米国時間2024年4月16日付にてリリースされた「Oracle VM VirtualBox 7.0.16 Build 162802(Oracle VM VirtualBox 7 Update 0 Hotfix 16)」では、ブリッジネットワーク、或いはホストオンリーネットワークを使用するように構成されている仮想マシンを起動した場合に、ホストOSがクラッシュするケースが確認されていると伝えられています。この問題に関しては、修正プログラムがダウンロード可能になり次第、メーリングリストに通知されるとアナウンスされていますので、上記に該当する環境で運用されている場合には、アップデートを控えた方が良いでしょう。
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「App Nap」が仮想マシンのパフォーマンスに影響を与えていた問題を修正
ネットワークを「NAT(Network Address Translation)」で構成しているユーザーに向けては、プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS(Intel)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています。尚、Linuxホストにおいて「VirtualBox」のリポジトリーを利用しているユーザーは、「Software Updater(ソフトウェアの更新)」からもアップデート可能となっています)。
「VirtualBox 7.0」を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている「VirtualBox 7.0.16」では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、「(VirtualBox 7.0.14)」からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
- 仮想化エンジンの改善。Intelホストで実行するゲストOSにおいて、KVMを使用してネストされたゲストOSを実行した場合に、致命的なエラーが発生するケースが確認されていた問題を修正(「VirtualBox 5.1.20」におけるリグレッション)
- 一部最新のAMDプラットフォームで実行した場合に、Linux(ゲストOS)がクラッシュするケースが確認されていた問題を修正
- USB関連の改善。EHCI(Enhanced Host Controller Interface)コントローラーが、ショートパケットを誤って処理していた問題を修正
- Audioコントローラーを対象として、全般的な改善を適用
- コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」関連の改善。仮想ディスクマウンター「vboximg-mount」コマンドを対象として、使用方法に関する情報とドキュメントを更新
- 「Guest Control」コマンドにてWindows(ゲストOS)を起動する場合に、適切なWindowsセッションにおいてプロセスが開始されるべくした改善を適用(「VirtualBox 7.0.0」におけるリグレッション)
- Linuxホストにおいて「sudo」コマンドを使用して仮想マシンを起動した場合に、「VBox.sh」が誤った「VBoxSVC IPC」ソケットを削除していた問題を修正
- Linuxホストにおいて「GCC 13.2(GNU Compiler Collection 13.2)」を使用している場合に、カーネルモジュールのビルドに失敗するケースが確認されていた問題を修正
- macOSの省電力プロセス「App Nap」が、仮想マシンのパフォーマンスに影響を与えていた問題を修正
- And many others…
システム要件について
「VirtualBox 7.0.16」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、Intel版におけるホストOSは「macOS Catalina(macOS 10.15)」「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。「VirtualBox 6.1」にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13)」「macOS Mojave(macOS 10.14)」は、対象外となりますので御注意下さい。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。
「macOS Sonoma(macOS 14)」の対応について
現時点で、Appleによるデスクトップオペレーティングシステム「macOS Sonoma(macOS 14)」に対する対応について、公式なアナウンスはありません。ユーザーマニュアルにおけるサポート対象のホストOS、ゲストOSにも、同版はリストされていません(「macOS Ventura(macOS 13)」もリストされていません)。
Apple siliconホストについて(Apple siliconホストはテストを継続)
macOSホストは、Intelアーキテクチャー(Intel Mac)に向けたx86バイナリーの他に、ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon( Apple M1、Apple M2、Apple M3 Chip)」に対応したARM64(AArch64)バイナリーも提供されていますが、同版はGA版としてのリリースには至っていません。現在はテストケースとの位置付けにて、「VirtualBox 7.0.15_BETA4 Build 162549」「VirtualBox 7.0.97 BETA5 Build 162578」の「macOSArm64.dmg」が提供されています。
