米Appleより開発、提供等が行われていた、32bitファイルシステム テクノロジー。macOS(Mac OS X)を対象プラットフォームとし、「Hierarchical File System eXtended」の略称で「Mac OS拡張フォーマット(大文字/小文字を区別)」とも称されている。
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ファイル名における英大文字/小文字を別の文字として認識する「case-sensitive」に対応
米国時間1998年1月19日付にてリリースされた「Mac OS 8.1 Bride of Buster」から「macOS Sierra(macOS 10.12.6)」において、システム標準のファイルシステムとして採用されていた「HFS Plus(Hierarchical File System Plus、Mac OS拡張フォーマット)」の拡張版として、「Mac OS X Server 10.3 Panther」以降においてサポートされていたファイルシステム。米国時間2017年9月26日付にて「APFS(Apple File System)」がリリースされた事に伴い、「HFS Plus」と共に、一部のmacOS(Mac OS X)の土台を支え続けてきた 約14年に渡る役目を終えている。
「HFS Plus」と比較した場合の最も顕著な相違として、ファイル名における英大文字/小文字の取り扱いが挙げられる。
「HFS Plus」が英大文字/小文字の違いを識別しつつ、ファイルシステムにおいては それらの違いを吸収し、同一の文字として扱う仕様(case-insensitive)となっているのに対して、「HFSX」では ファイル名における英大文字/小文字を別の文字として認識させる仕様(case-sensitive)を採用している。
「HFSX」適用時(イメージファイル)におけるFinderウインドウの表示。英大文字/小文字を別の文字として認識しているため、「MacOSX」と「macosx」という名称のフォルダを同一の階層に配置する事ができる
適用方法と互換性
米国時間2003年10月24日付にてリリースされた「Mac OS X Server 10.3 Panther」、米国時間2005年4月29日付にてリリースされた「Mac OS X 10.4 Tiger」以降では、「Disk Utility(ディスクユーティリティ、/Applications/Utilities/Disk Utility.app)」のオプション(Mac OS Extended (Case-sensitive, Journaled)、Mac OS 拡張(大文字と小文字を区別/ジャーナリング))を通じたGUI環境による設定が可能となっている。
クライアント版の「Mac OS X 10.3 Panther」では、「Terminal(ターミナル、/Applications/Utilities/Terminal.app)」におけるコマンドラインユーティリティーを使用する事により、「HFSX」に対応したボリュームを作成する事が可能となっていた(この場合には、事前にボリュームの初期化が必要)。実際に使用する場合のコマンド例は以下の通り。
sudo diskutil eraseVolume "Case-sensitive HFS+" VolName /Volumes/VolName
※「VolName」には、適用環境に応じたボリューム名が入る。
また、「HFSX」に対応したイメージファイルを作成(カレントディレクトリーに、5MB容量のイメージファイルを作成すると仮定)するためには、同様に「Terminal(ターミナル、/Applications/Utilities/Terminal.app)」にて、以下のコマンドを実行する。
hdiutil create Image -megabytes 5 -fs HFSX -volname "imagename"
※「imagename」には、任意のイメージ名が入る。
尚、「HFSX」は機能性の実現に際して一部の互換性を破棄しており、Classic Mac OSからは「HFSX」でフォーマットされたボリュームを認識する事ができなくなっていた。また、一部のアプリケーション(Adobe CS(Adobe Creative Suite)等)や周辺機器のドライバー等との互換性にも問題が生じていた。
「UFS(UNIX File System)」との比較について
Mac OS Xがサポートしていた もう一つのファイルシステム「UFS(UNIX File System)」においても、「HFSX」と同様に case-sensitiveによるファイル名の取り扱いが可能となっていたが、「UFS(UNIX File System)」をMac OS Xで使用する場合には、以下のような制限事項が生じていた。
- ファイルアクセスのパフォーマンスが「HFS Plus(Mac OS拡張フォーマット)」との比較において大きく見劣りする
- ワイヤレスLANシステム「AirPort(日本市場では「AirMac」)」が機能しない
- ボリューム名を変更する事ができない
- ファイルタイプとクリエーターコードをサポートしていない
- 動作が保障されていないアプリケーションが多い(インストールすら不可能な場合もある)
従って、UNIXベースのリソースを必要としない環境においてcase-sensitiveの機能性を必要とするのであれば、「HFSX」の使用をもって運用する方が妥当とされていた(最終更新日 2024年1月7日)。