「VirtualBox 7.0.12」リリース、「Oracle Linux 9」の自動インストールに対応

Oracle Corporationより米国時間2023年10月17日、マルチプラットフォームに対応した オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 7.0.12 Build 159484(Oracle VM VirtualBox 7 Update 0 Hotfix 12)」がリリースされ、プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS(Intel)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

「RHEL 8.9」「RHEL 9.3」カーネルに対する互換性も改善

「VirtualBox 7.0」を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(VirtualBox 7.0.10)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • 一部特定状況下において、ゲストOS内でのデバッガー(gdb(Gnu DeBugger))の使用を修正
  • 別のハイパーバイザーによって使用されている CPU仮想化支援「Intel VT-x(Intel Virtualization Technology)」の検出を修正
  • Linuxホストにおける最新のIntel CPUのスプリットロック検出機能に対して、追加の改善を適用
  • ネストされたハードウェア仮想化設定が、仮想マシンの詳細パネルに表示されなかった問題を修正
  • ユーザーインターフェイス(GUI)関連の改善。クロアチア語、インドネシア語、イタリア語、日本語、韓国語、オランダ語、トルコ語の NLS アップデートを導入し、全体的なルックアンドフィールの改善を適用
  • デバイス関連の改善。セッティングエディターを通じて3Dグラフィックスのアクセラレーション(「Display(ディスプレイ)」>「Screen(スクリーン)」>「Extended Features」>「Enable 3D Acceleration」)を無効化した場合に、複数のゲストスクリーンを伴うWindows(ゲストOS)において、ブラックスクリーンが発生するケースが確認されていた問題を修正(「VirtualBox 7.0.10」におけるリグレッション)
  • 準仮想化デバイスのフレームワーク「virtio(virtio-net)」ネットワークインターフェイスを対象として、PCIデバイスの識別子を修正
  • 準仮想化デバイスのフレームワーク「virtio(virtio-net)」ネットワークインターフェイスを対象として、VLANの識別子を修正
  • 「Virtual TPM(Virtual Trusted Platform Module)」が構成されている場合の保存された状態(スナップショットノード)の読み込みを修正
  • ネットワーク関連の改善。macOSホストにおける「VBoxIntNetSwitch」プロセスにおいて発生し得た、メモリーリークを修正
  • And many others…

システム要件について

「VirtualBox 7.0.12」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、Intel版におけるホストOSは「macOS Catalina(macOS 10.15)」「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。「VirtualBox 6.1」にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13)」「macOS Mojave(macOS 10.14)」は、対象外となりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

「macOS Sonoma(macOS 14)」の対応について

現時点で、Appleによるデスクトップオペレーティングシステム「macOS Sonoma(macOS 14)」に対する対応について、公式なアナウンスはありません。ユーザーマニュアルにおけるサポート対象のホストOS、ゲストOSにも、同版はリストされていません。

Apple Siliconホストについて(Apple Siliconホストはテストを継続)

macOSホストは、Intelアーキテクチャー(Intel Mac)に向けたx86バイナリーの他に、ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2 Chip)」に対応したARM64(AArch64)バイナリーも提供されていますが、同版はGA版としてのリリースには至っていません。現在はテストケースとの位置付けにて、「VirtualBox 7.0.13_BETA4 Build 159676」「VirtualBox 7.0.97 BETA5 Build 159665」の「macOSArm64.dmg」が提供されています。

尚、現在公開されている「VirtualBox for Apple silicon」のBeta版(macOSArm64.dmg)では、新規仮想マシン作成時におけるゲストOSのリストに、Intel x86(32bit)ベースのゲストOSしかリストされておらず、x86-64(64bit)、及びホストコンピューターと同じアーキテクチャーであるARM64(AArch64)ベースのゲストOSはリストされていません。開発の過程で仕様が変更される可能性もありますが、現時点では レガシーなx86ベースのゲストOS(「Windows 2000」「Windows XP」「Windows 7」、各種のLinuxディストリービューション、或いは過去のIntel macOS等)をApple silicon Macにおいて実行可能とするソリューションとして開発が進められているようです。

macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供される事となり、Apple Silicon版における対応ホストOSは「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。

「VirtualBox 6.1.48」リリース

その他にもOracleからは、米国時間2023年10月17日付にて旧版(VirtualBox 6.1)を対象としたアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 6.1.48 Build 159471(Oracle VM VirtualBox 6 Update 1 Hotfix 48)」もリリースされ、「VirtualBox 7.0.12」と同様の「RHEL 8.9(Red Hat Enterprise Linux 8.9)」「RHEL 9.3(Red Hat Enterprise Linux 9.3)」カーネルに対する互換性改善等が行われています。