「UTM Virtual machines 4.5(4.5.2)」リリース、「Apple Vision Pro」にも転送可能なリモートサーバーを実装

Turing Software, LLC支援のUTM Projectより米国時間2024年4月30日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア(エミュレーター)「UTM Virtual machines」のアップデートリリースに相当する「UTM Virtual machines 4.5.2(UTM Virtual machines 4 Update 5 Hotfix 2)」がリリースされ、プロジェクトサイト、及びApp Storeを通じて、日本語含む12言語リソースを包含する マルチリンガル版のバイナリーパッケージ、ソースコードが入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとして「Apache License 2.0」が適用されています。FTPクライアントの「Cyberduck」等と同様に、プロジェクトサイトからは無料で配布されていますが、App Store版は開発支援の目的にて有料となっています)。

iOS、iPadOS、visionOSからリモートアクセス可能に

「UTM Virtual machines 4.5」を対象としたアップデートリリースとして位置付けられている「UTM Virtual machines 4.5.2」では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、「UTM Virtual machines 4.5.1」からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • 「macOS Ventura(macOS 13、ホストOS)」以降の環境を対象として、リモートサーバー機能を実装。この機能は、ホームスクリーンに実装された新たなオプション、或いは「Window」>「UTM Server」を通じて有効化する事が可能となっており、iOS、iPadOS、visionOSのクライアント(UTM Remote)に対して、QEMUバックエンドの仮想マシンをストリーミング可能に
  • 環境設定(「UTM」>「Preferences…(設定)」>「Server(サーバ)」)において、UTMサーバーを自動的に起動するためのオプションが追加された他、ローカルネットワーク外でも使用可能とするための追加のオプション(外部接続を許可するためのオプション)を実装(新たなドキュメント ページは後日に追加予定)
  • ユーザーが悪質なリンク(仮想マシンにおいて行った入力情報を外部に送信するようなリンク)をクリックした場合に、セキュリティ上の問題が生じる危険性があるため、自動化URIスキームを除去。URIスキーム機能の殆どは、スクリプトインターフェイスに移動
  • ユーザーインターフェイス(GUI)関連の改善アイコンセレクターのユーザーインターフェイスを改善(@js-johnによる貢献)
  • Appleによるヒューマンインターフェイスガイドラインへの準拠を強化するために、種々の確認アラートのボタンの位置を変更
  • And many others…

システム要件と仮想マシンの保存場所

UTMは、バックエンドに macOSのVirtualization.framework、及びCPUエミュレーター「QEMU」のコードを実装し、種々のアーキテクチャー(x86_64、ARM64、PowerPC64等)のゲストOSを実行可能とします。GUIクライアント(フロントエンド)のUTM.appはUniversal 2 Binaryとしてビルドされており、「iOS 14」以降、及びIntel、Apple Silicon 双方の「macOS Big Sur(macOS 11.3)」以降(「macOS Sonoma(macOS 14)」を含む)をホストOSとしてサポートしています(iOSホストにおけるJailbreak(ジェイルブレイク、脱獄)の必要性には言及しません)。

また、作成した仮想マシンの保存場所は入手ルート(公式サイト、或いはAppleによるMac App Store)によって異なります。何れも「Parallels Desktop for Mac App Store Edition」「virtualOS」「VirtualBuddy」、及び嘗ての「Veertu」等と同様にサンドボックスモデルに対応しているため、公式サイトからダウンロードしたバイナリーでは「/Users/username/Library/Containers/com.utmapp.UTM/Data/Documents/」以下に保存される事となり、Mac App Storeから入手したアプリケーションでは「/Users/username/Library/Group Containers/」以下に保存される事となります。