Oracle Corporationより米国時間2023年1月17日、マルチプラットフォームに対応した オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 7.0.6 Build 155176(Oracle VM VirtualBox 7 Update 0 Hotfix 6)」がリリースされ、プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS(Intel)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。
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「Oracle Linux 8」における「UEK 7(Unbreakable Enterprise Kernel 7)」を初期サポート
Ver. 7.0を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(VirtualBox 7.0.4)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
- 仮想化エンジンの改善。無制限のゲストOSのサポートを伴わない古いIntel CPUにおいて、FreeBSDローダーの実行時に Guru Meditationに相当する深刻なエラーが発生し得た問題を修正
- ユーザインターフェイス(GUI)の改善。コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」から仮想マシンを作成、或いは修正した場合に、GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))において作成した仮想マシングループが表示されない、或いは表示がリフレッシュされなかった問題を修正(modifyvm –groups)
- セッティングエディターにおいて、ユーザーインターフェイスの全般的な変更を適用
- 準仮想化デバイスのネットワークドライバー「VirtioNet」の改善。保存された状態(スナップショット)をロードした後に、ネットワークが機能しない(SSHに向けたポートフォワーディングが機能しない等)ケースが確認されていた問題を修正
- ストレージ関連の改善。VMware仮想ディスク(.vmdk)のサイズを拡張可能に。可変な拡張にも対応し、「monolithicFlat」「monolithicSparse」「twoGbMaxExtentSparse」「twoGbMaxExtentFlat」の各プロパティをサポート
- コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」の改善。欠落していた「guestcontrol mktemp」コマンドに向けた「–directory」スイッチを追加
- 迅速なクリックと高速なマウスの移動によって、ダブルクリックのイベントが生成され得た問題を修正。 このバグは「VirtualBox 6.1.40」のにおけるリグレッションとして、Windowsホスト、Linuxホストにおいて発生しており、「Windows 10」「Windows 11(何れもゲストOS)」においてテスト済み。尚、「VirtualBox 6.1.38」では、当該のバグは確認されていない
- ゲストOS、ホストOS間におけるドラッグアンドドロップの機能に関連して、全般的な改善を適用
- ゲストコントロールの改善。一時ディレクトリーを対象として、作成モードの処理を修正
- Linux(ゲストOS、ホストOS)の改善。「Oracle Linux 8」における「UEK 7(Unbreakable Enterprise Kernel 7)」をビルド可能に(初期サポートを追加)
- 「RHEL 9.1(Red Hat Enterprise Linux 9.1)」カーネルの初期サポートを追加
- And many others…
システム要件とApple Siliconホストについて(Apple Siliconホストはテストを継続)
当版におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、Intel版におけるホストOSは「macOS Catalina(macOS 10.15)」「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。Ver. 6.1にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13)」「macOS Mojave(macOS 10.14)」は 対象外となりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。
macOSホストは、Intelアーキテクチャー(Intel Mac)に向けたx86バイナリーの他に、ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2 Chip)」に対応したARM64(AArch64)バイナリーも提供されていますが、同版はGA版としてのリリースには至っていません(現在は、「Beta 4」との位置付けにて「Developer preview for macOS / Arm64 (M1/M2) hosts」が提供されています)。
macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供される事となり、Apple Silicon版における対応ホストOSは「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。
「macOS Ventura(macOS 13)」の対応について
現時点で、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Ventura(macOS 13)」に対する対応について、公式なアナウンスはありません。ユーザーマニュアルにおけるサポート対象ゲストOS、ホストOSにも、同版はリストされていません。
「VirtualBox 6.1.42」リリース
その他にもOracleからは、米国時間2023年1月17日付にて旧版(Ver. 6.1)を対象としたアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 6.1.42 Build 155177(Oracle VM VirtualBox 6 Update 1 Hotfix 42)」もリリースされ、GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))を通じた仮想マシンの作成時に、サポートされていないmacOSの版が選択された場合の挙動の改善等が行われています。