米ReactOS Foundationによるオープンソースオペレーティングシステム「ReactOS」は、約10年間に及ぶVer. 0.3(Alpha版)としての開発を終え、米国時間2016年2月16日付にてアップデートリリースに相当するVer. 0.4(Beta版)をリリースしました。今回は、同オペレーティングシステムのアップデートリリースとして、米国時間2017年2月16日付にてリリースされた「ReactOS 0.4.4」を、オープンソース仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox 5.1(for macOS(Mac OS X))」にゲストOSとしてインストールしてみましたので、そのプロセス等を簡単に纏めてみたいと思います。
「Guest Additions(for Windows)」もインストール可能
現在、Betaステージにて開発が行われているReactOSは、実機に直接インストールするよりも、主として仮想環境での利用が想定されるかと思いますが、開発サイドからは VirtualBox、VMware、QEMUでの運用が推奨されています(勿論、Parallels Desktop for MacやVeertu Desktopでも動作します)。当エントリでは「ReactOS 0.4.4(ゲストOS)」on「Oracle VM VirtualBox 5.1.14 Build 112924」on「macOS Sierra 10.12.3(ホストOS)」の環境にて試用してみました。
「VirtualBox 5.1」は、現行GA版「VirtualBox 5.1.14」の段階において「ReactOS 0.4.4」をゲストOSとして正式にサポートしていませんが、新規仮想マシンの作成時には ゲストOSのタイプとして「Windows XP」を、仮想ディスクとしてVirtualBox仮想ディスク(.vdi)を各々選択し、インストーラーに従ってインストールプロセスを進めて行きます(過程のウィザードで、言語設定やインストールオプション、キーボードレイアウトの選択、仮想ディスクのパーティショニング、フォーマット等を設定します)。
また、未サポートながらも 同梱されているオープンソースのゲストOS拡張機能「Guest Additions」をデバイスドライバーとして組み込む事も可能となっており、同ツールのインストール後には、マウス統合、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション(フルスクリーンモードを含む)等の諸機能が利用可能となります(「Guest Additions(for Windows)」のインストレーションは、ウィザードを通じたGUIに対応していますが、オートランは動作しません。今回は、マウントされたイメージファイルに含まれている複数のパッケージの中から「VBoxWindowsAdditions-x86.exe」を手動で実行して、インストールプロセスを開始しています)。
↑GUIウィザードを通じて、「ReactOS 0.4.4」に「Guest Additions」をインストール
※現時点では動作しない(或いは動作しても適切に機能しない)機能も確認されていますので、試用される場合には御注意下さい。尚、Seamless(シームレス)モードは、(私の環境では)画面遷移までは行きましたが、その後すぐに BSOD(Blue Screen of Death、ブルースクリーン)が発生しました。
↑「ReactOS 0.4.4(ゲストOS)」on「Oracle VM VirtualBox 5.1.14 Build 112924」on「macOS Sierra 10.12.3(ホストOS)」
「ReactOS」は、アプリケーション、デバイスドライバー等における、バイナリーレベルでの「Windows NT(系列)」互換環境を目標としている オープンソースのオペレーティングシステムです(クリーンルーム方式によるリバースエンジニアリングで、スクラッチから開発が行われています)。リソース使用量は非常に少なく、インストール直後の仮想マシンの容量は約340MB(「Guest Additions」のインストール後も約376MB)。また、OSの起動に要する最小メモリ容量は96MBと、非常に軽量な点も特徴の一つとして挙げられ、インターフェイスは「Windows 2000」等を模した、クラシックなWindowsテーマが採用されています。