「VMware Fusion Tech Preview 22H2」リリース、「Windows 11」「Virtual TPM 2.0」に対応

米Broadcom傘下のVMware, Inc.より米国時間2022年7月28日、開発過程にある 次世代デスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Fusion Tech Preview(for macOS)」の最新プレビュー版(パブリックベータ「Fusion 2022 TP」)に相当する「VMware Fusion Tech Preview 22H2 Build 20191287(e.x.p. 20191287 Jul.)」がリリースされ、現在VMwareによる公式ダウンロードページを通じて、日本語含む複数言語リソースを包含する マルチリンガル版のバイナリーパッケージが入手可能となっています(当版は、現時点では開発過程にあるプレビュー版に相当します。何れの機能も正式なサポートを受ける事はできませんので、試用する場合には御注意下さい。バージョン表記は、現時点では暫定的に付されているものです。今後の開発過程において、正式なバージョン番号が付与されます)。

Intel、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)両アーキテクチャーに対応した「Universal 2 Binary」としてビルドされ、「Windows 11」をゲストOSとして実行可能に

次世代版のテスト、評価等を主目的としたプレビュー版として位置付けられている当版では、GUIクライアント(VMware Fusion.app)が「Universal 2 Binary」としてビルドされ、Intel、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)の両アーキテクチャーにおいて、各々のゲストOSをネイティブにて実行可能となっている他、前版(VMware Fusion Tech Preview 21H1)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • 単一のアプリケーションパッケージ(VMware Fusion.app)にて、Intel、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)の両アーキテクチャーにおいてネイティブ実行可能な「Universal 2 Binary」としてリリース。複数のライセンスを纏めて展開する組織においては、管理下にある既存のMac、及び新たなMacに対して同じ資産を使用する事が可能(「Parallels Desktop 17 for Mac」以降と同様のアプローチ)
  • Intel、或いはARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2 Mac)」をホストシステムとしてする環境において、Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 11」をゲストOSとして実行可能に。ARM環境においては 2Dグラフィックス、ネットワーキングにも対応し、ゲストOS拡張機能「VMware Tools」もインストール可能
  • Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)ホストにおいて、Linux(ゲストOS)のサポートを改善
  • Linux(ゲストOS)において、ハードウェアアクセラレーションによる3Dグラフィックス、及び「OpenGL 4.3」に対応(「Linux kernel 5.19」以上、グラフィックスライブラリー「Mesa 22.1.3」以上を実装する環境において対応)
  • Virtual TPMモジュールの強化。「Windows 11(ゲストOS)」に向けて新規に作成され仮想マシンに対して、同OSのシステム要件(互換性)を満たすべくして「Virtual TPM 2(Virtual Trusted Platform Module 2、仮想TPM 2)チップが自動的に追加されるべくした改善を適用。この仮想デバイスプロファイルを使用して、高速な暗号化、キーの自動生成、Keychain(キーチェーン)を介したキーストレージを組み込む事が可能となった。尚、vTPMデバイスは 任意の仮想マシンに対して追加する事が可能であるが、当該の仮想マシンにおいては、完全な或いは高速な仮想マシンの暗号化が有効になっている必要がある
  • 高速な暗号化。新たに実装された高速暗号化モードでは、仮想マシンのローカルストレージスペースの最もクリティカルな部分のみが暗号化され、仮想マシン全体のパフォーマンスが劇的に改善されますが、一方では、TPM(Trusted Platform Module)デバイス等のセンシティブなデータに向けた、安全なエンクレーブが提供される。高速な暗号化は、新規仮想マシン作成時におけるウォークスルー中、或いはセッティングエディターにおける「Others(その他)」>「Encryption(暗号化)」を通じて、全ての仮想マシンタイプに対して個別に適用する事が可能
