「VirtualBox 6.0(6.0.0)」リリース、「macOS Mojave」をサポート

macOSゲストに向けて「Guest Additions」を初期サポート

Oracle Corporationより米国時間2018年12月18日、マルチプラットフォームに対応した オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップグレードリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 6.0.0 Build 127566(GA版)」がリリースされ、現在コミュニティサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、及びPUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(Mac OS X版 dmg 約151.0MB。バイナリとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

米国時間2018年10月22日よりテストリリース(パブリックベータ)が開始されていた当版では、一連のテストリリース(「Beta 1 Build 125994」~「Release Candidate 1 Build 127378」)を通じた主な特徴として、以下の項目等が示されています(「5.1.22 Build 126460」からの主な変更点となります)。

  • OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との統合。OCIに対して仮想マシンをエクスポート可能に。また、コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」を通じて、仮想マシンをOCIに対してエクスポート可能とした他、全ての仮想化されたシェイプをサポート(VM.Standard2.* 等)
  • ユーザインターフェイス関連の改善。GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))のUIをオーバーホール(ツールバーに配置された「Tools」ボタンを通じて、メインパネルを「Welcome(初期画面)」「Media(仮想ディスクの管理)」「Network(仮想ネットワークの管理)」「Cloud(クラウドプロファイルの管理)」の各カテゴリへ切り替え可能に。ツールバーもメインパネルへ移動し、カテゴリに応じたコマンドをコンテキストに表示)
    VirtualBox Manager 6.0
    ↑再デザインされたOracle VM VirtualBox Manager。ツールバーに配置された「Tools」ボタンを通じて、各カテゴリへ切り替え可能
  • よりシンプルに、よりパワーに。アプリケーション(「VirtualBox」>「Preferences…(環境設定…)」)、及び仮想マシンの設定画面を大幅に改善
  • 仮想マシンプロセス(VirtualBox VM)に新たに実装されたファイルマネージャを通じて、ゲストOSのファイルシステムの制御、及びゲストOS、ホストOS間におけるファイル、フォルダのコピーが可能に(「Machine(仮想マシン)」>「File Manager…」)
    VirtualBox File Manager
    ↑VirtualBox VMに実装されたファイルマネージャ。ゲストOS、ホストOS間におけるファイルのコピー等が可能
  • HiDPI(High Dots Per Inch)、及びスケーリングサポート(ホストOSにおけるHiDPIサポート、HiDPIアイコン、改善された検出性、仮想マシン毎の構成等)を大幅に改善
  • 3Dグラフィックスを含むグラフィックス関連の改善。Windowsゲストを対象として、3Dグラフィックスのサポートをアップデート
  • サラウンドスピーカーの設定をサポート(「Windows 10 Build 1809(ゲストOS)」等)
  • ストレージ関連の改善(コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」)。VirtualBox仮想ディスク(.vdi)を macOS(ホストOS)のデスクトップにマウント可能とする仮想ディスクマウンタ「vboximg-mount」コマンドを追加。OS Xホストから(ゲストOSを起動する事なく)ダイレクトに仮想ディスク内のコンテンツにアクセス可能に(「FUSE for macOS(OSXFUSE)」を使用)
  • Microsoftによるサーバ仮想化ソフトウェア「Hyper-V」が有効化されたWindowsホストにおけるフォールバック実行コアとして、Windows Hypervisor Platformを利用可能に(パフォーマンスの低下を回避)
  • ビデオ、オーディオのレコーディング機能を 個別に有効化可能に
  • オーディオ関連の改善。仮想マシンの実行時に、VRDEオーディオドライバをアタッチ、或いはデタッチ可能に
  • シリアルポートのエミュレーションを修正した他、仮想マシンの実行中に、シリアルポートのアタッチメントをオンザフライに変更可能に
  • ネットワーク関連の改善。virtio PCIデバイスのバスマスタリングを有効化する事ができない古いゲストOSを対象として、問題回避機能を追加
  • 「–natdnshostresolver1」を伴うDNS AAAAクエリからの 不正なRCODEを修正
  • iSCSI関連の改善。ゼロ以外のLUNを伴うターゲットに向けて、iSCSIターゲットのLUNが 自動的に決定されるべくした改善を適用
  • API関連の改善。仮想ディスクをマージする事が可能な状況において、ディスクイメージを透過的にリサイズ可能に
  • コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」において、DHCPオプションをサポート
  • VNC(Virtual Network Computing)、RDP(Remote Desktop Protocol)が、適切に機能しないケースが確認されていた問題を修正
  • ゲストOSの制御に向けて、種々の新たなAPI、及び機能を実装(詳細は、SDKドキュメントを参照)
  • ゲストOS、ホストOSの双方において、「Linux Kernel 4.20」をサポート(Larry Finger氏による貢献)
  • Solarisホストを対象として、インストーラ関連の修正を適用
  • ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。最新の「Windows 10(ゲストOS)」において発生し得た、不正なタブレットの座標処理を修正(Windows Addiitons)
  • 共有フォルダのパフォーマンス、及び自動マウント機能を改善
  • 「RHEL 7.6(Red Hat Enterprise Linux 7.6)」のスタンダードカーネルにおいて、グラフィックスビデオドライバモジュール(vboxvideo)のビルドに失敗していた問題を修正(Linux Addiitons、Robert Conde氏による貢献)
  • Windowsゲスト、Linuxゲストを対象として、VMSVGAをサポート(Windows Addiitons、X11 Addiitons)
  • macOS(OS X)ゲストに向けて、「Guest Additions」をイニシャルサポート(macOS Addiitons)
  • OS/2ゲストを対象として、共有フォルダのイニシャルサポートを実装(OS/2 Additions)
  • BIOS(Basic Input/Output System)を対象として、幾つかの改善と修正を適用
  • 仮想マシンに向けて、最大4つのカスタムACPI(Advanced Configuration and Power Interface)テーブルを構成可能に
  • デバイス、グラフィックス関連の改善。VMSVGAグラフィックスデバイスのエミュレーションをデフォルトにて有効化(Linux、Solarisゲスト)
  • BusLogic ISA、及びSerialポートを対象として、幾つかの改善と修正を適用
  • Aboutスクリーン(「VirtualBox」>「About VirtualBox(VirtualBoxについて)」)を、Ver. 6.0に向けたデザインに変更
  • 各種の関連ドキュメントを改訂
  • And many others…

当版におけるシステム要件は、64bitプロセッサを搭載したApple製コンピュータ、ホストOSは「OS X Yosemite(OS X 10.10)」以降(「macOS Mojave 10.14」を含む)となっています。ゲストOSとしてmacOS(OS X)をインストールする事も可能となっていますが、試験的なサポートとなりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。