「VirtualBox 7.0 Beta 1」リリース、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)ホストを初期サポート

Oracle Corporationより米国時間2022年8月25日、開発過程にある次世代デスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox 7.0」の最新プレビュー版に相当する「Oracle VM VirtualBox 7.0.0 Beta 1 Build 153351(VirtualBox 7.1.0 Test Release 1)」がリリースされ、現在コミュニティサイトを通じて、macOS、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

Guest Additions(Linux)の自動更新に対応

次世代版のテスト、評価等を主目的としたプレビュー版として位置付けられている当版では、機能の追加、パフォーマンス改善等が行われており、主な特徴として、以下の項目等が示されています(「VirtualBox 6.1.36」からの主な変更点となります)。

  • macOSホストにおいて、従来までのIntelアーキテクチャーとは別に、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)に対応したビルドを初期サポート。これは、「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供される
  • macOSホストにおいて、従来まで使用していたKernel Extension(カーネル拡張)に基づく謹製のハイパーバイザーから、Appleによるビルトインの「Hypervisor.framework」に切り替え(Apple HVの公式ドキュメントは非常に簡素化されており、Apple Siliconへの対応も含めて 多くの推測に基づく作業が要されているため、当該のエリアには多数のバグが存在する可能性があるとの事)
  • 仮想マシン全体を完全に暗号化可能に(現時点でGUIは提供されておらず、CLI(Command Line Interface、コマンドラインインターフェイス)に限定した対応)。Ver. 6.1までは仮想ディスク(ディスクイメージ)のみの暗号化に止まっていたが、当版では 仮想マシン構成、NVRAM、及び各種のログも暗号化可能に(この機能は、「PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)」のみで提供される)
  • オーディオレコーディングの改善。ロイヤリティフリーな動画のコンテナーフォーマット「WebM」を対象としたデフォルトのオーディオフォーマットとして、Xiph.orgによるオープンフォーマットの非可逆圧縮音声ファイルフォーマット「Vorbis」を採用。これに伴い、Ver. 6.1まで使用していた「Opus」の実装を廃止
  • オーディオドライバーを明示的に変更する事なく、異なるプラットフォーム間で仮想マシン (仮想アプライアンス) を移動する事ができるように、デフォルトのホストドライバータイプを追加。デフォルトドライバーを選択した場合には、プラットフォームに対して最適なオーディオバックエンドオプションが使用されるべくした改善を適用(この機能は、新規に作成された仮想マシンではデフォルトの機能となる)
  • ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。「Guest Additions(Linux)」を対象として、自動更新を初期サポート
  • ゲストコントロールの改善。コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」を介してGuest Additionsをアップデートする場合に、ゲストOSを待機、及び(或いは)再起動するための機能を実装
  • ゲストコントロールの「waitrunlevel」サブコマンドを追加して、ゲストOSが特定の実行レベルに達するまで待機する事が可能となった
  • Windowsホストを対象として、ユーザーがログインしていない場合においても、仮想マシンを実行する事が可能となるように、セッション 0において自動起動された仮想マシンを実行するための試験的なサポートを追加(この機能はデフォルトでは無効化されているため、利用に際してはマニュアルを参照)
  • セキュリティ関連の改善。EFI(Extensible Firmware Interface)がCLIを使用してセキュアブートを構成可能に(Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 11(ゲストOS)」においては、「Virtual TPM(Virtual Trusted Platform Module、仮想TPM)」チップと同様にデフォルトにて有効化)
  • MicrosoftによるマルチメディアAPI「DirectX」のVulkan実装であるDXVKをベースとして、3Dグラフィックスを完全に再構築(Vulkanトランスレーション)
  • VirtualBoxハイパーバイザー/デバッガーが実験的なGDB(Gnu DeBugger)スタブを提供し、システムレベルの開発者がGDBを使用して、コードをデバッグ可能に(直ぐに構成するためには、CFGMのエクストラデータが必要)
  • GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))を大幅に刷新し、新たにダークモードをサポート
  • And many others…

上記のリストは、公式から発せられたChange Logを参照していますが、それ自体が網羅的ではなく、全ての変更がリストされている訳ではない事を御了承下さい。

当版におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、Intel版におけるホストOSは「macOS Catalina(macOS 10.15)」「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」、Apple Silicon版におけるホストOSは「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。Ver. 6.1にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13)」「macOS Mojave(macOS 10.14)」は 対象外となりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

Apple Siliconへの対応について

当版(macOSホスト)は、Intel Macに向けたx86バイナリーの他に、ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2 Chip)」に向けたARM64(AArch64)バイナリーも提供されています。

しかしながら、現時点におけるARM64ビルドは殆ど何もエミュレートしておらず、パフォーマンスも非常に低速です。QEMUのような再コンパイルは行われず、ARM仮想化もありません。現実的には、Apple Silicon Macで起動するGUIクライアント(VirtualBox.app)がビルドされているのみといった初期的なサポートに止まっています。

「macOS Ventura(macOS 13)」の対応について

現時点で、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Ventura(macOS 13)」に対する対応について、公式なアナウンスはありません。

「VirtualBox 7.0 Beta 2」について(2022年9月14日に追記)

「Beta 1 Build 153351」に引き続き、米国時間2022年9月13日付にて「Oracle VM VirtualBox 7.0.0 Beta 2 Build 153583(VirtualBox 7.0.0 Test Release 2)」がリリースされました。当版における主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との統合。クラウドで管理している仮想マシンを、GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))に追加し、ローカル仮想マシンとして制御可能に
  • クラウド関連の改善。ローカル仮想マシンを対象として、クラウドネットワーキング機能を強化。OCI(Oracle Cloud Infrastructure)等のクラウドネットワークに対して、ローカル仮想マシンを容易に接続可能に
  • ユーザインターフェイス(GUI)関連の改善。実行中のゲストOSのパフォーマンス統計(CPU使用率、メモリー使用量、ディスクI/Oレート等)をリスト表示する、「top」或いは「resource monitor」に類似した新たなユーティリティを追加
  • 複数の項目が選択されている場合の、仮想マシンリストの動作を改善
  • 各種のウィザードの安定性、及びユーザービリティを改善
  • ユーザインターフェイス(GUI)のアクセシビリティを改善
  • 「New Virtual Machine Wizzard(新規仮想マシンウィザード)」を再構築。ゲストOSの自動インストールを統合し、ワークフローをより合理化
  • ユーザーマニュアルのナビゲートと検索を可能にする、新たなヘルプビューアーウィジェットを追加
  • ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。ゲストOSのスクリーンサイズの変更機能を作り直し、一部のデスクトップ環境(ゲストOS)との基本的な統合機能を追加(Linux Additions)
  • デバイス関連の改善。仮想マシンに対して、IOMMU(Input/Output Memory Management Unit)デバイスを追加可能に(Intel、AMDバリアント)
  • ホストOSのスクリーンセーバーを無効化するためのオプションを追加(利用可能なプラットフォームにおいてのみ有効なオプション)

GA版のリリース前に、更にBeta版(或いはRC版)が公開されるようでしたら、引き続きこのエントリーに追記していきたいと考えております。