「Linux Mint 19.2」を「Parallels Desktop 15」にインストール

Cinnamon版で「Parallels Tools(for Linux)」のインストールまで

愛Linux Mint teamによるLinuxディストリビューション「Linux Mint 19.2(開発コードネーム「Tina」)」が、現地時間2019年8月2日付にてGAリリースを迎え、現在プロジェクトサイト、及び各地のミラーサイトを通じて、x86-64(AMD64)を対象としたisoイメージが入手可能となっています。Linux Mintは、アーキテクチャー、デスクトップ環境別に6種のエディション(Cinnamon、MATE、Xfce)が提供されていますが、今回は 同オペレーティングシステムのCinnamon Editionを、macOS(Mac OS X)ベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop 15」にゲストOSとしてインストールしてみましたので、そのプロセス等を簡単に纏めてみたいと思います。

「Parallels Desktop for Mac」には、「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」に Linux(ゲストOS)を対象とした自動インストール機能「Linux Express Installation(Linux簡易インストール)」オプションが実装されている他、同アシスタントを通じて プリセット済みの仮想アプライアンスをダウンロードする事も可能となっていますが、当ポストでは インストーラーを通じたマニュアルインストールを実践しています。

仮想マシン作成時のゲストOSのタイプは「Ubuntu」を選択し、ホストシステムとのバランスを考慮しながら 仮想マシンにプロセッサーとメモリーを割り当てます。使用条件にもよりますが、仮想マシンには 2プロセッサー、2〜4GBメモリーを目安に割り当てを設定します(ホストコンピューターのスペックに余裕があれば、割り当てを増やすと良いでしょう)。

「Linux Mint」はベースとなるUbuntuと同様に、ダウンロードしたisoイメージ(Live CD)を そのままインストールCDとして使用する事が可能となっており、インストーラーのウィザードに従って、インストールオプション、タイムゾーン指定、キーボードレイアウトの選択、アカウント設定等を行っていく事となります。

「Parallels Desktop 15 for Mac」は、米国時間2019年8月12日付にてリリースされた「15.0.0 Build 46967(現行GA版)」の段階において「Linux Mint 19.2」をゲストOSとして正式にサポートしていませんが、同梱されているゲストOS拡張機能「Parallels Tools」をカーネルモジュールとして組み込む事が可能です。

同ツールをメニューからインストールする場合には、「Actions(処理)」>「Install Parallels Tools…(Parallels Toolsのインストール…)」を選択します。すると、ptiagent(Parallels Tools Installation Agent)が起動しますので、同時に表示された認証ダイアログボックスに管理者権限のパスワードを入力すると、コマンドを入力する事なく、自動でインストールプロセスが進行します。この辺りのハンドリングは「Parallels Desktop 13」からの改善点の一つとなり、シンプル、且つユーザビリティに優れたプロセスと言えるでしょう(「Oracle VM VirtualBox」でも、類似したインターフェイスが提供されています。尚、VMwareの場合は「VMware Tools」ではなく、各OSベンダ、OSコミュニティから提供されているオープンソース実装「open-vm-tools」を利用した運用が推奨されています)。

「Parallels Tools(Linux)」のインストール
↑「ptiagent64」の起動後、認証ダイアログボックスに管理者権限のパスワードを入力すると、コマンドを入力する事なく、自動でインストールプロセスが進行します

「Parallels Tools」のインストール後には、マウスシンクロナイズ、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション、共有フォルダ等の諸機能が利用可能となりますが、現時点では動作しない(或いは動作しても適切に機能しない)機能も確認されていますので、本格的に利用される場合等には正式対応を待たれた方が良いかと思われます(現時点で、Coherence(コヒーレンス)モードは機能しません)。

一方で、Ver. 15では 同版における新機能の一つとして、準仮想化デバイスのフレームワーク「virtio(virtio-gpu)」がサポートされ、「Parallels Tools」がインストールされていない状態でも、マウスシンクロナイズとダイナミックレゾリューションが機能するようになっています。これは、特に新規インストールを行う場合には有効な機能となるでしょう。

Linuxカーネル、デスクトップ環境、Debianエディション

GAリリース時において「Linux Kernel 4.15」「X.Org Server 1.19.6」を実装する Ver. 19.2では、デフォルトのデスクトップセッションとして、GNOMEシェルからフォークしたデスクトップ環境「Cinnamon」、「GNOME 2」からフォークした「MATE」、及びXfceを採用する3種のエディションが提供されています(LTS(Long Term Support)としてリリースされている当版では、2023年までのサポート期間が設けられています。尚。「MATE」の発音は「メイト」ではなく「マテ」です。「マテ茶」の「マテ」です)。

また、Linux Mint teamからは Debianをベースとした「LMDE(Linux Mint Debian Edition)」も提供されており、こちらは英国時間2018年8月31日付にてリリースされた「LMDE 3 Cindy(Linux Mint Debian Edition 3 Cindy)」が現時点における最新版となります。

当版、及び各エディションにおける変更点等

この度リリースされた「Linux Mint 19.2」では、「Update Manager(アップデートマネージャ)」において Linuxカーネルのハンドリングが改善され、各カーネルのサポート期間が表示されるベくした改善が適用されています。また、複数のLinuxカーネルのインストール、アンインストールを一括して実行する事が可能となった他、新たに追加された「Remove Kernels…」ボタンを通じて、旧版のカーネルを容易に削除する事が可能となっています。

Cinnamonエディション

「Cinnamon 4.2」が実装された当エディションでは、内部コンポーネント(「DocInfo」「Appsys」、及びウインドウマネージャ「Muffin」等)のリライトによって メモリ使用量の低減が実現されている他、アプリケーションメニューにおいて重複エントリの識別が可能となっています。

MATEエディション

「MATE 1.22」が実装された当ディションでは、新たに「Metacity 3」のテーマがサポートされた他、ウインドウとデスクトップスイッチャーの再デザインが行われています。また、セッションマネージャーにおいては、systemdのサポートが改善されています。

「Linux Mint 19.2」の「Firefox 68」
↑「Linux Mint 19.2(Tina、ゲストOS)」on「Parallels Desktop 15 for Mac(15.0.0 Build 46967)」on「macOS Mojave 10.14.6(ホストOS)」。適用されているテーマは、フラットでスクエアな デフォルトテーマ「Mint-Y」のダークモード「Mint-Y-Dark-Aqua」。同テーマは、CSSにおけるメディア特性「prefers-color-scheme」においてもダークモードとして検出されるため、対応環境(Safari、Firefox、Google Chrome、及びメディア特性が指定されたWebサイト)では、Webサイトのコンテンツもダークモードに切り替わります。上記のスクリーンショットは、「Firefox Quantum 68.0.2」において、webkit.orgを表示しています