Oracle Corporationより米国時間2023年4月18日、マルチプラットフォームに対応した オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 7.0.8 Build 156879(Oracle VM VirtualBox 7 Update 0 Hotfix 8)」がリリースされ、プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS(Intel)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。
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拡張パックにおける暗号化モジュールのシッピングを修正
Ver. 7.0を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(VirtualBox 7.0.6)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
- 仮想化エンジンの改善。Microsoftによるハイパーバイザプラットフォーム「Hyper-V」を使用した場合に発生し得た、CPUID命令のEFLAGS.TFハンドリングを修正
- 「Windows 11(ホストOS)」において「Hyper-V」を使用した場合に、「Solaris(ゲストOS)」にてクラッシュ(MONITOR/MWAIT)が発生し得た問題を修正
- ネスト仮想化の領域において、全般的な改善を適用
- 「macOS Ventura(macOS 13.3、ホストOS)」にてUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)ゲストを起動した場合に、Guru Meditationに相当する深刻なエラー(Triple fault(トリプルフォールト))が発生するケースが確認していた問題を修正(「macOS Ventura(macOS 13.3、ホストOS)」は、現時点で公式には未サポート)
- ユーザインターフェイス(GUI)の改善。「Close VM(仮想マシンを閉じる)」ダイアログに配置されていた「Brought back Restore current snapshot(現在のスナップショットを復元する)」チェックボックスを復活
- 仮想マシン設定(USBフィルターエディター、フィルターポート値)の修正と検証が、適切に保存、復元されるべくした改善を適用
- GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))の「Details(詳細)」ペインにおける、仮想マシン名とOSタイプの表示を修正(エンベデッドエディターの修正)
- クラウド関連のウィザードにおいて、無効化にする前に有効なプロファイルが提案されるべくした改善を適用
- エクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)の改善。完全な仮想マシンの暗号化を実現するための、暗号化サポートモジュールのシッピングを修正
- 「Intel e1000」ネットワークドライバー関連の改善。ネットワークアタッチメントを変更した場合に、Guru Meditationに相当する深刻なエラーが発生し得た問題を修正
- And many others…
システム要件とApple Siliconホストについて(Apple Siliconホストはテストを継続)
当版におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、Intel版におけるホストOSは「macOS Catalina(macOS 10.15)」「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。Ver. 6.1にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13)」「macOS Mojave(macOS 10.14)」は 対象外となりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。
macOSホストは、Intelアーキテクチャー(Intel Mac)に向けたx86バイナリーの他に、ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2 Chip)」に対応したARM64(AArch64)バイナリーも提供されていますが、同版はGA版としてのリリースには至っていません(現在は、「Beta 4」との位置付けにて「Developer preview for macOS / Arm64 (M1/M2) hosts」が提供されています)。
macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供される事となり、Apple Silicon版における対応ホストOSは「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。
「macOS Ventura(macOS 13)」の対応について
現時点で、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Ventura(macOS 13)」に対する対応について、公式なアナウンスはありません。ユーザーマニュアルにおけるサポート対象ゲストOS、ホストOSにも、同版はリストされていません。
「VirtualBox 6.1.44」リリース
その他にもOracleからは、米国時間2023年4月18日付にて旧版(VirtualBox 6.1)を対象としたアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 6.1.44 Build 156814(Oracle VM VirtualBox 6 Update 1 Hotfix 44)」もリリースされ、「RHEL 8.7(Red Hat Enterprise Linux 8.7)」「RHEL 9.1(Red Hat Enterprise Linux 9.1)」「RHEL 9.2(Red Hat Enterprise Linux 9.2)」カーネルにて発生し得た、vboxvideoのビルドに関連した問題の修正等が行われています。