「Linux Mint 18.2」を「VirtualBox 5.1」にインストール

愛Linux Mint teamによるLinuxディストリビューション「Linux Mint 18.2(開発コードネーム「Sonya」)」が、現地時間2017年7月2日付にてGAリリースを迎えました。Linux Mintは、アーキテクチャー、デスクトップ環境別に8種のエディションが提供されていますが、今回は同オペレーティングシステムのCinnamon Editionを オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox 5.1(for macOS(Mac OS X))」にゲストOSとしてインストールしてみましたので、そのプロセス等を簡単に纏めてみたいと思います。

Cinnamon Editionで「Guest Additions(for Linux)」のインストールまで

VirtualBoxの「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」には、現時点で Linux(ゲストOS)を対象とした自動インストール機能(Parallels Desktop for Macにおける「Linux Express Install(Linux簡易インストール)」、VMware Fusionにおける「Linux Easy Install(Linux簡易インストール)」各オプション)が実装されていないため、当ポストでは インストーラーを通じたマニュアルインストールを実践しています。

仮想マシン作成時のゲストOSのタイプは「Ubuntu」を、準仮想化インターフェイスとして「KVM」を各々選択し、ホストシステムとのバランスを考慮しながら 仮想マシンにプロセッサーとメモリーを割り当て、ダウンロードしたISOファイルから仮想マシンを起動します(使用条件にもよりますが、仮想マシンには 2プロセッサー、2GBメモリーは割り当てたいところです)。

ゲストOSタイプは「Ubuntu」
↑ゲストOSのタイプとして「Ubuntu」を選択

「Linux Mint」では、Live CDを そのままインストールCDとして使用する事が可能となっており、ウィザードに従って インストールオプションやタイムゾーン指定、キーボードレイアウトの選択、及びアカウント設定等を行っていく事となります。また、インストールの過程で マルチメディアコーデックのインストールを任意に選択する事が可能となっています(タイムゾーン指定以降の設定は、インストールプロセスにおいてファイルコピーと並行して行われる事となります)。

「VirtualBox 5.1」は、米国時間2017年7月27日付にてリリースされた「VirtualBox 5.1.26(現行GA版)」の段階において「Linux Mint 18.2(Sonya)」をゲストOSとして正式にサポートしていませんが、Linux Mintには オープンソースのゲストOS拡張機能「Guest Additions(for Linux)」に相当するパッケージ「virtualbox-guest-dkms」が カーネルモジュールとして組み込まれた状態で配布されています。これによって、インストール直後の初期状態からマウスカーソルの透過的な移動を可能とするマウス統合、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション(フルスクリーンモードを含む)等の諸機能が利用可能となっており、ゲストOS、ホストOS間におけるインタラクティブ機能が拡張されます。

「Ubuntu 16.04 LTS(Xenial Xerus)」をベースとする「Linux Mint 18.x」では、デフォルトの公式リポジトリから「virtualbox-guest-dkms 5.0.x」が配布されていますが、必要に応じて更新する場合には、パッケージ管理システム「APT(Advanced Packaging Tool)」を通じて、アップデートを受ける事も可能となっています。この場合には、プリインストールされているAPTのGUIフロントエンド「Synaptic Package Manager(Synapticパッケージマネージャー)」を使用するか、或いは「Terminal(端末)」を通じて以下のコマンドを実行します(要管理者権限)。

sudo apt install virtualbox-guest-dkms

また、同梱されている「Guest Additions(for Linux)」を手動でインストールする場合には、「Devices(デバイス)」>「Insert Guest Additions CD Image…(Guest Additionsのインストール)」を選択します。すると、オートランが実行され「Terminal(端末)」が起動しますので、同時に表示された認証ダイアログボックスに管理者権限のパスワードを入力すると、コマンドを入力する事なく、自動でインストールスクリプトが実行されます。この辺りのハンドリングは、Linuxゲストに向けた「VMware Tools」「Parallels Tools」のインストールと比較してもシンプルと言えるでしょう(VMwareの場合には、同梱されている「VMware Tools」ではなく、認定されたオペレーティングシステムでの使用を目的として、各OSベンダー、OSコミュニティから提供されているオープンソース実装「open-vm-tools」を利用した運用が推奨されており、これはVMwareによって完全にサポートされるとの事です)。

「Guest Additions」のインストール
↑「Terminal」の起動後、認証ダイアログボックスに管理者権限のパスワードを入力すると、コマンドを入力する事なく、自動でインストールプロセスが進行します

「Cinnamon」では、3Dグラフィックスに向けたアクセラレーション(OpenGL等)が要求される事となりますので、セッティングエディタから当該項目(「Display(ディスプレイ)」>「Screen(スクリーン)」>「Enable 3D Acceleration(3Dアクセラレーションを有効化)」)を有効化する必要があります(デフォルトで有効化されているので、そのまま使用。尚、「MATE」は、2D環境においても利用可能となっています)。

