「Linux Mint 18.1(Cinnamon)」を「VMware Fusion 8.5」にインストール

愛Linux Mint teamによるLinuxディストリビューション「Linux Mint 18.1(開発コードネーム「Serena」)」が、現地時間2016年12月16日付にてGAリリースを迎え、現在プロジェクトサイト、及び各地のミラーサイトを通じて、Intel x86(i386)、x86-64を対象としたisoイメージが入手可能となっています。Linux Mintは、アーキテクチャー、デスクトップ環境別に4種のエディションが提供されていますが、今回は同オペレーティングシステムのCinnamon Editionを macOS(Mac OS X)ベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Fusion 8.5」にゲストOSとしてインストールしてみましたので、そのプロセス等を簡単に纏めてみたいと思います。

ゲストOSのタイプとして「Mint Linux」を選択し、Cinnamon Editionをインストール

「VMware Fusion」には、「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」におけるプロセスの一部に、Linux(ゲストOS)を対象とした自動インストール機能「Linux Easy Install(Linux簡易インストール)」オプションが実装されていますが、現時点において「Linux Mint 18.1」は同機能に非対応となっています。当ポストでは、インストーラーを通じたマニュアルインストールを実践しています。

仮想マシン作成時のゲストOSのタイプは「Mint Linux」を選択し、ホストシステムとのバランスを考慮しながら 仮想マシンにプロセッサーとメモリーを割り当て、ダウンロードしたISOファイルから仮想マシンを起動します(使用条件にもよりますが、仮想マシンには 2プロセッサー、2GBメモリーを目安に割り当てを設定します(ホストコンピューターのスペックに余裕があれば、割り当てを増やすと良いでしょう))。

「Ubuntu 16.04 LTS(Xenial Xerus)」をベースとする「Linux Mint 18.1」は、インストールプロセスも「Ubuntu 16.04 LTS(Xenial Xerus)」とほぼ同様の流れとなり、ダウンロードしたisoイメージ(Live CD)を そのままインストールCDとして使用する事が可能となっています。この際にはインストーラーのウィザードに従って、インストールオプション、タイムゾーン指定、キーボードレイアウトの選択、アカウント設定等を行っていく事となります。

また、インストールの過程で マルチメディアコーデックのインストールを任意に選択する事が可能となっています(タイムゾーン指定以降の設定は、インストールプロセスにおいてファイルコピーと並行して行われる事となります)。

ゲストOS拡張機能は「VMware Tools(for Linux)」ではなく「open-vm-tools」を推奨

「VMware Fusion 8.5」は、米国時間2016年11月29日付にてリリースされた「VMware Fusion 8.5.3(現行GA版)」の段階において「Linux Mint 18.1」をゲストOSとして正式にサポートしていませんが、ゲストOS拡張機能「VMware Tools」のオープンソース実装「open-vm-tools」をカーネルモジュールとして組み込む事が可能です。

*「VMware Fusion.app」には、Linux(ゲストOS)に向けた「VMware Tools」も同梱されていますが、VMwareからは 各OSベンダー、OSコミュニティから提供されている「open-vm-tools」を利用した運用が推奨されています(同社によるサポートポリシーでは、認定されたオペレーティングシステムでの使用を目的として、各OSベンダー、OSコミュニティから配布される「open-vm-tools」は、完全にサポートされるとの事です)。

「open-vm-tools」は、パッケージ管理システム「APT(Advanced Packaging Tool)」を通じてインストールする事が可能となっています。この場合には、APTのGUIフロントエンド「Synaptic Package Manager(Synapticパッケージマネージャー)」を使用するか、或いは「Terminal(端末)」を通じて以下のコマンドを実行します(要管理者権限)。

sudo apt install open-vm-tools
sudo apt install open-vm-tools-desktop

2行目の「open-vm-tools-desktop」は、デスクトップ仮想化ソフトウェアでのインタラクティブ機能を拡張するための追加パッケージ(オプションパッケージ)です(open-vm-toolsを追加のユーザースペースプログラムやライブラリーで拡張します)。このパッケージをインストールする事によって、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション、ホストOS、ゲストOS間におけるテキストのコピーアンドペースト、及びファイルのドラッグアンドドロップ等の諸機能が利用可能となります。尚、パッケージ名をスペースで区切れば、1行のコマンドで複数のパッケージをインストールする事も可能です。

