Boot Camp(ブートキャンプ)

米Appleより開発、提供等が行われている、デュアルブート支援ツール。macOS(Mac OS X)を対象プラットフォームとし、Windowsパーティションの設定、管理等を担う「Boot Camp Assistant(Boot Campアシスタント)」、及び各種のデバイスドライバー等によって構成されている。

「Boot Camp Assistant(Boot Campアシスタント)」は、独立したアプリケーションの一つとして「/Applications/Utilities/」に属しており、Intel Macに対するWindows OSのインストールプロセスを支援する。ツール名は、米軍(アメリカ軍)の新兵訓練プログラムに由来する。

Intel Macにおいて、macOSとWindowsのデュアルブート環境を構築

「Boot Camp Assistant」では、「diskutil」コマンドのオプションをGUIにて制御する事によって、ディスク(ボリューム)にWindowsをインストールするための第2パーティションをダイナミックに作成する事が可能となっており、パーティション分割時に 第1セクターに「Master Boot Record」のテーブル領域を作成する事によって、Mac OS XとWindowsのデュアルブート(マルチブート)環境の構築を実現している。尚、macOSで使用している「GUID Partition Table(GUIDパーティションテーブル)」では 第1セクターが未使用領域として定められているため、「Master Boot Record」との共存が可能となっている。

尚、EFI(Extensible Firmware Interface)のフレームワークには、同ファームウェアインターフェイスに未対応のオペレーティングシステムを動作可能とするCSM(Compatibility Support Module)が用意されており、Appleは EFIに対するBIOS(Basic Input/Output System)互換機能の追加というアプローチにて、MacでWindowsを動作可能とする環境を提供した。

Boot Camp 1.0(「1.0 Beta」~「1.4 Beta」)

Microsoftがサーバー仮想化ソフトウェア(Type 2 ハイパーバイザー)「Microsoft Virtual Server 2005 R2」の無償化を発表した翌日(米国時間2006年4月5日)に、最初のBeta版(「Boot Camp 1.0 Beta」)がパブリックベータとしてリリースされた後、米国時間2007年3月28日付にてリリースされた「Boot Camp 1.2 Beta」より「Windows Vista」のインストールに対応した(Beta版のリリース当初は、「Windows XP Home Edition Service Pack 2」「Windows XP Professional Edition Service Pack 2」のみがインストール対象とされていた)。

その後、米国時間2007年6月7日付にてリリースされた「Boot Camp 1.3 Beta」において、「MacBook Pro」におけるバックライトキーボード、「Apple Remote」におけるペアリング等に対応した後、米国時間2007年8月8日付にてリリースされた「Boot Camp 1.4 Beta」においては、Windowsサイドにおける従来までの「Startup Disk(起動ディスク)」コントロールパネルに代わり、新たに「Boot Camp」コントロールパネルが実装される事となる(このタイミングにて「停電後に自動的に再起動」項目等が追加された)。

Boot Camp 2.0(「2.0」~「2.1」)

米国時間2007年10月26日付にてリリースされた「Mac OS X 10.5 Leopard」において、「Front Row」「Photo Booth」共々「Complete Package」としてプリインストールされた「Boot Camp 2.0」は、公式にGA版(正式版)としての扱いにて提供された。

「Boot Camp 2.0」では、Windowsサイドにインストールするための各種のドライバーソフトウェアが、「Mac OS X 10.5 Leopard」におけるインストールDVDに収録された。この措置によって、Beta版(Boot Camp 1.x)において必要とされていた「Macintosh Drivers CD(Mac Windows Driversディスク)」の作成プロセスが省略され、より簡素でスムーズなインストールプロセスとなった。

また、インストールしたWindows用のドライバーをアップデートする場合には、Windowsサイドの「Control Panel(コントロールパネル)」にインストールされている「Apple Software Update」から、適用環境に応じたアップデーターを直接ダウンロードして適用する形となった。

その後、米国時間2008年4月24日付にて、「Windows Vista x64」「Windows Vista Service Pack 1」「Windows XP Service Pack 3」に対する対応、バグフィックス等を主目的とした「Boot Camp Update 2.1」がリリースされ、「Windows Vista」に対しては、64bit版(x64)に対応するデバイスドライバーも提供される事となる(「Boot Camp」パーティションにインストールされた「Windows XP」を「Service Pack 3」にアップデートする場合には、同サービスパックを適用する前に「Boot Camp 2.1」のインストールを行う必要がある)。

Boot Camp 3.0(「3.0」~「3.3」)

「Mac OS X 10.6 Snow Leopard」にプリインストールされ、米国時間2009年8月28日付にてリリースされた アップグレード相当の「Boot Camp 3.0」では、試験的な対応ながら「Windows 7」のインストールに対応した他、WindowsサイドからMac OS Xのファイルシステム(HFS Plus)へのリードオンリーでのアクセス、トラックパッドのタッチクリックへの対応、Apple Cinema Displayにおける拡張機能のサポート、各種のドライバーのアップデート等が行われた。その後の更新履歴は以下の通り。

Boot Camp 3.1(米国時間2010年1月20日)

「Windows 7 Home Premium」「Windows 7 Professional」「Windows 7 Ultimate」のサポート、Apple製トラックパッドに対する互換性の改善、Apple Wireless Keyboard、Apple Magic Mouseのサポート等。

Boot Camp 3.2(米国時間2010年11月19日)

「ATI Radeon HD 5870」グラフィックスカード、「Apple USB Ethernet Adapter」「MacBook Air SuperDrive」のサポート、クリティカルなバグフィックス等。

Boot Camp 3.3(米国時間2011年8月24日)

新しいハードウェアのサポート、クリティカルなバグフィックス等。「Boot Camp 3.3」において「Windows XP」「Windows Vista」のサポートを終了。