尚、現在公開されている「VirtualBox for Apple silicon」のBeta版(macOSArm64.dmg)では、新規仮想マシン作成時におけるゲストOSのリストに、Intel x86(32bit)ベースのゲストOSしかリストされておらず、x86-64(64bit)、及びホストコンピューターと同じアーキテクチャーであるARM64(AArch64)ベースのゲストOSはリストされていません。開発の過程で仕様が変更される可能性もありますが、現時点では レガシーなx86ベースのゲストOS(「Windows 2000」「Windows XP」「Windows 7」、各種のLinuxディストリービューション、或いは過去のIntel macOS等)をApple silicon Macにおいて実行可能とするソリューションとして開発が進められているようです。
macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供される事となり、Apple silicon版における対応ホストOSは「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」となっています。
「VirtualBox 7.0.18」リリース(2024年5月9日に追記)
米国時間2024年5月7日付にて「Oracle VM VirtualBox 7.0.18 Build 162988(VirtualBox 7.0 Maintenance Release 18)」がリリースされました。
「VirtualBox 7.0」を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている「VirtualBox 7.0.18」では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、「VirtualBox 7.0.16」からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
- ネットワーク関連の改善。仮想マシンのネットワーク構成がブリッジネットワーク、或いはホストオンリーネットワークに設定されている場合に、「VBoxNetLwf.sys」によってBSOD(Blue Screen of Death、ブルースクリーン)が引き起こされ、ホストシステムがクラッシュするケースが確認されていた問題を修正
- ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。「Guest Additions(Linux)」において、UBSan(UndefinedBehaviorSanitizerno)の警告を回避するための更なる修正を適用
- マウントされた共有フォルダーにおいて、タイムスタンプが適切に表示されないケースが確認されていた問題を修正(Guest Additions(Linux))
1項目目にリストされているネットワーク関連の改善が、「VirtualBox 7.0.16」のリリース時に、クリティカルな問題として注意喚起がなされていた問題の修正に該当します。
「VirtualBox 7.0.20」リリース(2024年7月17日に追記)
米国時間2024年7月16日付にて「Oracle VM VirtualBox 7.0.20 Build 163906(Oracle VM VirtualBox 7 Update 0 Hotfix 20)」がリリースされました。
「VirtualBox 7.0」を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている「VirtualBox 7.0.20」では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、「VirtualBox 7.0.18」からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
- セキュリティモジュール「TPM(Trusted Platform Module)」の改善。Windows(ゲストOS)のイベントビューアーに表示され得たエラーを修正
- macOSホストにおいて、仮想マシンに対するUSBデバイスのパススルーを修正
- オーディオ関連の改善。最新の「Windows 10」「Windows 11」(何れもゲストOS)が再起動された後のHDA(High Definition Audio)エミュレーションによるレコーディングを修正
- USB関連の改善。仮想マシンをサスペンドしたり、或いは当該時点のスナップショットを撮る際に発生し得た、OHCI(Open Host Controller Interface)のデッドロックを修正
- Linux(ホストOS、ゲストOS)の改善。「OpenSuse 15.6」「RHEL 9.5(Red Hat Enterprise Linux 9.5)」両カーネルをイニシャルサポート
- ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善(共有クリップボード)。Windows(ホストOS)、X11(「AlmaLinux 9」等のゲストOS)間にてテキストをコピーする際に、余分な改行が貼り付けられていた問題を修正
- UEFI Secure Boot(UEFIセキュアブート)の改善。新たな仮想マシンのリストに対して、新しいMicrosoftの証明書を追加
「VirtualBox 6.1」系はサポートを終了
「VirtualBox 6.1」系は、米国時間2024年1月16日付にてリリースされた「Oracle VM VirtualBox 6.1.50 Build 161033(Oracle VM VirtualBox 6 Update 1 Hotfix 50)」が最後のリリースとなっています。今後はバグフィックス、セキュリティ修正等のメンテナンスは行われませんので御注意下さい。macOS(ホストOS)に関しては、「macOS Mojave(macOS 10.14)」までのサポートが終了となっています。