DiskWarrior(ディスクウォーリア)

米Alsoft, Incより開発、提供等が行われている、システムメンテナンスツール(デスクトップユーティリティ)。macOS(Mac OS X)を対象プラットフォームとし、1998年11月に初版となる「DiskWarrior 1.0」がリリースされている。

日本市場においては、亘香通商社を通じて販売、サポート等が行われている。英語版と日本語版は別のバイナリーとして提供されており、最新版は必ずしも同一バージョンではなく、英語版が先行している状況もある。

HFS Plus(ファイルシステム)のディレクトリを再構築する、唯一無二のメンテナンスツール

Classic Mac OS時代より安定した実績と信頼性を示しており、機能性を重視して装飾性を排除したシンプルなユーザーインターフェイスとディレクトリの修復に特化した機能性を主たる特徴としている。初期の開発チームには、嘗てAppleに在籍して「Disk First Aid」の開発に携わった人物も含まれていた。

パッチの充当ではなく、ディレクトリの再構築を行う事によって、高いメンテナンス効果と修復率を生み出している。開発元となるAlsoftは、2008年9月に発生した「Hurricane Ike(ハリケーン・アイク)」等、複数回に及ぶハリケーン被害時にもサポートを継続し、ユーザーを守って現在に至っている。

再構築プロセスと機能性

タスクを実行する際は、対象ボリュームにおいて新たなディレクトリを再構築し、結果を確認した後に 既存のディレクトリと置き換えるか否かを任意に選択する事が可能となっている。再構築結果の確認時には、特許を取得した レポートウインドウのプレビュー機能を通じて、再構築前後のディレクトリの状態を「Finder」レベルにて視覚的に比較する事ができる。

尚、確認段階ではディレクトリ情報の置き換えは行われておらず、プレビュー機能の利用時には 再構築前後のボリュームが共にロックされるため、ハードウェアのトラブルやオペレーションミス等に起因したデータの消失を未然に防ぐ事ができる。

フォールトトレラントのコンセプトに追従した諸機能の実装等により、随一の安全性も兼備する「DiskWarrior」は、米国時間2003年5月6日付にてリリースされた「DiskWarrior 3.0」よりジャーナリングファイルシステムを、「DiskWarrior 3.0.3」より Appleによるデスクトップオペレーティングシステム「Mac OS X 10.4 Tiger」を各々サポートした後、米国時間2006年12月6日付にてリリースされた「DiskWarrior 4.0(CD Revision 41)」より、PowerPC、Intelの両アーキテクチャーにネイティブ対応した「Universal Binary」として提供される事となる(スタートアップメディアに含まれるシステムも、同版よりUniversal Binaryとして提供される事となり、システム要件を満たしたPowerPC Mac、Intel Macの双方を起動する事が可能となった)。

前述の通り、同版では新たにIntel Mac(Mac OS X for Intel)に対応した他、パーミッションの修復、破損した「.plist(Property List、初期設定)」ファイルの識別、暗号化ファイルシステム「FileVault」、ACLs(Access Control List、アクセスコントロールリスト)、GUIDパーティションテーブル、case-sensitiveなファイルシステム「HFSX」のサポート等、一層の機能強化が行われる事となる。

「DiskWarrior 4.1(CD Revision 42)」~「DiskWarrior 4.2(DVD Revision 909)」

米国時間2008年1月21日付にてリリースされた「DiskWarrior 4.1」において「Mac OS X 10.5 Leopard」との互換性が改善され、「Mac OS X 10.5.x」ベースのシステムにインストールして実行する事が可能となった他、「Time Machine」における差分バックアップの実行時に、バックアップ先に作成される「Archive Directory Link(UNIX系ファイルシステム等における「Hard Link(ハードリンク)」)」の再構築にも対応した。この改善では、「Time Machine」におけるバックアップ先ボリュームのディレクトリを適切に再構築可能とし、ハードリンクディレクトリに生じたリンクの損傷、ディレクトリループ、及びその他の問題等が修復可能となった。

その後、米国時間2008年3月17日付にて「DiskWarrior 4.0」にバンドルされているスタートアップCD「Revision 41」を 「DiskWarrior 4.1」ベースの「Revision 42」にアップデートすべくしたCDアップデーター「DiskWarrior 4 Version 4.1 CD Update」、米国時間2008年10月27日付にて「Mac OS X 10.5.5」に対する互換性改善等を主目的とした「DiskWarrior 4.1.1(DVD Revision 810)」が各々リリースされ、同梱されているメディアがCDからDVDに変更された後、米国時間2009年8月27日付にて「Mac OS X 10.6 Snow Leopard」に対する対応、及びパフォーマンス、修復機能の改善等を主目的とした「DiskWarrior 4 Version 4.2(DiskWarrior DVD Revision 909)」がリリースされる事となる(同日付にて、旧版(「DiskWarrior 4.0.0」~「DiskWarrior 4.1.1」)に同梱されているスタートアップメディアを対象としたディスクアップデーター「DiskWarrior 4 Version 4.2 Disc Update」も併せてリリースされている)。

「DiskWarrior 4.3(DVD Revision 1102)」~「DiskWarrior 4.4(DVD Revision 1109)」

約1年半のブランク期間を経た後、米国時間2011年3月2日付にて「DiskWarrior 4 Version 4.3(DiskWarrior DVD Revision 1102)」がリリースされ、処理スピートと修復機能を改善するための内部修正等が行われた。

当版では、同梱されるスタートアップメディアが「DVD Revision 1001」から「DVD Revision 1102」にアップデートされ、2010年にリリースされた「MacBook Air(Late 2010)」「MacBook Pro(Mid 2010)」「Mac mini(Mid 2010)」「iMac Core i3」「iMac Core i5」「iMac Core i7」「Mac Pro(Mid 2010)」から起動する事が可能となった(この時点では、「DVD Revision 1102」をワイヤレスキーボードによる「C」キー、或いは起動時(電源投入時、再起動時)に「option」キーを押下して呼び出す「Startup Manager(スタートアップマネージャー)から起動する事はできず、ワイヤードキーボードの使用が求められていた)。

同日付にて、「DiskWarrior 4.0」~「DiskWarrior 4.2」に同梱されているスタートアップメディアを対象としたディスクアップデーター「DiskWarrior 4 Version 4.3 Disc Updater」も併せてリリースされた。

「DiskWarrior 5.0」~「DiskWarrior 5.2」

米国時間2014年12月7日付にてリリースされた「DiskWarrior 5.0」において、大容量ディスクの処理を可能とする64bitアーキテクチャーが採用され、再構築時のパフォーマンスが前版との比較で2倍の値(メーカー発表値)を計測した。

また、同梱されているスタートアップメディアがDVDからUSBメモリーに変更され、スタートアップメディアからの起動時間が大幅に短縮された他、新たに添付された「DiskWarrior Recovery Maker(ディスクウォーリア リカバリー メーカー)」によって、USBメモリーに組み込まれている起動OS(Mac OS X)のアップデートを より容易に、且つ随時に行う事が可能となった。