(最小インストール)」構成

「open-vm-tools」は、Ubuntuと共に自動インストール

「VMware Fusion 11.5」は、米国時間2022年3月10日付にてリリースされた「VMware Fusion 12.2.3(現行GA版)」の段階において「Ubuntu 22.04」をゲストOSとして正式にサポートしていませんが、ゲストOS拡張機能「VMware Tools」のオープンソース実装「open-vm-tools」をカーネルモジュールとして組み込む事が可能です。

「VMware Fusion.app」には、Linux(ゲストOS)に向けた「VMware Tools」も同梱されていますが、VMwareからは 各OSベンダー、OSコミュニティから提供されている「open-vm-tools」を利用した運用が推奨されています(同社によるサポートポリシーでは、認定されたオペレーティングシステムでの使用を目的として、各OSベンダー、OSコミュニティから配布される「open-vm-tools」は、完全にサポートされるとの事です)。尚、Ubuntuのリポジトリーでは、「Ubuntu 14.04 LTS(Trusty Tahr)」以降において「main」に含まれています(「Ubuntu 13.10(Saucy Salamander)」以前では「multiverse」)。

「open-vm-tools」は、パッケージ管理システム「APT(Advanced Packaging Tool)」を通じてインストールする事が可能となっており、「Ubuntu 18.04 LTS(Bionic Beaver)」以降では インストール時における「Updates and other software(アップデートと他のソフトウェア)」ステップにて「Download updates while installing Ubuntu(Ubuntuのインストール中にアップデートをダウンロードする)」を選択すると、インストール時に「open-vm-tools」が自動的にダウンロードされ、そのままインストールされる事となります。

※上記の機能は、インターネットに接続された(オンライン環境での)VMware仮想マシンへのインストールが前提となります。

何れかの理由でインターネット接続環境が用意できない場合には、同梱されている「VMware Tools」を手動でインストールする事となりますが、この場合には マウントされたイメージファイルに含まれているtarボール(VMwareTools-xx-xx.tar.gz)を展開した後に、コマンドラインを通じてインストールスクリプト(~/vmware-tools-distrib/vmware-install.pl)を実行する必要があります(要管理者権限)。尚、ゲストOS拡張機能がインストールされていない状態でも、準仮想化デバイスのフレームワーク「virtio(virtio-gpu)」のサポートによって、マウスシンクロナイズは ゲストOS拡張機能のインストールを伴わずして利用する事が可能となっています。

※ゲストOS拡張機能をインストールする事によって、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション(フルスクリーンモードを含む)、ゲストOS、ホストOS間におけるテキストのコピーアンドペースト、ファイルのドラッグアンドドロップ等の諸機能が利用可能となります。

Dockのパネルモードをオフにして、macOSライクな外観に。アイコンは右下から配置され、アクセントカラーも指定可能

Ubuntuでは、英国時間2017年10月19日付にてリリースされた「Ubuntu 17.10(Artful Aardvark)」より、デフォルトのデスクトップセッションとして、Canonicalによる「Unity」シェルに代わり「GNOME」シェルが採用されています。これはアップストリームのGNOMEに、テーマのカラーリングや「Ubuntu Dock」の採用等、独自のカスタマイズを加えたものとなり、「Ubuntu」セッションとして登録されています(Unityで見られた Mac OS Xライクなグローバルメニューは採用されておらず、各種のコントロールボタンは ウインドウの右上部に配置されています)。

「Ubuntu 18.10(Cosmic Cuttlefish)」以降では、この「Ubuntu」セッションに対するデフォルトのテーマとして、コミュニティの主導によって開発された「Yaru(Communitheme)」が採用されています。ヴィヴィットなカラーリングを伴う同テーマの名称は、日本語の「やる」に由来しており、当版より、事前に用意されたパレットから アクセントカラーを任意に指定する事が可能となっています(パッケージ管理システム「APT(Advanced Packaging Tool)」から「gnome-session」「vanilla-gnome-desktop」をインストールする事によって、「Ubuntu GNOME」で採用されていた プレーンなGNOMEの環境を利用する事も可能となっています)。

また、この度リリースされた「Ubuntu 22.04」では、インターフェイスのカスタマイズ範囲が拡張されました。Dockのパネルモードをオフにして、macOSライクな外観を選択する事が可能となった他、デフォルトにてスクリーンの左に配置されているDockとの兼ね合いから、デスクトップにおけるアイコン配置のデフォルトの開始位置が、左上から右下に変更されています(何れも、「Settings(設定)」>「Appearance(外観)」を通じて任意に変更可能)。

「Ubuntu 22.04」のデスクトップ
↑「Ubuntu 22.04」におけるカスタマイズされたデスクトップ。Dockのパネルモードをオフにして、アクセントカラーを変更。「Ubuntu 22.04(Jammy Jellyfish、ゲストOS)」on「VMware Fusion 12.2.3 Pro Build 19436697」on「macOS Monterey 12.3.1(ホストOS)」

Linuxカーネル、公式フレーバー、日本語 Remix

GAリリース時において「Linux Kernel 5.15.0」「X.Org Server 21.1.3」を実装する Ver. 20.04では、当エントリにて紹介しているGNOME版の他に、デスクトップ環境、パッケージ構成等の異なる公式フレーバーとして、「Kubuntu 22.04(KDE Plasma)」「Xubuntu 22.04(Xfce)」「Lubuntu 22.04(LXQt) 」「Ubuntu MATE 22.04(MATE)」「Ubuntu Budgie 22.04(budgie-desktop)」等も併せてリリースされています(「Ubuntu Budgie(旧budgie-remix)」は、英国時間2017年4月13日付にてリリースされたVer. 17.04(Zesty Zapus)より、新たに公式フレーバーとして採用されています。また、Lubuntuでは Ver. 18.10より、デスクトップ環境が LXDEからLXQtに変更されています)。

2年に1度のLTS(Long Term Support、長期サポート)としてリリースされている当版では、2027年4月までの5年間のサポート期間が設けられています。