「Parallels Desktop 18.2.0」リリース、Microsoftは「Windows 11 on ARM」をゲストOSとして許諾

「Parallels Desktop for Mac」のアップデートと共に、仮想環境における「Windows 11 on ARM(ゲストOS)」の実行に関して大きな動きがありましたので、併せて纏めてみたいと思います。

AlludoグループのParallels International GmbHより米国時間2023年2月15日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac」のアップデートリリースに相当する「Parallels Desktop 18 for Mac 18.2.0 Build 53488(Parallels Desktop 18 Update 2 Hotfix 0)」がリリースされ、現在Parallelsによる公式ダウンロードページ、及びビルトインのソフトウェアアップデーター(「Parallels Desktop」>「Check for Updates…(更新をチェック…)」)を通じて、日本語含む複数言語リソースを包含するマルチリンガル版のバイナリーパッケージが入手可能となっています。

Apple Siliconホストにおいて、「RHEL 9.1(Red Hat Enterprise Linux 9.1)」をゲストOSとしてサポート

Ver. 18を対象としたアップデートリリースとして位置付けられている当版では、Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)において「RHEL 9.1(Red Hat Enterprise Linux 9.1)」がゲストOSとしてサポートされました。その他にも機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(Parallels Desktop 18.1.1)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

全般的な改善

  • 「Standard Edition」のユーザーに対して「Pro Edition」の機能を明示する事によって、より高度な機能を発見し易くすべくした変更を適用(「Pro」ラベルが付された諸機能は、クリックにて非表示にする事が可能)
  • 「Ubuntu 22.04 LTS(Jammy Jellyfish、ゲストOS)」をサスペンドからレジュームした後に、ビデオが適切に再生されないケースが確認されていた問題を修正
  • 「Windows 11(ゲストOS)」における利用可能なWebブラウザーのリストから「Safari」が欠落していた問題を修正
  • 仮想マシンに接続されたSDカードにおいて、ファイルの書き込み、読み込みを行う事ができなかった問題を修正
  • Pytha 3D CADソフトウェアにおいて、3Dオブジェクトのブラックラインが正しく表示されなかった問題を修正
  • 幾つかの安定性、セキュリティ、及びパフォーマンス関連の問題を修正

「Pro Edition」に向けた改善

  • Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)ホストにおいて実行されるmacOS(ゲストOS)において、コマンドラインユーティリティ「prlctl」における exec、enterコマンドを自動的に実行可能に

「Business Edition」に向けた改善

  • 「Launch path not accessible(起動パスにアクセスできません)」というエラーに起因して、マスデプロイメント(一括展開)に失敗するケースが確認されていた問題を修正
  • 管理者ガイドをアップデート

システム要件について

当版におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、ホストOSは「macOS Mojave(macOS 10.14)」以降(「macOS Ventura(macOS 13)」を含む)となっています。「Parallels Desktop 17」にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13.6)」は 対象外となりますので御注意下さい(ゲストOSとしてのMac OS X(macOS)のサポートは「Mac OS X Server 10.5(Leopard Server)」〜「macOS Ventura(macOS 13)」となります)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、PTN(Parallels Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

Microsoftが「Windows 11 on ARM」をゲストOSとして許諾

Microsoftより米国時間2023年2月16日、ライセンスを更新して、IT管理者、エンタープライズ用途に向けた「WoA(Windows On ARM)」を実行するための認定ソリューション(Authorized Solution)として「Parallels Desktop 18 for Mac」を承認したとの発表がありました。

ARMアーキテクチャーをベースとした「Windows 11」にはリテール版(パッケージ版)が提供されておらず、OEMに限定されて使用が許諾されており、これまで「Parallels Desktop for Mac」「VMware Fusion」「Oracle VM VirtualBox」等の仮想環境においてはインサイダープレビューにて試用されていましたが、今後は IT管理者、エンタープライズ環境のApple Silicon(Apple M1、Apple M2)ホストにおいて、GA版の「Windows 11 Pro」「Windows 11 Enterprise」をゲストOSとして実行する事が許諾されます。

尚、ネスト仮想化等、仮想化の追加レイヤーに依存するエクスペリエンスはサポートされず、これには「Windows Subsystem for Android」、「Windows Subsystem for Linux」「Windows Sandbox」「VBS(Virtualization-based Security)」が含まれます。また、MicrosoftによるマルチメディアAPI「DirectX 12(Direct3D 12)」もサポートされません。