「macOS Sequoia」と「Parallels Desktop 19 for Mac」

オンラインで開催された世界開発者会議「WWDC 2024(Worldwide Developers Conference 2024)」において「iOS 18」「iPadOS 18」等と共に発表され、生成モデルを齎すパーソナルAI(Artificial Intelligence)システム「Apple Intelligence」、iPhoneのスクリーンをmacOSにミラーリングにて表示し、ダイレクトに操作可能とする「iPhone Mirroring(iPhoneミラーリング)」の実装等が予定されている、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Sequoia(macOS 15)」ですが、米国時間2024年7月8日付にて公開されたParallelsによるサポートドキュメント(公式ナレッジベース)を通じて、同OSのBeta版(プライベートベータ)と「Parallels Desktop 19 for Mac(ホストOS、ゲストOS)」との互換性の現状に関して言及がなされていますので、その内容等を簡単に纏めてみたいと思います。

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「macOS Sequoia Beta」をホストOS、ゲストOSとした互換性の現状を報告

「Parallels Desktop 19 for Mac」は、米国時間2024年6月27日付にてリリースされた「Parallels Desktop 19.4.1(現行GA版)」の段階において、「macOS Sequoia Beta」をプライマリーOS(ホストOS)、ゲストOSとして正式にサポートしていません。プライマリーOS(ホストOS)としたプラットフォームで実行する事、及びゲストOSとして実行する事は可能ではあるものの、幾つかの問題点が確認されていると伝えられており、互換性の現状が以下の通りに纏められています。

「macOS Sequoia(macOS 15、Seed)」をプライマリーOS(ホストOS)として使用する場合

「macOS Sequoia(macOS 15)」の「Finder」から「RHEL 9.4(Red Hat Enterprise Linux 9.4、ゲストOS)」に向けて、特殊な名称が付されたファイルをドラッグアンドドロップする事ができない

現時点で回避方法はありません(調査中です)。

Windows(ゲストOS)を起動した際に、「Parallels Desktop」がApple Musicフォルダーへのへのアクセスを要求する

現時点で回避方法はありません(調査中です)。

macOSの旧版から「macOS Sequoia(macOS 15)」にアップグレードした後に、サスペンドされた仮想マシンをレジュームする事ができない

macOS(ホストOS)のDockからGUIクライアント(Parallels Desktop.app)を終了し、再び起動し直してください。

「macOS Sequoia(macOS 15)」がインストールされたホストコンピューター(Mac)にオートデプロイ(自動展開)パッケージを使用して「Parallels Desktop for Mac」をインストールする事ができない

現時点で回避方法はありません(調査中です)。Parallelsのサポートにコンタクトして下さい。

ライセンス管理(「Parallels Desktop」>「Account & License(アカウントとライセンス)」)等のダイアログウインドウを開いた際に、GUIクライアント(Parallels Desktop.app)のユーザーインターフェイスがランダムにクラッシュする

現時点で回避方法はありません(調査中です)。Parallelsのサポートにコンタクトして下さい。

「macOS Sequoia(macOS 15、Seed)」をゲストOSとして使用する場合

ゲストOS拡張機能「Parallels Tools」をインストールした後に、「macOS Sequoia Beta 1(macOS 15)」がインストールされた仮想マシンが起動しない

「macOS Sequoia Beta 2(macOS 15)」において修正されました。同版以降にアップデートして下さい。

Apple SiliconホストにおけるmacOS(ゲストOS)において、「iCloud」にサインインする事ができない

「macOS Sequoia Beta 3(macOS 15)」において修正されました。ホストOS、ゲストOSの双方を同版にアップデートして下さい。

Apple SiliconホストにおけるmacOS(ゲストOS)において、「App Store」「Xcode」にサインインする事ができない

Appleのフレームワークによる制限に起因するため、現時点では想定内の動作と言えます。

「macOS Sequoia(macOS 15、ホストOS)」で作成された「macOS Sequoia(macOS 15、ゲストOS)」を「macOS Sonoma(macOS 14、ホストOS)」に移動して起動すると、「Cannot create hardware model(ハードウェア モデルを作成できません)」エラーが発生し、「macOS Sequoia(macOS 15、ゲストOS)」が起動しない

これは、Appleにとっての想定内の動作です。「macOS Sequoia(macOS 15、ホストOS)」にて作成され、「macOS Sonoma(macOS 14、ホストOS)」環境に移行した「macOS Sonoma(macOS 14)」は、「AVF(Apple Virtualization.framework)」における新たな実装を認識しません。「macOS Sonoma(macOS 14、ホストOS)」において「macOS Sequoia(macOS 15、ゲストOS)」を実行する必要が生じた場合には、「macOS Sequoia(ゲストOS)」の作成方法を参照して、新規に仮想マシンを作成してください。

「macOS Sequoia(macOS 15、ゲストOS)」の初回起動時に、ダイナミックウォールペーパー(動的壁紙)に不具合が生じる(Intelホストにおいてのみ発生し得る問題)

デフォルトのダイナミックウォールペーパー(動的壁紙)は、ゲストOS拡張機能「Parallels Tools」をインストール(「Actions」>「Install Parallels Tools」)する事によって有効化される仮想GPUを必要とする。

尚、macOS(ホストOS)においてアクティブなVPN(Virtual Private Network)接続がある環境では、仮想マシンがネットワークアクセスを失う可能性があります。その場合には仮想マシンをシャットダウンし、「Virtual Machine Configuration(仮想マシン構成)」>「Hardware(ハードウェア)」>「Network(ネットワーク)」>「Source(ソース)」から、ネットワークモードを「Bridged Network(ブリッジネットワーク)」に切り替える事によって、当該の問題を回避する事ができます。

「macOS Sequoia(macOS 15、Seed)」をゲストOSとしてインストールする方法

Parallelsからは、米国時間2024年6月11日付にて公開された公式ブログを通じて、「macOS Sequoia(macOS 15)」をゲストOSとしてインストールする方法も紹介されています。

Apple Developerから最新の「Xcode Beta Tools」と「macOS Sequoia(macOS 15)」のBeta版をダウンロードした後は、通常のmacOS(ゲストOS)と同様のプロセスにてインストールする事が可能となっており、ゲストOS拡張機能「Parallels Tools」をインストールする事も可能となっています。

「macOS Sequoia(macOS 15)」のGAリリースに併せて、フルサポート(完全対応)を目指す

冒頭にリンクを示したナレッジベースドキュメントは、状況に応じて更新される可能性があるとの事です。また、シニアプロダクトマネージャーのKurt Schmucker氏が率いるParallelsエンジニアリングチームは、安定した信頼性の高いユーザーエクスペリエンスを実現するために「Parallels Desktop for Mac」と「macOS Sequoia(macOS 15)」のテストを継続しており、特に、両者の間で生じた互換性問題、パフォーマンス上の懸念、或いは潜在的な競合を特定する事に注力しているとの事です。

Parallelsが定めた目標は、「Parallels Desktop for Mac」と「macOS Sequoia(macOS 15)」の完全な互換性を確保する事と定められており、問題があれば速やかに対処しつつ、必要なアップデートを迅速に提供して、「macOS Sequoia(macOS 15)」のGAリリース後、すぐに対応版(Parallels Desktop 20 for Mac)を提供する事ができるよう、開発に取り組んでいると伝えられています。