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仮想ネットワークにおいて、ジャンボフレームをサポート
Dell TechnologiesグループのVMwareより米国時間2019年9月19日、Windows/Linuxベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Workstation Pro」のアップデートリリースに相当する「VMware Workstation 15.5.0 Pro Build 14665864(GA版)」がリリースされ、現在VMwareによる公式ダウンロードページを通じて、Windows、Linuxを対象とした、日本語含む複数言語リソースを包含する マルチリンガル版のバイナリパッケージが入手可能となっています(Windows版(.exe)約541.05MB、Linux 64bit版(.bundle)約510.63.0MB。Ver. 15からは、無償にてアップデート可能となっている他、Ver. 12、Ver. 14からは、アップデートライセンスにて更新可能となっています)。
米国時間2019年6月17日よりテストリリース(プライベートベータ「Workstation 2019 TP」)が開始され、事前にプライベートカンファレンス「VMworld 2019」において、Michael Roy、Zongmin Li両氏によって「VMware Fusion 11.5」と共に発表されていたていた当版では、一連のテストリリース(「June Technology Preview 1 Build 1420551」~「June Technology Preview 1 Build 1420551」)を通じた主な特徴として、以下の項目等が示されています(「15.1.0 Build 13591040」からの主な変更点となります)。
- サポート対象オペレーティングシステムの追加。Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 10 19H2(Version 1909)」をゲストOSとしてサポート。「New Virtual Machine Wizzard(新規仮想マシンウィザード)」において、同オペレーティングシステムのISOイメージを正確に認識し、自動インストール機能「Windows Easy Install(Windows簡易インストール)」オプション、共有フォルダ、Unity(ユニティ)モード等の諸機能を利用可能に
- 新たに「Debian 9.11」「Debian 10(buster)」「Debian 10.1」「Oracle Linux 8.0」「SLE 15 SP 1(SUSE Linux Enterprise 15 Service Pack 1)」「FreeBSD 12.0」「Project Photon OS 3.0」をゲストOSとしてサポート。プリコンパイルされたカーネルモジュールを伴う ゲストOS拡張機能「VMware Tools」が同梱され、自動インストール機能「Linux Easy Install(Linux簡易インストール)」オプション、共有フォルダ、ダイナミックレゾリューション等の諸機能を利用可能に
- ネットワーク関連の改善。Pro版において、新たにJumbo Frame(ジャンボフレーム)をサポートし、仮想ネットワークのMTU(Maximum Transmission Unit、最大送信単位)サイズを 最大で9,000バイトまで構成可能に
- ネットワーク構成の保持。メジャーアップグレード後に、カスタマイズされたネットワーク設定が保持されるべくした改善を適用。 また、共有可能なテキストファイルにて、煩雑なネットワーク構成もインポート、エクスポート可能に
- 複数のディスプレイショートカットキー。新たなキーボードショートカットにて、仮想マシンのディスプレイレイアウトを迅速に調整可能に(「Ctrl」+「Shift」+「M」を押下すると、トポロジーチューザーが表示されるので、そこで対応するレイアウトの番号を入力する)
- 新たに、PVSCSI(Paravirtual SCSI、準仮想化)ディスクアダプタタイプをサポート。VMware Workstation、VMware vSphere間の仮想マシンのマイグレート時における互換性を向上(仮想マシンのインポート時に、エラーメッセージ(Invalid target disk adapter type: pvscsi)が表示されていた問題を修正し、PVSCSIデバイスのサポートの改善、vSphere仮想ハードウェアとの互換性の向上等に貢献)
- Minikube、及びdocker-machine-driver-vmwareを通じて、ローカルKubernetesクラスタをサポート
- Linuxゲストに向けたゲストOS拡張機能のデフォルトを、「VMware Tools」から「Open VM Tools」に変更
- UAF(Use After Free、UAF)、DoS攻撃(Denial of Service attack)の脆弱性を修正(The Common Vulnerabilities and Exposures project(cve.mitre.org)は「CVE-2019-5527(use-after-free)」「CVE-2019-5535(denial-of-service)」、VMwareセキュリティアドバイザリは「VMSA-2019-0014(Important)」の共通脆弱性識別子を各々割り当て)
