Oracle Corporationより米国時間2022年1月18日、マルチプラットフォームに対応した オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 6.1.32 Build 149290(VirtualBox 6.1 Maintenance Release 32)」がリリースされ、現在プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。
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ゲストOSの自動インストール機能も改善
Ver. 6.1を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(「VirtualBox 6.1.30」)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
- HVCI(Hypervisor-Enforced Code Integrity)との互換性を向上すべくして、Hyper-Vを使用する場合のゲストOSのRAMマネジメントを変更
- TLB(Translation Lookaside Buffer)フラッシュが欠落しているために生じていた、新しいAMD製CPUにおけるOS/2(ゲストOS)の不安定さ(適切に起動する事ができないケースが確認されていた等)を回避するための施策を導入
- ユーザーインターフェイス(GUI)関連の改善。フルスクリーンモードにおいてミニツールバーを使用した場合に、一部特定状況下においてキーボードのフォーカスが失われるケースが確認されていた問題を修正
- オーディオ関連の改善。OSSオーディオバックエンドが構成されている場合に、空のデバッグログファイルが偶発的に作成されるケースが確認されていた問題を修正
- 「Intel e1000」ネットワークドライバー関連の改善。特定のLinuxカーネル(一部のOracle Linuxのカーネル等)を対象としたリンクステータスレポートを修正
- ゲストOSの自動インストール機能(Parallels Desktop for Macの「Express Install」、VMware Fusionの「Easy Install(簡易インストール)」各オプションに相当)の改善。ゲストOSを「Windows XP」から「Windows 10」へとアップグレードする場合に、パーティショニングが失敗するケースが確認されていた問題を修正(「VirtualBox 6.1.28」におけるリグレッション)
- Solarisホストにおいて確認されていた、インストーラー関連のリグレッションを修正
- Solarisホストにおいてvboxshell.pyを実行可能とすべくして、パッケージのリグレッションを修正
- Linuxホストにおいて、一部のUSBデバイスに対するアクセス時に、デバイスクラスが正しく処理されなかった問題を修正
- ゲストOSをテキストモードで実行している場合に、マウスカーソルが適切にポジションニングされなかった問題を修正
- And many others…
当版におけるシステム要件は、Intel 64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、ホストOSは「macOS High Sierra(macOS 10.13)」「macOS Mojave(macOS 10.13)」「macOS Catalina(macOS 10.15)」となっています。Ver. 6.0にてサポートされていた「macOS Sierra(macOS 10.12)」は 対象外となりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。
現在、アクティブにメンテナンスされているのは、Ver. 6.1のみになります。旧版を対象としたアップデートリリースは行われていません。
Apple Siliconへの対応について
当版(macOSホスト)は Intelアーキテクチャーのみのサポートとなり、ゲストOS、ホストOS共に、ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1 Chip)」には対応していません。「macOS Big Sur(macOS 11.0)」「macOS Monterey(macOS 12.0)」において実装されているバイナリトランスレーター「Rosetta 2」においても、Kernel Extension(カーネル拡張)、及びx86-64ベースの仮想マシン、仮想化ソフトウェアはサポートされない伝えられています。
尚、(「VirtualBox 6.1.30」より、インストーラーが「Apple Silicon(Apple M1 Chip)」を検知して、実行する事ができない機種に対する誤ったインストールを回避する事は可能となっています)。
「VirtualBox 7.0」と仮想TPMチップについて
VirtualBoxは現在、Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 11」の動作要件を満たすために必要なVirtual TPM(Virtual Trusted Platform Module、仮想TPM)チップを仮想マシンに追加する事ができません。しかしながら、現在開発過程にある「VirtualBox 7.0」において、仮想TPMチップの実装と「Windows 11」への対応が行われるようです(最終的には「VirtualBox 7.0」に繋がる開発スナップショット「VirtualBox 6.1.97 Build 149426」も公開されています)。
上記の情報は、VirtualBoxのモデレーターによる発言ではありませんが、フォーラムの運営を手伝うボランディアの方からの情報となります。
尚、仮想TPMチップは、「Parallels Desktop 17.1.0」「VMware Fusion 12.2.0」において、先行して実装されています。