VMware by Broadcomより米国時間2024年9月3日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Fusion」のアップデートリリースに相当する「VMware Fusion 13.6.0 Pro Build 24238079(VMware Fusion 13 Update 6 Hotfix 0)」がリリースされ、VMwareによる公式ダウンロードページ、及びビルトインのソフトウェアアップデーター(「VMware Fusion」>「Check for Updates…(更新の確認…)」)を通じて、日本語含む13言語リソースを包含するマルチリンガル版のバイナリーパッケージが入手可能となっています(x86-64、ARM64両アーキテクチャーにおいてネイティブ実行可能な「Universal 2 Binary」としてビルドされています)。
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「Windows Server 2025」「Ubuntu 24.04」等もサポート
「VMware Fusion 13」を対象としたアップデートリリースとして位置付けられている「VMware Fusion 13.6.0」では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、「VMware Fusion 13.5.2」からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。
コマンドラインユーティリティ「vmcli」の実装
- コマンドラインユーティリティ(コマンドラインツール)「vmrun」「vctl」の後継として位置付けられ、macOSにおける「Terminal(ターミナル、/Aplication/Utilities/Terminal.app)」、Windowsにおける「Command Prompt(コマンドプロンプト)」、Linuxにおける「Terminal(端末)」からダイレクトにハイパーバイザーを制御可能とする「vmcli」を実装。このツールを使用する事により、CLI(Command Line Interface、コマンドラインインターフェイス)から新規仮想マシンの作成、仮想マシンテンプレートの作成、仮想マシンのパワーオン、種々の仮想マシン設定の変更等、様々なオペレーションを実行可能とする他、複数のコマンドを順次に実行するスクリプトも作成可能とする
サポート対象オペレーティングシステムの追加(Intelホスト)
- Intelホストにおいて、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Sequoia(macOS 15)」をホストOS、ゲストOSとして試験的にサポート(ゲストOSとしては、Mac App Storeから入手可能なインストーラー(.app)、或いは APFS(Apple File System)が適用されたリカバリーパーティションを通じてインストール可能。インストーラーパッケージに含まれる「InstallESD.dmg」を抽出する必要はない)
- Intelホストにおいて、Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 11 23H2」、サーバーオペレーティングシステム「Windows Server 2025」をゲストOSとしてサポート。「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」において、同オペレーティングシステムのISOイメージを正確に認識し、自動インストール機能「Windows Easy Install(Windows簡易インストール)」オプション、共有フォルダー等の諸機能を利用可能に
- Intelホストにおいて、「Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)」「Fedora 40」をゲストOSとしてサポート。プリコンパイルされたカーネルモジュールを伴うゲストOS拡張機能「VMware Tools」が同梱され、自動インストール機能「Linux Easy Install(Linux簡易インストール)」オプション、共有フォルダー、ダイナミックレゾリューション等の諸機能を利用可能に(VMwareは、オープンソースのゲストOS拡張機能「open-vm-tools」の利用を推奨している)
サポート対象オペレーティングシステムの追加(Apple siliconホスト)
- Apple siliconホストにおいて、Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 11 23H2」をゲストOSとしてサポート
- Apple siliconホストにおいて、「Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)」「Fedora 40」をゲストOSとしてサポート。オープンソースのゲストOS拡張機能「open-vm-tools」は「ARM64(AArch64)」にも対応済み
- Apple siliconホストにおいて、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Sequoia(macOS 15)」をホストOSとして試験的にサポート
セキュリティ関連の修正
- 安全性に懸念のある環境変数を使用する事によって、任意のコードが実行され得たとされる脆弱性を修正。この脆弱性が悪用されると、標準のユーザー権限を有する悪質な攻撃者によって、アプリケーションのコンテキストにてコードが実行される可能性があった(The Common Vulnerabilities and Exposures project(cve.mitre.org)は「CVE-2024-38811」、VMwareセキュリティアドバイザリーは「VMSA-2024-0018(Important)」の共通脆弱性識別子を各々割り当て。共通脆弱性評価システム「CVSS v3.0(Common Vulnerability Scoring System Version 3.0 Calculator)」のスコア値は「8.8」に設定)
サポート上の注意点(「VMware Fusion 13.6」において廃止された機能)
この度リリースされた「VMware Fusion 13.6.0」のリリースノートに含める形にて、「VMware Fusion 13.5.2」を最後に廃止された機能についてアナウンスがありました。以下のリストの機能は「VMware Fusion 13.6.0」以降では使用する事ができません。これらは何れもビジネスクリティカルな機能ではなく、当該の変更は現行のワークフローには殆ど影響しないと想定されています。
- レガシーなゲストOSを対象としたゲストOS拡張機能「VMware Tools」のISOイメージをデフォルトにて同梱しなくなった
- Bluetoothハブのパススルー(Bluetoothパススルー)機能
- ホストOSにおけるウインドウであるかの如くに、ゲストOSにおけるそれらをハンドリング可能とする「Unity(ユニティ)」モード
- 「VMware Fusion 3」において実装された、メニューバーに常駐するアプリケーションメニュー(「VMware Fusion」>「Preferences…(環境設定…)」>「General(一般)」>「Applications menu(アプリケーションメニュー)」)
- 「macOS Monterey(macOS 12)」のホストOS、ゲストOSとしてのサポート
レガシーなゲストOSを対象としたゲストOS拡張機能「VMware Tools」のISOイメージは、別途に公式サイトから手動でダウンロードするためのリンクが提供されています。
システム要件について。「macOS Monterey(macOS 12)」のサポートが終了
「VMware Fusion 13.6.0」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、ホストOSは「macOS Ventura(macOS 13)」以降(「macOS Sonoma(macOS 14)」を含む)となっています。「VMware Fusion 13.5.2」にてサポートされていた「macOS Monterey(macOS 12)」は 対象外となりますので御注意下さい(ゲストOSとしてのmacOSのサポートも「macOS Ventura(macOS 13)」〜「macOS Sonoma(macOS 14)」となります)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、VMware Cloud Foundation Communities等を通じて確認可能となっています。
「macOS Monterey(macOS 12)」のホストOSとしてのサポートが終了したため、故Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏が封筒から取り出した初期デザインの「MacBook Air(最終モデルは「13-inch, 2017」)」では、「VMware Fusion 13.5.2」が実行可能な最後の版となります。
「VMware Workstation 17.6(17.6.0)」について
その他にもVMwareからは、米国時間2024年9月3日付にて Windows/Linuxベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Workstation」のメンテナンスアップデートに相当する「VMware Workstation 17.6.0 Pro Build 24238078」「VMware Workstation 17.6.0 Player Build 24238078」もリリースされています。
「VMware Workstation 17」を対象としたアップデートリリースとして位置付けられている「VMware Workstation 17.6.0」では、「VMware Fusion 13.6.9」と同様のサポート対象オペレーティングシステムの追加(ホストOS、ゲストOS双方において「Windows 11 23H2」「Windows Server 2025」「Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)」「Fedora 40」をサポート)、コマンドラインユーティリティ「vmcli」の実装等が行われています。