「VirtualBox 6.0 Beta 1」リリース、Oracle Cloudに試対応

Oracle Corporationより米国時間2018年10月22日、開発過程にある次世代デスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox 6.0」の最新プレビュー版に相当する「Oracle VM VirtualBox 6.0.0 Beta 1 Build 125994(VirtualBox 6.0.0 Test Release 1)」がリリースされ、現在コミュニティサイトを通じて、OS X、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、及びPUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(Mac OS X版 dmg 約131.0MB。バイナリとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

GUIクライアントを再デザインし、HiDPIサポートも改善

次世代版のテスト、評価等を主目的としたプレビュー版として位置付けられている当版では、機能の追加、パフォーマンス改善等が行われており、主な特徴として、以下の項目等が示されています(「5.2.20 Build 125813」からの主な変更点となります)。

  • OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との統合。OCIに対して仮想マシンをエクスポート可能に
  • ユーザインターフェイス関連の改善。GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))のUIをオーバーホール(ツールバーに配置された「Tools」ボタンを通じて、メインパネルを「Welcome(初期画面)」「Media(仮想ディスクの管理)」「Network(仮想ネットワークの管理)」「Cloud(クラウドプロファイルの管理)」の各カテゴリへ切り替え可能に。ツールバーもメインパネルへ移動し、カテゴリに応じたコマンドをコンテキストに表示)
    VirtualBox Manager 6.0
    再デザインされたOracle VM VirtualBox Manager。ツールバーに配置された「Tools」ボタンを通じて、各カテゴリへ切り替え可能
  • HiDPI(High Dots Per Inch)、及びスケーリングサポート(ホストOSにおけるHiDPIサポート、HiDPIアイコン、改善された検出性、仮想マシン毎の構成等)を大幅に改善
  • ビデオ、オーディオのレコーディング機能を 個別に有効化可能に
  • オーディオ関連の改善。仮想マシンの実行時に、VRDEオーディオドライバをアタッチ、或いはデタッチ可能に
  • ゲストOSの制御に向けて、種々の新たなAPI、及び機能を実装(詳細は、SDKドキュメントを参照)
  • ネットワーク関連の改善。virtio PCIデバイスのバスマスタリングを有効化する事ができない古いゲストOSを対象として、問題回避機能を追加
  • And many others…

当版におけるシステム要件は、64bitプロセッサを搭載したApple製コンピュータ、ホストOSは「OS X Yosemite(OS X 10.10)」以降(「macOS High Sierra 10.13」を含む)となっています。ゲストOSとしてmacOS(OS X)をインストールする事も可能となっていますが、サポート対象外となりますので御注意下さい(ゲストOS拡張機能「Guest Additions」も用意されていません)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

尚、「6.0.0 Beta 1 Build 125994」の時点において、「macOS Mojave 10.14」は ホストOSとして正式にサポートされていませんが、インストールして試用する事は可能となっています。

「VirtualBox 6.0 Beta 2」について(2018年11月16日に追記)

「Beta 1 Build 125994」に引き続き、米国時間2018年11月15日付にて「Oracle VM VirtualBox 6.0.0 Beta 2 Build 126642(VirtualBox 6.0.0 Test Release 2)」がリリースされました。当版における主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • 仮想マシンプロセス(VirtualBox VM)に新たに実装されたファイルマネージャを通じて、ゲストOSのファイルシステムの制御、及びゲストOS、ホストOS間におけるファイル、フォルダのコピーが可能に(「Machine(仮想マシン)」>「File Manager…」)
    VirtualBox File Manager
    VirtualBox VMに実装されたファイルマネージャ。ゲストOS、ホストOS間におけるファイルのコピー等が可能
  • ユーザインターフェイスを対象として、多数の改善を適用
  • OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との統合機能を対象として、幾つかの改善と修正を適用
  • ビデオ、オーディオのレコーディング機能を対象として、幾つかの改善と修正を適用
  • デバイス関連の改善。BusLogic ISA、及びSerialポートを対象として、幾つかの改善と修正を適用
  • BIOS(Basic Input/Output System)を対象として、幾つかの改善と修正を適用
  • API関連の改善。仮想ディスクをマージする事が可能な状況において、ディスクイメージを透過的にリサイズ可能に
  • Solarisホストを対象として、インストーラ関連の修正を適用
  • ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。最新の「Windows 10(ゲストOS)」において発生し得た、不正なタブレットの座標処理を修正(Windows Addiitons)
  • 共有フォルダの自動マウント機能を改善
  • OS/2ゲストを対象として、共有フォルダの初期サポートを実装(OS/2 Additions)
  • Aboutスクリーン(「VirtualBox」>「About VirtualBox(VirtualBoxについて)」)を、Ver. 6.0に向けたデザインに変更

「VirtualBox 6.0 Beta 3」について(2018年12月1日に追記)

「Beta 2 Build 126642」に引き続き、米国時間2018年11月30日付にて「Oracle VM VirtualBox 6.0.0 Beta 3 Build 127054(VirtualBox 6.0.0 Test Release 3)」がリリースされました。当版における主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との統合機能の改善。コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」を通じて、仮想マシンをOCIに対してエクスポート可能とした他、全ての仮想化されたシェイプをサポート(VM.Standard2.* 等)
  • デバイス、グラフィックス関連の改善。VMSVGAグラフィックスデバイスのエミュレーションをデフォルトにて有効化
  • 「VBoxManage」において、DHCPオプションをサポート
  • ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。Windowsゲスト、Linuxゲストを対象として、VMSVGAをサポート(Windows Addiitons、X11 Addiitons)
  • 仮想マシンの実行中に、シリアルポートのアタッチメントをオンザフライに変更可能に
  • ゲストOS、ホストOSの双方において、「Linux Kernel 4.20」をサポート(Larry Finger氏による貢献)

GA版のリリース前に、更にBeta版(或いはRC版)が公開されるようでしたら、引き続きこのエントリに追記していきたいと考えております。

「VirtualBox 6.0 RC 1」について(2018年12月11日に追記)

「Beta 3 Build 127054」に引き続き、米国時間2018年12月10日付にて「Oracle VM VirtualBox 6.0.0 Release Candidate 1 Build 127378(VirtualBox 6.0.0 Test Release 4)」がリリースされました。当版における主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • オーディオ関連の改善。サラウンドスピーカーの設定をサポート(「Windows 10 Build 1809(ゲストOS)」等)
  • ストレージ関連の改善(コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」)。VirtualBox仮想ディスク(.vdi)を macOS(ホストOS)のデスクトップにマウント可能とする仮想ディスクマウンタ「vboximg-mount」コマンドを追加。OS Xホストから(ゲストOSを起動する事なく)ダイレクトに仮想ディスク内のコンテンツにアクセス可能に(「FUSE for macOS(OSXFUSE)」を使用)
  • 各種の関連ドキュメントを改訂
  • ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。「RHEL 7.6(Red Hat Enterprise Linux 7.6)」のスタンダードカーネルにおいて、グラフィックスビデオドライバモジュール(vboxvideo)のビルドに失敗していた問題を修正(Linux Addiitons、Robert Conde氏による貢献)
  • 共有フォルダのパフォーマンスを改善

GA版のリリース前に、更にRC版が公開されるようでしたら、引き続きこのエントリに追記していきたいと考えております。