「UTM Virtual Machine‪s 2.2.4」リリース、ブリッジネットワークをサポート

UTMより現地時間2021年9月10日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア(エミュレーター)「UTM Virtual Machine‪s」のアップデートリリースに相当する「UTM Virtual Machine‪s 2.2.4(UTM Virtual Machine‪s 2 Update 2 Hotfix 4)」がリリースされ、現在プロジェクトサイト、及びApp Storeを通じて、英語含む複数言語リソースを包含する マルチリンガル版のバイナリーパッケージ、ソースコードが入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとして「Apache License 2.0」が適用されています。App Store版は有料となります)。

※FTPクライアントの「Cyberduck」等と同様に、プロジェクトサイトからは無料で配布されていますが、App Store版は開発支援の目的にて有料となっています。

OpenGLアクセラレーション、EFI Bootにも対応

バックエンドとして「QEMU 6.1.0」を実装している当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティーアップデート等が行われており、前版(Ver. 2.2.0)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • 「macOS Big Sur 11.3(ホストOS)」以降の環境を対象として、ブリッジネットワーク、共有ネットワークをサポート(システム構成パネルにおける「Network」を通じて設定可能)
  • macOS Big Sur 11、iOS 13(何れもホストOS)以降の環境を対象として、Linux(ゲストOS)におけるOpenGLのGPUアクセラレーションに対応。この機能を有効化するためには、「virtio-ramfb-gl」、或いは「virtio-vga-gl」ディスプレイデバイス、及び互換性のあるLinuxドライバーが必要なる(殆どのモダンなLinuxディストリビューションにはプリインストール済み)。3Dグラフィックスをアクセラレートするためのvirtio-gpuドライバーにはWindows版が存在しないため、現時点でWindows(ゲストOS)に向けて この機能を提供する事はできない。新規に作成された仮想マシンは、サポートされているアーキテクチャーにおいては デフォルトにて「GPU Supported」ディスプレイデバイスとなるが、既存の仮想マシンは、ディスプレイ設定においてディスプレイデバイスを手動で変更する必要がある。GPUアクセラレーションは試験的な機能として位置づけられているため、多くの3Dユースケース等、現時点では想定通りに機能しない場合もある
  • EFIブートのサポート。PC、Q35、virt *マシンに向けて作成された新規仮想マシンのデフォルトにて、EFI(Extensible Firmware Interface)が有効化されるべくした変更を適用(以前の版では、virt *マシンに向けてのみ有効となっていた)。ブートとの互換性を考慮して、既存のPC、Q35仮想マシンではEFIが有効化されておらず、「Settings」>「Advanced」構成を通じて、UEFI Bootを手動で有効化する必要がある。これを実践するためには、仮想マシンに対してブートローダーを再インストールを必要があるかも知れない。この変更の一環として、ARM、x86双方の仮想マシンにおいて、EFI変数も適切に処理される事となる。仮想マシンに向けてカスタムpflashデバイスを構成した場合には、新たなUEFIブートオプションは 以前と同様に有効化されない

システム要件と、仮想マシンの保存場所

UTMは、バックエンドにCPUエミュレーター「QEMU」のコードを実装し、種々のアーキテクチャー(x86_64、ARM64、PowerPC64等)のゲストOSを実行可能とします。GUIクライアント(フロントエンド)のUTM.appはUniversal Binaryとしてビルドされており、「iOS 14.4」以降、及びIntel、Apple Silicon 双方の「macOS Big Sur 11」をホストOSとしてサポートしています(iOSホストにおけるJailbreak(ジェイルブレイク、脱獄)の必要性には言及しません)。

また、作成した仮想マシンの保存場所は入手ルート(公式サイト、或いはAppleによるMac App Store)によって異なります。何れも「Parallels Desktop for Mac App Store Edition」や、嘗ての「Veertu」と同様にサンドボックスモデルに対応しているため、公式サイトからダウンロードしたバイナリでは「/Users/username/Library/Containers/com.utmapp.UTM/Data/Documents/」以下に保存される事となり、Mac App Storeから入手したアプリケーションでは「/Users/username/Library/Group Containers/」以下のフォルダーに保存される事となります。

尚、サンドボックス化されたアプリケーションは、デフォルトの状態では 当該アプリケーションからユーザーフォルダーにアクセスする事ができません(「Downloads(ダウンロード)」フォルダーに権限が付与されている場合は、その限りではありません)。上記のフォルダーにアクセスするためには、Finderがアクティブな状態で「Go(移動)」>「Go to Folder…(フォルダへ移動…)」を選択し、表示されたブランクのフィールドに当該のパスを入力し、「Go(移動)」をクリックします。