「VMware Fusion 8.5(8.5.0)」リリース、「macOS Sierra」をサポート

「Mac OS X NT(Mac OS X News & Topics)」から引き継いだ最初のポストとなりますが、Dell TechnologiesグループのVMwareより米国時間2016年9月13日、macOS(OS X)ベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Fusion」のアップデートリリースに相当する「VMware Fusion 8.5.0 Build 4352717(GA版)」がリリースされ、VMwareによる公式ダウンロードページを通じて、日本語含む複数言語リソースを包含する マルチリンガル版のバイナリーパッケージが入手可能となっています(「VMware Fusion 8.1」からは、無償にてアップデート可能となっています)。

macOSのネイティブタブや「Siri」に対応し、「Windows 10 Anniversary Update」もサポート

米国時間2016年6月17日よりテストリリース(プライベートベータ「Fusion 2016 TP」)が開始されていた「VMware Fusion 8.5」では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス等が行われており、一連のテストリリース(「June Technology Preview 1 Build 4284851」~「July Technology Preview 2 Build 4313277」)を通じた主な特徴として、以下の項目等が示されています(「VMware Fusion 8.1.1」からの主な変更点となります)。

  • サポート対象オペレーティングシステムの追加。Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Sierra(macOS 10.12)」を ホストOS、ゲストOSとして試験的にサポート(ゲストOSとしては、Mac App Storeから入手可能なインストーラー(.app)を通じてインストール可能。インストーラーパッケージに含まれる「InstallESD.dmg」を抽出する必要はない)
  • Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 10 Anniversary Update」をゲストOSとしてサポート。「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」において、同オペレーティングシステムのISOイメージを正確に認識し、自動インストール機能「Windows Easy Install(Windows簡易インストール)」オプション、共有フォルダー、Unity(ユニティ)モード等の諸機能を利用可能に
  • Microsoftによる次世代サーバーオペレーティングシステム「Windows Server 2016」をゲストOSとして試験的にサポート
  • ユーザーエクスペリエンスの改善。「macOS Sierra(macOS 10.12)」が各アプリケーションに提供するタブインターフェイスに対応。仮想マシン(.vmwarevm)のコンソールウインドウにおいて、macOSのネイティブタブを利用可能に(「Window(ウインドウ)」>「Merge All Windows(全てのウインドウを統合)」)
  • 「macOS Sierra(macOS 10.12)」におけるパーソナルAIアシスタント「Siri」に対応。各種ゲストOSアプリケーション等を「Siri」を通じて制御可能に(「Open! Microsoft Edge」コマンド等)
  • 3Dグラフィックスを含むグラフィックス関連の改善。各種プラットフォーム、アプリケーションを対象として、グラフィックスのレンダリングにおける正確性を改善、及びグラフィックスドライバーのチューニング(Windowsビデオドライバーをアップデート)
  • グラフィックスにおけるデスクトップエクスペリエンスを向上(パフォーマンスの改善等)
  • Windows(ゲストOS)における「Microsoft Office」が、macOS、OS X(ホストOS)における「Mail」アプリケーションの添付ファイルを開く事ができないケースが確認されていた問題(エラーメッセージ「Access Denied」が返されていた問題)を修正。この問題は、当該ゲストOSにおける「Settings(設定)」>「Default Applications(デフォルトアプリケーション)」>「Open your Mac files and web links using Windows applications(Windowsアプリケーションを使用して Macのファイルおよびwebリンクを開く)」オプションが有効化されている場合にも発生していた
  • 「Parallels Desktop 11 for Mac」からインポートされた仮想マシンを起動した場合に、当該仮想マシンがクラッシュするケースが確認されていた問題を修正(エラーメッセージ「Inaccessible Boot Device.」が返されていた問題)
  • スクリーンのエッジ部にフルスクリーンミニバー(フルスクリーンタイトルバー)が隠れている場合に、当該部位にカーソルをホバーしても、同UIコンポーネントが表示されなかった問題を修正。この問題はフルスクリーンモードの利用時に発生し、「View(表示)」>「Full Screen Minibar(フルスクリーンミニバー)」>「Automatically Hide And Show(自動的に表示、非表示)」が有効化されている場合にも発生していた
  • 接続した「VMware vCenter Server 5.5」においてダイレクトにリモート仮想マシンを作成し、vCenter Serverインスタンスによって管理されている「VMware ESXi 5.5」ホストに当該仮想マシンの保存を試みた場合に、GUIクライアント(VMware Fusion.app)がクラッシュするケースが確認されていた問題を修正
  • 「Ubuntu 15.10(Wily Werewolf、ゲストOS)」以降の版において、オープンソースのゲストOS拡張機能「open-vm-tools」を「VMware Fusion.app」にバンドルされている「VMware Tools」に置き換えた場合に、同ツールのサービスの一部が適切に機能しない(停止する)ケースが確認されていた問題を修正。この問題は、システムのリブート後に、Ubuntuのクラッシュレポートに報告されていた
  • ホストOS、ゲストOS(Mac OS X)間において、ファイルのドラッグアンドドロップ オペレーションが適切に機能しないケースが確認されていた問題を修正
  • 一部特定のシステム構成において、ハングアップ、仮想マシンのフリーズが生じるケースが確認されていた問題を修正
  • セキュリティ関連の修正を適用
  • 一部のデバイスを対象として、USB関連の互換性を改善
  • 全般的な安定性、パフォーマンス、アプリケーション互換性を改善
  • And many others…

