Broadcomによる買収完了後も「VMware Fusion」「VMware Workstation」は開発を継続

米国時間2023年11月22日にBroadcomによる買収が完了され、新たに同社の一部門(VMware by Broadcom)として再スタートを切ったVMwareブランドは、新たな拠点への統合が順調に進んでいるようですが、米国時間2023年12月11日付のVMware Fusion Blog(公式ブログ)を通じて、「VMware Fusion」「VMware Workstation」の今後の動向について公式な見解が示されています。

「VMware Fusion」「VMware Workstation」は現在も将来も開発を継続

公式ブログの内容は、これまでデスクトップハイパーバイザーをサポートしてきた上級副社長兼ゼネラルマネージャーのKrish Prasad氏による見解を、プロダクトラインマネージャーのMichael Roy(@mikeroySoft)氏がアナウンスした形となりますが、VMware by Broadcomは現在も将来も、VMware Cloud Foundation部門において、デスクトップハイパーバイザーとプラットフォームに対する重点的な投資を継続し、これらの開発を支援するとの事です。

これによって、エンドユーザーは過去数年間と同様のアプローチにて、デスクトップハイパーバイザーアプリケーションのプロフェッショナル版(「VMware Fusion Pro」「VMware Workstation Pro」)のライセンスを購入して使用する事が可能となる他、Free for personal use (個人利用に限り無償)の「VMware Fusion Player」「VMware Workstation Player」も、引き続き同じライセンス形態にて使用し続ける事が可能であるとの事です。

尚、フラッグシップの「VMware vSphere」ラインや「VMware vCloud Suite」「VCF(VMware Cloud Foundation)」「VMware vSAN」「VMware NSX」「VMware HCX」「VMware Site Recovery Manager」等はサブスクリプションモデルへの移行が表明されていますが、デスクトップハイパーバイザーラインにおいては、現時点でこのような発表はありません。

歴史の振り返り、「VMware by Broadcom」としての再出発

以降では、VMware社のこれまでの歴史を簡単に振り返って見たいと思います。

仮想化ソリューションを開拓したリーディングベンダーとして、業界に多大な功績を刻んでいるVMwareですが、その歴史において 常に株主からの強い圧力に晒され続けてきたのも事実です。これまでにも、2004年1月にストレージベンダーのEMCに買収された後、2008年7月には共同創始者の一人にして当時のCEOを務めたDiane Greene(ダイアン・グリーン)女史と、彼女の夫でもあり、もう一人の共同創始者としてVMwareのハイパーバイザーの礎を築いたMendel Rosenblum(メンデル・ローゼンブルーム)氏が取締役会によって解任されました。

後任を務めたPaul Maritz(ポール・マリッツ)氏は、2008年から2012年までの約4年間を無難な舵取りで乗り切っていましたが、嘗てIntelを率いた経験もあるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏がCEOを務めていた2016年9月、親会社であるEMCがDellに買収された事に連動して、VMwareもDell Technologiesグループにおける独立子会社の一社となりました。

その後、2021年11月にはDellからスピンオフして、独立した公開会社に戻る形となりました。それまでは何れのケースにおいても企業としての独立性は担保され、親会社の傘下に入りつつも独自の経営方針にて企業買収等も行ってきましたが、この度のBroadcomによる買収においては、Oracleに吸収された嘗てのSun Microsystemsのように、企業としての歴史に終止符を打つという形になりそうです。

今後のVMware, Inc.はブランドネーム「VMware by Broadcom」としてリブランドされ、VMwareサイドの幹部による主導の元に、「VCF(VMware Cloud Foundation)」「VMware Tanzu」「VMware SDE(VMware Software-Defined Edge)」「VMware ANS(VMware Application Networking and Security)」の4つの事業グループに分割して運営されると伝えられています。

※2023年12月現在、「vmware.com」のWebサイトは、現在もこれまで通りに運営を続けています。