ChromiumベースのWebブラウザー、「Sidekick」と「Blisk」

Googleが主導するオープンソースのプラットフォーム「Chromium(クロミウム)」は、「Google Chrome」のコードベースとして知名度がある他、様々なWebブラウザー、OS、エディター等のコードベースとしても採用される等、その存在感を増しています。今回は、その「Chromium」から派生したWebブラウザーの中から「Sidekick」「Blisk」を紹介してみたいと思います。

スピードと機能性を両立し、生産性を高める「Sidekick」

PushPlayLabs Inc.から提供されている「Sidekick」は、「Chromium」をベースとしつつ、Webブラウザーとしての生産性を高めるための幾つかの機能が追加されています。中でも、独自AIの活用によるメモリー使用量の制御を大きな特徴としており、未使用のタブが検知されると自動的にサスペンド(スタンバイ)状態へと遷移され、確保されていたRAM容量の一部が解放されます。

また、インターフェイスの左サイドには「Ubuntu Dock」と類似したルックアンドフィールのランチャー(Dock)が実装されており、ここにはプロダクティビティプラットフォームの「Slack」、メッセージング、VoIPサービスの「WhatsApp」、及び「Gmail」「Discord」「Instagram」等の主要なWebアプリケーションがデフォルトにて登録されています。

ここに登録されているWebアプリケーションを実行すると、元から開いているコンテンツ(タブ)を上から覆うようにして表示されるため、既存のセッションを上書きして消すような事はありません。使用後は WebアプリケーションをDockに収納する事によって、既存のセッションが復元(再表示)される事となります。また、登録されている項目は 必要に応じて追加、並び替え等のカスタマイズを行う事も可能となっています。

その他では、ブラウジングエクスペリエンスを向上するためのアドブロック(広告ブロック)も実装されています。この機能はアドオン不要の標準にて実装されており、同じく組み込みで実装されている(これもChromiumベースの)「Brave Browser」と同様に、アドオンベースの広告ブロッカーを回避するような広告(例えば「YouTube」の広告)もブロックされます。尚、「Sidekick」のアドブロック(広告ブロック)では、ブロックした広告やトラッカーのリストを確認する事はできません。

「Sidekick」のアドブロック
「Sidekick」におけるアドブロック(広告ブロック)の設定パネル

尚、使用開始から1ヶ月間は有料プランの全機能が開放されていますが、1ヶ月が経過するとユーザー登録を促す大きめのボックスがインターフェイスを覆うように表示されます。このボックスは、任意のメールアドレスで認証する事によって解除する事が可能となっていますが、その後は有料プラン限定で提供されている機能に制限がかかる他、有料プランへの移行を促す通知が定期的に表示されます。

「Pro」プラン(Sidekick Pro)について

「Pro」プランのライセンスを購入して登録すると、無料版の全機能に加えて、以下の機能がアンロックされて使用可能となります。

  • サイドバー(ランチャー)に登録可能なアプリケーションの上限撤廃(無料プランは5個まで)
  • 複数のワークスペースの作成
  • Webアプリケーションに対する複数のアカウントの登録
  • Split-View(スプリットビュー)での表示
  • パスワード共有
  • カスタムWebアプリケーション
  • 無制限のセッション
  • タブセッション
  • プレミアムなカスタマーサポート

通常のブラウジングに限定した使用でも充分に軽快ですし、アドブロック(広告ブロック)のトグルも容易に呼び出し可能となっている他、Chrome Web Store(Chromeウェブストア)から「Google Chrome」と共通の拡張機能やテーマをダウンロードしてインストールする事も可能となっているので、メールアドレスで認証すれば、無料版のままメインブラウザーとして使用する事も可能でしょう。惜しむらくはアップデートのバージョン情報が分かりづらく、自動更新機能や通知機能も実装されていません。従って、アップデートは定期的に確認して、自分で取得しに行かなければならいようです。

様々なデバイスをエミュレート可能な「Blisk」

続いて紹介するblisk.ioによる「Blisk」は、主としてWeb関連のデベロッパー、コーダー等を対象として、デバイスマネージャーに登録されている各種のモバイルデバイス、タブレット、ノートパソコン等での表示をエミュレート可能なデベロッパーモードを実装しています。

「Blisk」のアドブロック
「Blisk」におけるデベロッパーモード。エミュレートするデバイスは、登録されたリストから任意に選択して組み合わせる事が可能となっています。

また、指定したデバイスでの表示をスクリーンショットにて記録可能な「Screen Capture(スクリーンキャプチャー)」や、指定したローカルの監視フォルダーを任意のタイミングにて自動更新可能な「Auto-refresh(オートリフレッシュ)」等の機能を実装している他、複数のデバイスをエミュレートしている場合には、「Chromium(クロミウム)」ベースのデベロッパーツールをデバイス毎に起動する事が可能となっています。

尚、「Blisk」では上記のデベロッパーモードの利用に時間制限があり、無料版で全機能を利用する事ができるのは1日30分以内に制限されています。制限時間を超えると、有料版への案内が表示されます。

有料版ではメインブラウザーとしての利用まで視野に

「Sidekick」「Blisk」共に無料版での利用には制限がありますが、「Chromium」をベースとしているだけに各種のWebサイト、Webサービスとの互換性も問題ありません。無料版ではセカンドブラウザーとして、有料版ではメインブラウザーとしての利用まで視野に入れて使い込めるのではないかと思われます。