  • 暗号化キーの自動生成と保存。新たな高速暗号化モデルを強化するために、ユーザーのパスワードを自動生成可能に。デフォルトでは、ローカルキーチェーンに暗号化キーが保存され、仮想マシンの起動毎にパスワードを入力する必要がないように配慮されている(パスワードは、できれば使用したくないお荷物のようなものです…)
  • ARMアーキテクチャーにおける、Windows(ゲストOS)を対象とした2Dグラフィックスドライバー。「Windows 11(ゲストOS)」の外観を可能な限り向上させるために、グラフィックスドライバー(ディスプレイドライバーモデル(WDDM(Windows Display Driver Model))の初期バージョンを追加。当該環境において4K以上の高解像度を提供するために、Windows(ゲストOS)においてディスプレイ設定を調整する事が可能に
  • ARMアーキテクチャーにおける、Windows(ゲストOS)を対象とした「vmxnet3」ネットワークドライバー。WoA(Windows On ARM)には、Intel版のように「vmxnet3」ネットワークドライバーが同梱されていないが、今回のリリースにおいて、ARM環境におけるゲストOS拡張機能「VMware Tools」のISOに、グラフィックスとネットワークに向けて現在サポートされている2種のドライバーを追加した
  • Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)ホストにおけるLinux(ゲストOS)サポートの改善。種々のオペレーティングシステムのコミュニティ、Mesa 3D Graphics Library、Linux等のオープンソースプロジェクト、及びゲストOS拡張機能「VMware Tools」のオープンソース実装「open-vm-tools」と協力して、LoA(Linux On Apple Silicon)のエクスペリエンスに多くの機能強化を行った。様々なカーネル関連の問題を解決するために、パッチがアップストリームされた他、3Dグラフィックスに向けたハードウェアアクセラレーション、及び「OpenGL 4.3」「GLES 3.1(OpenGL for Embedded Systems 3.1)」のサポートを「Mesa 22.1.1」以降のLinux(ゲストOS)に齎す「Mesa SVGA」グラフィックスドライバーの機能強化を適用(3Dグラフィックス、及び「OpenGL 4.3」を利用するためには、「Linux kernel 5.19」、及び「Mesa 22.1.1」以降が必要)
  • 3Dグラフィックスを含むグラフィックス関連の改善。「Linux kernel 5.14」以降において導入されたオープンソースの「vmwgfx」デバイスドライバーに対する変更は、多くの最先端の、或いはローリングリリースのLinuxディストリビューションにおいて直ぐに使用する事が可能となっており、ユーザーがゲストOSにおいて解像度を変更できるようにしながら、スムーズな「vm-driving」エクスペリエンスを提供する
  • ゲストOSにおけるディスプレイ解像度の自動調整。「open-vm-tools 12.0.5」は、当リリースと連携して、ゲストOSのディスプレイ解像度の自動調整機能を提供するようになった。ユーザーは、コンソールウインドウのコーナーをドラッグする事が可能となり、ゲストOSにおいては、「Debian GNU/Linux 12(コードネーム「bookworm」)」、Sid、及び「Fedora 37 Rawhide」等のディストリビューションにおいて、ウインドウサイズの変更に応じてディスプレイ解像度が自動的に調整されるようになった(ゲストOSにおけるディスプレイ解像度は、「View(表示」」>「Resize Virtual Machine(仮想マシンをリサイズ)」メニューからも指定する事が可能)
  • 起動時に発生し得たバグを解消。これまでのリリースには、「Linux kernel 5.14」以降の正常な起動を妨げる幾つかのバグが確認されていた。コミュニティと協力して、単一のコードベースを使用して複数のアーキテクチャーで動作する場合のニュアンスの乖離に対応するために、Linuxカーネルの問題と独自のコードの問題に対処した。Debian、Fedora、Kali Linux等の公開された変更が反映されたディストリビューションは、最新のグラフィックスドライバー、Mesa 3D Graphics Libraryに向けたパッチ、ゲストOS拡張機能「open-vm-tools」と組み合わせる事によって正常に起動し、快適なユーザーエクスペリエンスを提供する事が可能となる
  • And many others…

Apple Silicon on Intel、Intel on Apple Siliconといった、アーキテクチャーをクロスしてのゲストOSの実行には対応しない

GUIクライアント(VMware Fusion.app)を含むアプリケーション全体は、Intel、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)の両アーキテクチャーにおいてネイティブ実行可能な「Universal 2 Binary」としてビルドされていますが、アーキテクチャーをクロスしてのゲストOSの実行(例えばIntelホストにおけるARM(ゲストOS)の実行、Apple SiliconホストにおけるIntel x86_64(ゲストOS)の実行)には対応していません。

