「FileZilla」の転送キューについて

macOS(OS X)を含むマルチプラットフォームに対応し、米国時間2022年10月27日付にてリリースされたVer. 3.62.0においてダークモードに対応した FTPクライアントの「FileZilla」は、特徴的な機能の一つとして「Transfer Queue(転送キュー)」を実装しています。

「ForkLift」「Commander One」等、コピーのキューイングに対応したアプリケーションは他にもありますが、複数の異なるディレクトリーに点在したファイル(フォルダー)をキューに一時的に蓄積して、任意のタイミングで一括して転送する事ができるのは、恐らくmacOSプラットフォームにおいて数多くはないでしょう。

コピーのキューイング(queuing)とは

コピーや移動といったファイルの転送を、複数のタスクにて実行する場合のプロセスは、これらを同時に処理する並列転送と、待ち行列を作成して1タスク毎に順番に処理する直列転送に分類されます。

並列転送は、macOS、Windows、Linux等の各種オペレーティングシステムにおけるコピー機能、及びSafari、Google Chrome、Firefox等の各種Webブラウザーにおけるダウンロード機能(ダウンロードマネージャー)において目にする機会が多いでしょう。

Firefoxのダウンロードマネージャー
↑「Firefox」におけるダウンロードマネージャー

先入先出の「queue(キュー)」、後入先出の「stack(スタック)」

待ち行列を作成して1タスク毎に順番に処理する直列転送は、最初に格納した物から最初に取り出す(先に仕入れた物から先に払い出す)先入先出法、最後に格納した物から最初に取り出す(後から仕入れた物から先に払い出す)後入先出法の2種のプロセスに分類されます。

先入先出法は「FIFO(First in First out)」、後入先出法は「LIFO(Last in First out)」と称され、先入先出法のデータ構造は「queue(キュー)」、後入先出法のデータ構造は「stack(スタック)」と定義されています。

このうち、「ForkLift」の転送(コピー)プロセスでは、先入先出法のデータ構造「queue(キュー)」が採用されていおり、「FileZilla」「Commander One」では、タスク毎にキューイングの実行を任意に選択可能となっています。

「ForkLift」の転送キュー
↑「ForkLift」における転送キュー

「Commander One」の転送キュー
↑「Commander One」における転送キュー

「FileZilla」のキューイングは、複数のファイルを転送キューに蓄積して、一括して転送する事が可能

「FileZilla」のキューイングは、複数のファイルを「Transfer Queue(転送キュー)」に一時的に蓄積して、任意のタイミングで一括して転送する事が可能という点において、他のアプリケーションとは異なる一意性を有しています。つまり、複数の階層(ディレクトリー)に点在するファイルを一旦キューに追加(enqueue)して待ち行列を作成し、蓄積された複数のファイルを 任意のタイミングにて一括して転送(dequeue)する事ができるのです。

「FileZilla」の転送キュー
↑「FileZilla」における「Transfer Queue(転送キュー)」

その他にも、転送時に発生した各種のイベントのログや転送のステータス、リザルトをログビューにおける別タブにて確認可能とする等、ユニークな機能を有する「FileZilla」は 成熟したデスクトップアプリケーションの一つと言えるでしょう。今後も益々の発展を期待するばかりです。