「KDE Plasma」との互換性改善等
Oracle Corporationより米国時間2018年4月17日、マルチプラットフォームに対応したオープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 5.2.10 Build 122088(VirtualBox 5.2 Maintenance Release 10)」がリリースされ、現在コミュニティサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、OS X、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、及びPUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(Mac OS X版 dmg 約91.0MB。バイナリとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。
Ver. 5.2を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている当版では、バグフィックス、パフォーマンス改善等が行われており、前版(「5.2.8 Build 121009」)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
- MMIO(Memory Mapped Input/Output)コードにおいて、NULLポインタのチェックに失敗していた問題を修正
- ストレージ関連の改善。ICH9(Intel I/O Controller Hub 9)チップセットが有効化された環境にて、複数のNVMe(NVM Express(Non-Volatile Memory Express))コントローラを割り当てた場合に発生し得た問題を修正(「5.2.0 Build 118431」におけるリグレッション)
- ネットワーク関連の改善。アンバウンドIPプロトコルを伴うアダプタに対してブリッジする場合に発生し得た、ワイヤレスの検出に関連したリグレッションを修正
- Windows(ホストOS)において、一部のアダプタにブリッジした場合に、「VERR_INTNET_FLT_IF_NOT_FOUND」が発生し得た問題を修正(仮想マシンを適切に起動する事ができなかった問題等)
- オーディオ関連の改善。エミュレートされたHDA(High Definition Audio)を伴うFreeBSD(ゲストOS)において発生し得た、interrupt storm(プロセッサの時間の大部分を消費する、過度の割り込みを受け取るイベント)を修正
- キーボード関連の改善。入力されるスキャンコードを複数回読み取る事が可能とされる、古いソフトウェアを修正するための小さな遅延を導入
- Windowsインストーラ関連の改善。ホストコンピュータの再起動が実行されるまで 正常なアップデートが機能しないため、当該時点におけるVBoxインストレーションが実行中の場合には、「Ignore(無視)」アクションが除去されるべくした変更を適用
- NAT関連の改善。有効な設定のネームサーバ(0.0.0.0)を 適切に処理すべくした改善を適用(NATモードにおいて、DNSサーバ(IP「0.0.0.0」)が、ゲストOSに対して適切にプロパゲートされなかった問題を修正)
- BIOS(Basic Input/Output System)関連の改善。処理が完了した場合に、INT 15h/87hサービスによって、A20ゲートが無効化されるべくした変更を適用
- ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。デスクトップ環境「KDE Plasma」の起動時に、ハングアップするケースが確認されていた問題を修正(Linux Guest Additions)
※リリース時において Windows版の公開が遅れていましたが、米国時間2018年4月27日付にてリリースされ、現在では全プラットフォームにおいて利用可能となっています。
その他にもOracleからは、同日付にて旧版(Ver. 5.1)を対象としたアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 5.1.36 Build 122089(VirtualBox 5.1 Maintenance Release 36)」もリリースされ、「5.2.10 Build 122088」と同様の MMIO(Memory Mapped Input/Output)コード関連の問題の修正等が行われています。