Automator(オートメーター)

米Appleより開発、提供等が行われている、OS標準の自動化アシスタント。macOS(Mac OS X)を対象プラットフォームとし、米国時間2005年4月29日付にてリリースされた「Mac OS X 10.4 Tiger」において、中核機能の一つとして新たに実装された。独立したアプリケーションとして提供されており、定型作業を主とした各種タスクの自動化を GUIの環境にてオーサリングする事を可能としている。

定型作業の自動化をGUIのユーザインターフェイスで実現

Classic Mac OS時代から提供されているスクリプト言語の「AppleScript」、同スクリプトの機能の一つで「Mac OS X 10.3 Panther」より実装され、キーボードやマウスから発生するGUIのイベントをスクリプトで制御する事が可能な「UI Scripting(UI Element Scripts)」とは異なり、テキストで命令を記述する事なく、殆どの操作をマウス、トラックパッド等のポインティングデバイスにて簡易的に制御する事が可能となっている。ワークフローの再生過程は、Adobe PhotoshopやIllustratorの「Actions(アクション)」のように、デスクトップにおけるGUIレベルで確認する事が可能。

項目別に分類されたドロップダウンリストが齎す シンプル、且つ明瞭なインターフェイスをエンドユーザーに提供しており、複数のタスクを単一のワークフローで完結する事ができる。

各アプリケーション毎に用意された「Action(アクション)」と称される個々の実行用オブジェクト(部品)を、ドラッグアンドドロップにて 前のアクションに繋げるようにワークスペースのエリアに配置するため、スクリプティングやプログラミングで要される文法や構文等の知識は必要としない。

VMware仮想マシンのアクション
↑「VMware Fusion」を制御可能な Automatorアクション

ワークフローのルーティーンは、直線型の流れ図で記述される トップダウン方式でのバッチ処理を基本としているが、「Mac OS X 10.5 Leopard」に伴われる形にてリリース(米国時間2007年10月26日)された Ver. 2.0より、新たに「Loop」アクションによるワークフローのループに対応した(イベント解析を伴う条件分岐には非対応)他、アクションを提供しているアプリケーション間であれば、別のアプリを呼び出して(call)連携させるといったアルゴリズムを構築する事も可能となっている。

尚、前後のアクションに関連性が無かったり、後のアクションで要求しているリソース(ファイル、フォルダ等)が 前のアクションから渡されない場合等は、繋ぎ目に相当する吹き出しのオブジェクトが表示されず、前後のアクションを繋ぐ事がでない。

その他にも、ワークフローに含まれる変数の初期値の設定や、他言語を用いたワークフローの実行等を可能とする「Automator Command-Line Utility」、操作の記録と再生を可能とする「Watch Me Do(「Workflow(ワークフロー)」>「Record(記録)」)」の実装等によって、一定の柔軟性と汎用性も兼備している他、「Action(アクション)」ビューにおいて、アクションの実行結果を確認可能な「インラインアクションリソース」、iLifeアプリケーションの各種コンテンツデータに迅速にアクセス可能とする「iLife Media Browser」の追加等によって、操作性の向上も実現している。

また、Mac OS X(Finder)、及び各種アプリケーションの機能強化に伴い、種々のアクション(PDF等)の拡充も随時に行われており、作成したワークフローは書類形式(.workflow)のみならず、アプリケーション(.app)やプラグイン等、多様な保存形式にて実行する事が可能となっている(最終更新日 2019年2月10日)。