Linuxカーネル、デスクトップ環境、Debianエディション

GAリリース時において「Linux Kernel 4.8」「X.Org Server 1.18.4」、デフォルトのデスクトップ環境として「Cinnamon 3.4」「MATE 1.18」「KDE Plasma 5.8」「Xfce 4.12」、ファイルマネージャーとして「Nemo 3.4.5」、WebブラウザーとしてMozilla Foundationによる「Firefox 54.0」、メールクライアントとして「Thunderbird 45.5.1」、オフィススイートとしてThe Document Foundationによる「LibreOffice 5.1.6 rc2」、ラスターグラフィックスソフトウェアとして「GIMP 2.8.16(GNU Image Manipulation Program 2.8.16)」を実装する Ver. 18.2では、デフォルトのデスクトップセッションとして、GNOMEシェルからフォークしたデスクトップ環境「Cinnamon」、「GNOME 2」からフォークした「MATE」、及びKDE Plasma、Xfceを採用する4種のエディションが提供されています(LTS(Long Term Support)としてリリースされている当版では、2023年までのサポート期間(セキュリティアップデート等)が設けられています。尚。「MATE」の発音は「メイト」ではなく「マテ」です。「マテ茶」の「マテ」です)。

また、Linux Mint teamからは Debianをベースとした「LMDE(Linux Mint Debian Edition)」も提供されており、こちらは英国時間2015年4月10日付にてリリースされた「LMDE 2 Betsy(Linux Mint Debian Edition 2 Betsy)」が現時点における最新版となります。また、次世代版に相当する「LMDE 3 Cindy(Linux Mint Debian Edition 3 Cindy)」の開発も行われています。

Cinnamon Editionでは、ファイルマネージャー「Nemo」のマルチプロセス化

「Cinnamon 3.4」が実装された当エディションでは、ファイルマネージャー「Nemo」のマルチプロセス化(ファイルマネージャーのプロセスと、デスクトップアイコンやバックグラウンドを表示、管理するプロセスに分割)が行われ、デスクトップアイコンは 別のNomoウィンドウに関連付けられていない、分離された別のプロセスにおいて処理されるようになりました。

また、設定デーモンの種々のプラグインも、独自の個別プロセスにおいて実行されるようになり、故に メモリー使用量やCPU使用率を高める可能性のあるプラグインを特定し易くなっています(プラグインがクラッシュした場合にも、Cinnamonの残りのバックエンドには影響を及ぼさなくなっています)。また、より良いパフォーマンスを提供するために、CJS Javascriptインタープリターがリベースされ、「mozjs 38」において実行されるようになりました。

ユーザーインターフェイス関連では、ファイル名、サイズ、種類、更新日等に基づくアイコンの自動並び替え(Auto-arrabge)機能が実装された他、デスクトップグリット(Aligh to grid)の導入により、アイコンを行、列の何れかのグリッドに沿って、自動的に配置する事が可能となりました。また、デスクトップのアイコンサイズを、ボタンのクリックにて変更する事が可能となっています。

MATE Editionは、「MATE 1.18」を実装

コアコンポーネントに「MATE 1.18」が実装された当エディションでは、「Update Manager」において、更新をより適切にフィルタリングすべくした改善が適用され、コアコンセプトが説明されたヘルプセクションが同梱された他、上級ユーザーは、スクリプト、ルーチン、或いはcronジョブを記述する事によって、アップデートを自動化する事も可能となっています。

この成果は、「mintupdate-tool」と称される 新たなCLI(Command Line Interface、コマンドラインインターフェイス)の支援に基いており、レベルの選択、セキュリティアップデート、カーネルアップデート、ブラックリストの作成等、ユーザーインターフェイスにて利用可能な全ての機能をサポートします。

また、カーネルに対する各種の情報(GNU GRUB(GRand Unified Bootloader)メニューを呼び出す方法、DKMS(Dynamic Kernel Module Support)ステータスの確認、旧カーネルへのロールバック方法等)の追加、Ubuntu HWE(Ubuntu Hardware Enablement)カーネルのサポート、カーネルセレクションウインドウの改善、「GTK+3」への移行、ファイルマネージャー「Caja」、メディアプレイヤー「Xplayer」における各種ユーザーインターフェイスの改善、テキストエディター「xed(XML text EDitor)」における機能強化、Photoビューワー「Pix」におけるユーザーインターフェイス(ダークテーマ)の改善、ドキュメントビューワー「Xreader」「Xviewer」におけるタッチスクリーンのサポート、LightDMディスプレイマネージャーを使用した 新たなログインスクリーンの実装等も併せて行われています。

今後のロードマップ

2018年内は「Ubuntu 16.04 LTS(Xenial Xerus)」をベースとしたVer. 18をアップデートし、2019年よりリリース予定のVer. 19より、ベースシステムを「Ubuntu 18.04 LTS」に切り替えます。

「Linux Mint 18.2」の「Mint-Y」
↑「Linux Mint 18.2(Sonya、ゲストOS)」on「Oracle VM VirtualBox 5.1.26 Build 117224」on「macOS Sierra 10.12.6(ホストOS)」。適用されているテーマは、フラットでスクエアな次世代のテーマ「Mint-Y-Dark」