「open-vm-tools」をインストール
↑コマンドライン(Terminal)を通じて、「Linux Mint 18.1」に「open-vm-tools」をインストール

何れかの理由でインターネット接続環境を用意する事ができない場合には、同梱されている「VMware Tools」を手動でインストールする事となりますが、この場合には マウントされたイメージファイルに含まれているtarボール(VMwareTools-xx-xx.tar.gz)を展開した後に、コマンドラインを通じてインストールスクリプト(~/vmware-tools-distrib/vmware-install.pl)を実行する必要があります(要管理者権限)。尚、準仮想化デバイスのフレームワーク「virtio(virtio-gpu)」のサポートによって、ゲストOS拡張機能がインストールされていない状態でも、マウスカーソルの透過的な移動を可能とするマウスシンクロナイズは適切に機能します。

※ゲストOS拡張機能をインストールする事によって、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション(フルスクリーンモードを含む)、ホストOS、ゲストOS間におけるテキストのコピーアンドペースト、及びファイルのドラッグアンドドロップ等の諸機能が利用可能となり、ホストOS、ゲストOS間におけるインタラクティブ機能が拡張されます。

また、プリインストールされているAPTのGUIフロントエンド「Synaptic Package Manager(Synapticパッケージマネージャー)」を通じて、アップデートを受ける事も可能となっています。

Linuxカーネル、デスクトップ環境、Debianエディション

GAリリース時において「Linux Kernel 4.4」「X.Org Server 1.18.4」を実装する「Linux Mint 18.1」では、デフォルトのデスクトップセッションとして、GNOMEシェルからフォークしたデスクトップ環境「Cinnamon 3.2」、「GNOME 2」からフォークした「MATE 1.16.1」「KDE Plasma 5.8.4」「Xfce 4.12」を採用する4種のエディションが提供されている他、ファイルマネージャーとして「Nemo 3.2.2」、WebブラウザーとしてMozilla Foundationによる「Firefox 50.0.2」、メールクライアントとして「Thunderbird 45.5.1」、オフィススイートとしてThe Document Foundationによる「LibreOffice 5.1.4」、ラスターグラフィックスソフトウェアとして「GIMP 2.8.16(GNU Image Manipulation Program 2.8.16)」が各々実装されています(LTS(Long Term Support)としてリリースされている当版では、2021年までのサポート期間(セキュリティアップデート等)が設けられています。尚。「MATE」の発音は「メイト」ではなく「マテ」です。「マテ茶」の「マテ」です)。

また、Linux Mint teamからは Debianをベースとした「LMDE(Linux Mint Debian Edition)」も提供されており、こちらは英国時間2015年4月10日付にてリリースされた「LMDE 2 Betsy(Linux Mint Debian Edition 2 Betsy)」が現時点における最新版となっています(ISOイメージは継続的にアップデートされています)。

今後のロードマップ

2018年までは「Ubuntu 16.04 LTS(Xenial Xerus)」をベースとした「Linux Mint 18」をアップデートし、2019年よりリリース予定の「Linux Mint 19」より、ベースシステムを「Ubuntu 18.04 LTS」に切り替えます。

Cinnamon Editionでは、Unityライクな垂直パネルが選択可能

「Cinnamon 3.2」が実装された当エディションでは、Unityライクな垂直パネルが選択可能となっている他、メインパネルのコンポーネントから吹き出し部が削除され、隙間なく完全にスクエアなデザインとなっています。

「Cinnamon」では、3Dグラフィックスに向けたアクセラレーション(OpenGL等)が要求される事となりますので、セッティングエディターから当該項目(「Display(ディスプレイ)」>「Accelerate 3D Graphics(3Dグラフィックスの高速化)」)を有効化する必要があります(デフォルトにて有効化されているので、そのまま使用します。尚、「MATE」は 2D環境においても利用可能となっています)。

MATE Editionは、サーチエンジンを「Google CSE(Google Custom Search Engine)」に置き換え

「MATE 1.16.1」が実装された当エディションでは、MintMenu(アプリケーションメニュー)におけるサーチエンジンが「DuckDuckGo」から「Google CSE(Google Custom Search Engine)」に置き換わっています。

「Linux Mint 18.1」on「VMware Fusion 8.5.3」
↑「Linux Mint 18.1(Serena、ゲストOS)」on「VMware Fusion 8.5.3 Build 4696910」on「macOS Sierra 10.12.2(ホストOS)」