「VirtualBox 7.0.10」リリース、ECDSAをサポート

VirtualBox関連のポストを続けますが、Oracle Corporationより米国時間2023年7月18日、マルチプラットフォームに対応した オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 7.0.10 Build 158379(Oracle VM VirtualBox 7 Update 0 Hotfix 10)」がリリースされ、プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS(Intel)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

「OpenGL 4.1」を初期サポート

「VirtualBox 7.0」を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(VirtualBox 7.0.8)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との互換性に関連して、全般的な改善を導入
  • 仮想化エンジンの改善。「macOS Ventura(macOS 13.3、ホストOS)」において、起動時にGuru Meditationに相当する深刻なエラー、或いはパフォーマンスの低下が発生するケースが確認していた問題を修正
  • ネストされた仮想マシンの実行中にページテーブルを移動すると、結果としてリリースログのフラッディングが発生していたバグを修正
  • ユーザーインターフェイス(GUI)を全般的に改善
  • 「Virtual TPM 1.2(Virtual Trusted Platform Module 1.2)」を構成した場合に、当該の仮想マシンがクラッシュするケースが確認していた問題を修正
  • 「OpenGL 4.1」を初期サポート
  • 「Windows 11(ゲストOS)」を対象として、不適切な透過表示等、種々のグラフィックス関連の問題を修正
  • コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」関連の改善。「VBoxManage guestcontrol」における「–ignore-orphaned-processes」パラメーターを修正
  • 「VBoxManage guestcontrol」コマンドの改善。実行中のゲストプロセスに向けた「–arg0(引数0)」の処理方法を修正し、新たに追加されたオプション「–arg0」を使用して、明示的に指定する事が可能となった。この改善によって、旧版のVirtualBoxの動作が効果的にリストアされる事となる
  • オーディオ関連の改善。「Pipewire-pulse」の実行中に「ALSA(Advanced Linux Sound Architecture)」にフォールバックするのではなく、「PulseAudio」バックエンドも使用されるべくした改善を適用
  • Windows(ホストOS、ゲストOS)を対象として「ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm、楕円曲線DSA)」のサポートを導入
  • And many others…

システム要件について

「VirtualBox 7.0.10」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、Intel版におけるホストOSは「macOS Catalina(macOS 10.15)」「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。「VirtualBox 6.1」にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13)」「macOS Mojave(macOS 10.14)」は、対象外となりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

Apple Siliconホストについて(Apple Siliconホストはテストを継続)

macOSホストは、Intelアーキテクチャー(Intel Mac)に向けたx86バイナリーの他に、ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2 Chip)」に対応したARM64(AArch64)バイナリーも提供されていますが、同版はGA版としてのリリースには至っていません。現在はテストケースとの位置付けにて、「VirtualBox 7.0.9_BETA4 Build 158223」「VirtualBox 7.0.97 BETA5 Build 158510」の「macOSArm64.dmg」が提供されています。

尚、現在公開されている「VirtualBox for Apple silicon」のBeta版(macOSArm64.dmg)では、新規仮想マシン作成時におけるゲストOSのリストに、Intel x86(32bit)ベースのゲストOSしかリストされておらず、x86-64(64bit)、及びホストコンピューターと同じアーキテクチャーであるARM64(AArch64)ベースのゲストOSはリストされていません。開発の過程で仕様が変更される可能性もありますが、現時点では レガシーなx86ベースのゲストOS(「Windows 2000」「Windows XP」「Windows 7」、各種のLinuxディストリービューション、或いは過去のIntel macOS等)をApple silicon Macにおいて実行可能とするソリューションとして開発が進められているようです。

macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供される事となり、Apple Silicon版における対応ホストOSは「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。

「macOS Ventura(macOS 13)」の対応について

現時点で、Appleによるデスクトップオペレーティングシステム「macOS Ventura(macOS 13)」に対する対応について、公式なアナウンスはありません。ユーザーマニュアルにおけるサポート対象のホストOS、ゲストOSにも、同版はリストされていません。

「VirtualBox 6.1.46」リリース

その他にもOracleからは、米国時間2023年7月18日付にて旧版(VirtualBox 6.1)を対象としたアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 6.1.46 Build 158378(Oracle VM VirtualBox 6 Update 1 Hotfix 46)」もリリースされ、macOS(ホストOS、ゲストOS)を対象としたインストーラ関連の全般的な改善が行われています。