VMware Fusion Proについて

「VMware Fusion 8.5」には、通常版の他にプロフェッショナル版が提供されており、Professional版には通常版におけるフル機能の他に、以下の機能が追加されています(両版は同一のバイナリーを使用しますが、入力するシリアルによって各々が区別される事となります)。

  • リンククローンの作成機能
  • 仮想ネットワークエディター(ネットワーク構成ツール)
  • 「IPv6(Internet Protocol Version 6)」におけるNATのサポート
  • プライベートクラウドプラットフォーム「VMware vSphere」、パブリッククラウドプラットフォーム「VMware vCloud Air」、サーバー仮想化ソフトウェア「VMware ESXi」、デスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Workstation Pro」にホストされている仮想マシンに対するアクセス
  • 「VMware vSphere」「VMware ESXi」「VMware Workstation Pro」に対する仮想マシンのアップロード、ダウンロード、及び「VMware vCloud Air」に対する仮想マシンのアップロード
  • 複数のESXiホストに向けたリソースチャートの更新
  • 仮想マシンフォーマットにおける標準規格「OVF(Open Virtualization Format)」アプライアンスへのエクスポート
  • 仮想マシン毎にホットキーを作成可能
  • 仮想マシンの作成や設定メニューに対する制限機能(制限付き仮想マシン、期限付き仮想マシンの作成、実行機能)
  • Windows(ゲストOS)に接続されたUSBデバイスに対する接続制限機能
  • 管理環境に向けた、シングル仮想マシンモード
  • カスタマイズ可能なヘルプ
  • VMwareベーシックサポート、VMwareプロダクションサポートを利用する権利
  • ボリュームプライスの提供

「VMware Fusion 8.5」では、新規仮想マシン作成時におけるデフォルトの仮想ハードウェアのバージョン(Ver. 12)に、「VMware Fusion 8.1」からの変更はありません(virtualHW.version = “12”)。仮想マシンのハードウェアバージョンは、セッティングエディターを通じたGUIにて確認可能となっています(「Other(その他)」>「Compatibility(互換性)」)。

「VMware Fusion 8.5」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、ホストOSは「OS X Mavericks(OS X 10.9)」以降(「macOS Sierra(macOS 10.12)」を含む)となっています。「VMware Fusion 7」にてサポートされていた「OS X Mountain Lion(OS X 10.8.5)」は、対象外となりますので御注意下さい(ゲストOSとしてのOS X(macOS)のサポートも「OS X Mavericks(OS X 10.9)」〜「macOS Sierra(macOS 10.12)」となります)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、VMTN(VMware Technology Network)等を通じて確認可能となっています。