「UTM Virtual machines 3.0(3.0.4)」リリース、「macOS Monterey(ゲストOS)」を実行可能に

UTMより現地時間2022年1月22日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア(エミュレーター)「UTM Virtual machines」のアップグレードリリースに相当する「UTM Virtual machines 3.0.4(UTM Virtual machines 3 Update 0 Hotfix 4)」がリリースされ、現在プロジェクトサイト、及びApp Storeを通じて、英語含む複数言語リソースを包含する マルチリンガル版のバイナリーパッケージ、ソースコードが入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとして「Apache License 2.0」が適用されています。FTPクライアントの「Cyberduck」等と同様に、プロジェクトサイトからは無料で配布されていますが、App Store版は開発支援の目的にて有料となっています)。

macOSのVirtualization.frameworkをバックエンドとしてサポート

バックエンドとして「QEMU 6.2.0」を実装している当版では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(UTM Virtual machines 2.4.1)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • 新規仮想マシンをウィザード形式にてアシストする「VM creation wizard」を実装
  • ANGLE、及びvirglrendererを最新のコミットにアップデート。virglrendererのアップデートによって、OpenGLグラフィックスを使用した場合に、「iOS 15」「iPadOS 15」において発生し得たパープルスクリーンリブートが修正される
  • ARM64仮想マシンに向けて、新たにホストCPUオプションを追加。このオプションは、新規に作成された仮想マシンのデフォルトとなる
  • ダウンローダーが、ZIPファイルに対してCRCチェックを行わなくなり、展開する際の実行速度を大幅に高速化
  • 「iOS 13」以降を対象として、小サイズのディスプレイ環境にて有用な、コンパクトでユーザーフレンドリーな新たなツールバーを実装。移動可能で、且つ画面の上部中央に位置する「iOS 15」のマルチタスクボタンに干渉しない(ツールバーのインターフェイスのイメージ
  • Apple Silicon(Apple M1 chip)において、macOSのVirtualization.frameworkバックエンドとの新たな統合により、ネイティブハードウェアアクセラレーションによる「macOS Monterey(macOS 12)」の仮想化をサポート(ゲストOSとして実行可能)。CPUとGPUの双方を仮想化し、最新のmacOSのインストーラーを Appleからダイレクトにダウンロード可能(この機能は、ARM64(AArch64)で実行されている「macOS Monterey(macOS 12)」以降においてのみサポートされる)
  • And many others…

システム要件と仮想マシンの保存場所

UTMは、バックエンドに macOSのVirtualization.framework、及びCPUエミュレーター「QEMU」のコードを実装し、種々のアーキテクチャー(x86_64、ARM64、PowerPC64等)のゲストOSを実行可能とします。GUIクライアント(フロントエンド)のUTM.appはUniversal Binaryとしてビルドされており、「iOS 14.4」以降、及びIntel、Apple Silicon 双方の「macOS Big Sur(macOS 11)」以降(「macOS Monterey(macOS 12)」を含む)をホストOSとしてサポートしています。

また、作成した仮想マシンの保存場所は入手ルート(公式サイト、或いはAppleによるMac App Store)によって異なります。何れも「Parallels Desktop for Mac App Store Edition」や、嘗ての「Veertu」と同様にサンドボックスモデルに対応しているため、公式サイトからダウンロードしたバイナリーでは「/Users/username/Library/Containers/com.utmapp.UTM/Data/Documents/」以下に保存される事となり、Mac App Storeから入手したアプリケーションでは「/Users/username/Library/Group Containers/」以下に保存される事となります。

尚、サンドボックス化されたアプリケーションは、デフォルトの状態では 当該アプリケーションからユーザーフォルダーにアクセスする事ができません(「Downloads(ダウンロード)」フォルダーに権限が付与されている場合は、その限りではありません)。上記のフォルダーにアクセスするためには、Finderがアクティブな状態で「Go(移動)」>「Go to Folder…(フォルダへ移動…)」を選択し、表示されたブランクのフィールドに当該のパスを入力し、「Go(移動)」をクリックします。