米CodeWeaversより開発、提供等が行われている、macOS(Mac OS X)ベースのWindows互換レイヤー。略称は「cxmac」。GUIクライアント(CrossOver Mac.app)は、Intel、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2、Apple M3)の両アーキテクチャーにおいてネイティブ実行可能な「Universal Binary(Universal 2 Binary)」としてビルドされており、同社が支援するオープンソースのWin32 API実行環境「Wine(WINE Is Not an Emulator)」をベースとしたWindowsアプリケーション実行環境として位置付けられている。
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Win32 API実行環境「Wine」をベースとしたWindowsアプリケーション実行環境
macOSにWin32 API互換レイヤーを追加する事によって、Windows OSを伴わずしてWindowsアプリケーションを実行可能としており、各々のOSのスタートメニューからWindowsアプリケーションをシームレスに起動する事ができる。
CPUエミュレーターとしての機能は実装しておらず、エミュレーションではなく、ネイティブアプリケーションに近いアプローチにて実行する事ができる。この仕様に因して、PowerPC Macは未サポートとなっており、日本市場においては、ネットジャパンを通じて2007年3月26日より、販売、サポート等が行われていた(現在では、ネットジャパンを通じた取り扱いは終了している)。
米国市場においては、LinuxベースのWindows互換レイヤー「CrossOver Linux」も提供されており、両ソフトウェアは通常、同一のバージョン番号にて同日にリリースされる事となる。
ライセンスについて
ライセンスは、14日間試用可能な「CrossOver Free」、12ヶ月間のサブスクリプション「CrossOver +」、ライフタイムの永続ライセンス「CrossOver Life」の3種類のライセンスがランナップされている。
CrossOver Mac 6(「CrossOver Mac 6.0」~「CrossOver Mac 6.3」)
米国時間2006年8月31日よりテストリリース(パブリックベータ)が開始された「CrossOver Mac 6.0」では、約4ヶ月の期間に3度のBeta、3度のRelease Candidateを経た後、米国時間2007年1月9日(「Macworld Conference & Expo 2007」期間内)付にて、「Wine 0.9.17」をコードベースとする「CrossOver Mac 6.0」がGA版としてリリースされる事となる(バージョンナンバーの「6.0」は、以前から提供されていた「CrossOver Linux」と合わせる形にて付されており、macOS版は当版がイニシャルリリースとなる)。
「CrossOver Mac 6.0」における「Manage Bottle(ボトル管理)」ウインドウ
「CrossOver Mac 6.0」の動作には「X Window System(X11)」が必要とされるが、自身(CrossOver Mac)が独自に「X11」を実装しているため、必ずしもMac OS XサイドにApple純正の「X11 for Mac OS X」がインストールされている必要はない。同ウインドウシステムがインストールされていない環境では、別途に「quartz-wm(Quartz-Window Manager)」のみをインストールするか、或いは「CrossOver Mac」に内蔵されている「Blackbox」ウインドウマネージャーを使用する事によって動作する事が可能となる(「Mac OS X 10.5 Leopard」には「X11.app」が標準で実装されているため、前記の懸念は生じない)。
その後、米国時間2007年3月11日付にて「Outlook 2003」「Lotus Notes」「Internet Explorer 6」「Quicken 2006」に対する互換性改善等を主目的とした「CrossOver Mac 6.0.1」、米国時間2007年5月15日付にて日本語リソースの追加、「DirectX」サポートのアップデート、及び「EVE ONLINE」「QuickTime 7」「一太郎2007」「一太郎ビューア」「IBM ホームページ・ビルダー 11」のサポート等を主目的とした「CrossOver Mac 6.1.0」がリリースされ、コードベースが「Wine 0.9.34」にアップデートされた。
続いて、米国時間2007年10月2日付にて、Mac OS Xの「Dock」との統合(実行中のWindowsアプリケーションのアイコンを「Dock」に表示可能とした他、「Dock」を通じた各種Windowsアプリケーションの起動、終了等に対応)を含む、幾つかのMac OS Xライクなインターフェイスの実現、及び「Mac OS X 10.5 Leopard」環境における日本語入力関連の不具合修正等を主目的とした「CrossOver Mac 6.2.0」、日本時間2007年12月12日付にて「CrossOver Mac 6.2.1」が各々リリースされた後、日本時間2008年3月25日付にて、「IBM ホームページ・ビルダー 12」、工画堂スタジオ、Falcomによる一部のゲームアプリケーション、クリプトン・フューチャー・メディアによる「VOCALOID2 初音ミク」等の対応アプリケーションの追加、及び暫定的な「Windows Vista」ボトルの追加等を主目的とした「CrossOver Mac 6.3」がリリースされる事となる。
当該時点における「Windows Vista」ボトルは、インストーラーが実行環境を「Windows Vista」と認識するように設定されているものの、バージョン情報以外には「Windows XP」ボトルと大幅な相違はなかった。尚、「CrossOver Mac 6.3」より、コードベースが「Wine 0.9.55」にアップデートされた。