「macOS Big Sur(macOS 11.0)」「macOS Monterey(macOS 12.0)」「macOS Ventura(macOS 13.0)」において実装されているバイナリートランスレーター「Rosetta 2」では、Kernel Extension(カーネル拡張)、及びx86-64ベースの仮想マシン、仮想化ソフトウェアはサポートされない伝えられている事から、エミュレーターとしての機能(命令セットのエミュレーション)を提供しないと伝えられている現状では、Intel Macに向けた これまでの「VMware Fusion」にて作成されたx86-64ベースの仮想マシン(ゲストOS)は、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)ホストの「VMware Fusion」では動作しないと結論付けて良いでしょう(Apple Siliconを搭載したMacにおいては、必要なエンジニアリング作業とビジネス価値のバランスを考慮して、x86ベースのゲストOSのインストール、実行をサポートする計画はないと伝えられています)。

macOS(ゲストOS)、Linux(ゲストOS)の現状について

macOSのゲストOSとしての実行は、Appleと協力して解決すべき課題が残されているために現在調査中の段階にあり、短期的にはサポート対象の範囲外になると伝えられています。また、arm64アーキテクチャーの「Ubuntu 20.04.4 LTS(Focal Fossa)」「Ubuntu 22.04 LTS(Jammy Jellyfish)」は、現時点においてVMware仮想マシンにおけるゲストOSとして起動する事ができません(英語時間2022年7月5日以降の「Ubuntu 20.04.4」のビルドにおいて この状況を解決するために、現在鋭意開発中であると伝えられています)

open-vm-toolsのARM版(aarch64)版も利用可能

Linux(ゲストOS)に向けた「VMware Tools」のオープンソース実装「open-vm-tools」 のARM(aarch64)プラットフォーム版は、一部のディストリビューションに向けて提供が開始されています。従って、対応するシステムでは ゲストOS拡張機能をインストールする事によって齎される各種の機能(3Dグラフィックスに向けたアクセラレーション、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション(フルスクリーンモードを含む)、ゲストOS、ホストOS間におけるテキストのコピーアンドペースト、ファイルのドラッグアンドドロップ等)を利用する事も可能となります。

また、この対応を拡充するために、種々のLinuxアップストリームプロジェクトと引き続き協力して、open-vm-toolsをサポートするために必要なカーネルパッチを構築している状況であるとも伝えられています。

WoA(Windows On ARM)の仮想マシンでの実行は?

WoA(Windows On ARM)の仮想マシンでの実行は、技術的に可能であっても製品構成、及びライセンスの壁が実現を阻む事となるかも知れません。これが製版版ではなく、インサイダープレビュー(Windows 11 on ARM Insider Preview)であっても、ライセンス版の「Windows 10」がインストールされたシステムに対してのみ、ゲストOSとしてインストールする事が可能であると解釈する事ができます(つまり、ARM64をゲストOSとして実行可能と許諾しているハードウェアのリストにApple Siliconが含まれていないため、インサイダープレビューであっても、Apple製コンピューターでの実行はグレーゾーンではないか、といった懸念が残ります)。

尚、WoA(Windows On ARM64)をゲストOSとして実行可能なシステムとしては「Microsoft SQ1」「Microsoft SQ2」「Qualcomm Snapdragon 7c」「Qualcomm Snapdragon 7c Gen 2」「Qualcomm Snapdragon 8c」「Qualcomm Snapdragon 8cx」「Qualcomm Snapdragon 8cx Gen 2」「Qualcomm Snapdragon 850」が明記されており、このリストに「Apple M1、Apple M2」は含まれていません。

この度リリースされたTech Previewは、プレビュー用のライセンスが認証された状態で提供されているので、新たにシリアルナンバー等を入手する必要はありません。期間限定のプレビュー版ではありますが、フリーウェアの様な感じで試用する事ができます(別途に、VMTN(VMware Technology Network)のアカウントが必要となります)。

また、現行GA版「VMware Fusion 12」のサポート期間は延長されており、必要な更新が2022年12月まで提供される予定となっています。