- DLL(Dynamic Link Library、動的リンクライブラリ)の読み込みに関連した、セキュリティ関連の改善を実装(SafeBreachのPeleg Hadar氏による提案)
- 仮想マシンのインストールウィザードの実行中に SVGA設定を変更された場合に、未知のエラーが発生していた問題を修正
- 仮想マシンの作成中に、「Customize Hardware…(カスタマイズハードウェア…)」 ウインドウにおいてディスプレイ設定を変更して保存した後に、未知のエラーが発生していた問題を修正
- ゲストOSとして「Fedora 30」がインストールされた仮想マシンを作成してパワーオンにした場合に、適切に起動する事ができず、長時間に渡ってブラックスクリーンが表示されていた問題を修正(「kernel-5.1.8-300.fc30」以降において修正され、カーネルをコミット)。起動で行き詰まり、カーネルパッケージのアップグレードを実行する事ができない場合には、起動時にGrubを編集して、正常に起動するようにrhgbオプションを削除する(起動後に、カーネルのアップグレードを実行する)
- 「Ubuntu 18.04 LTS(Bionic Beaver、ホストOS)」において 非デフォルトキーボードレイアウトが選択されている場合に、Windows(ゲストOS)において スクロール動作が不安定になっていた問題を修正(この問題では、「Start(スタート)」メニュー等の一部のスクロール可能なペインにおいてマウスを動かした場合に、当該画面がランダムに上下にスクロールされていた)
- 「Windows 10 19H1(Version 1903、ホストOS)」上で実行しているWindows(ゲストOS)において、バッテリーステータスが適切に報告されていなかった問題を修正(ラップトップコンピューターが電源に接続されていても、ステータスバーにおけるバッテリーアイコンは赤のままで、充電されていないとレポートされていた)
- マルチディスプレイのショートカットキー。新たに実装されたショートカットキーにて、仮想マシンのディスプレイレイアウトを迅速に調整可能に
- Linux(ゲストOS)に向けたデフォルトのゲストOS拡張機能を、「VMware Tools」から「open-vm-tools」に変更
- 「New Virtual Machine Wizard(新規仮想マシンウィザード)」を通じて仮想マシンを作成している最中に「Customize Hardware(ハードウェアのカスタマイズ)」ウインドウにいおいて表示設定(SVGA設定)を変更し、その後に構成を保存した場合に、未知のエラーが発生するケースが確認されていた問題を修正
- 「Fedora 30(ゲストOS)」を適切に起動する事ができず、長時間に渡って ブラックスクリーンが表示されるケースが確認されていた問題を修正(「kernel-5.1.8-300.fc30」以降のカーネルをコミット。起動時にスタックし、カーネルパッケージのアップグレードを実行する事ができない場合には、起動中にGNU GRUB(GRand Unified Bootloader)を編集し、rhgbオプションを削除する事によって、正常に起動する。起動後に、カーネルのアップグレードを実行する)
- 全般的な安定性、パフォーマンス、アプリケーション互換性を改善
- And many others…
当版では、新規仮想マシン作成時におけるデフォルトの仮想ハードウェアのバージョン(Ver. 16)に、Ver. 11.1からの変更はありません(virtualHW.version = “16”)。仮想マシンのハードウェアバージョンは、セッティングエディタを通じたGUIにて確認可能となっています(「Other(その他)」>「Compatibility(互換性)」)。
その他にもVMwareからは、同日付にてデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Workstation Player(旧VMware Player)」のアップグレードリリースに相当する「VMware Workstation 15.5.0 Player Build 14665864」もリリースされています。
Microsoftによるハイパーバイザプラットフォーム(Hyper-V)とのコラボレーションについて(One More Thing…)
「VMworld 2019」におけるプレゼンテーションの締め括りには「One More Thing…」が用意され、Microsoft Windows Hypervisor Platformのプロダクトマネージャを務めるBen Armstrong氏が、長期に渡って取り組んでいるコラボレーションの成果を発表するためにステージに登壇しました。
この1年間に、VMwareのホステッドUIチームとMicrosoft Windows Hypervisor Platformエンジニアリングチームは緊密に協力して、VMware Workstationと(有効化された)Hyper-Vサービスが、「Windows 10(ホストOS)」において共存する事を可能としました。