「Virtual PC for Mac」開発継続へ、Microsoftが意欲

投稿者: | 2006-01-12

「Office for Mac」も開発継続を表明

「Macworld Conference & Expo 2006」における、Intel Mac(iMac、MacBook Pro)の発表に合わせて、米MicrosoftのMacBU(Macintosh Business Unit)から「今後5年間は「Microsoft Office for Mac」のUniversal Binary(ユニバーサルバイナリ)版の開発を継続して行く」との指針(米Apple Computerと締結した、技術面での情報提供を含む合意)が示されましたが、同時に デスクトップ仮想化ソフトウェア「Virtual PC for Mac」に関しても「積極的に開発を継続していきたい」との意向を持っていると伝えられています。

今回の意向は、Microsoft プロダクトマネジメント、マーケティングディレクタのScott Erickson(スコット・エリクソン)氏によって示されたもの。「Virtual PC for Mac(PowerPC)」を、Intelプロセッサを搭載したMacintoshプラットフォームに(CPU仮想化支援「Intel VT-x(Intel Virtualization Technology、Vanderpool Technology)」のアシストで)ネイティブ対応させれば、CPUのエミュレーション、エンディアンの変換等を必要としなくなるため、最大の課題とされている実行速度を飛躍的に向上させる事が可能になると予想されます。Microsoft(Connectix)は、WindowsをホストOSとする Intelベースの「Virtual PC for Windows」を有している訳ですから、ハイパーバイザの部分はそのままに、GUIクライアントのMac OS X版をメインに開発すれば、技術的なハードルは 越える事ができない高さではないと認識しています。

一方では、Intel Mac上で Windowsを直接動作させるような、Mac OS Xとのデュアルブートを実現させようとする動きも出てくると予想されます(Appleサイドは、結果的にIntel Mac上でWindowsがネイティブで動作したとしても、それを意図的に阻止する事はしない、といった見解を非公式ながら表明しています)。この場合には、仮想マシン環境との比較において、特にグラフィックス関連のパフォーマンスでは 大きなメリットが得られるでしょう。

しかしながら、仮想化ソリューションでは 異種プラットフォーム間でのエミューレーションのみならず、複数のオペレーティングシステムの共存(同時稼働)、或いは開発用途を含むテストドライブの作成等に(「Boot Camp」等の)デュアルブートでは実現する事ができない 大きな意義を見出せると思っています(具体的には、次世代デスクトップオペレーティングシステム「Windows Vista」へのスムーズな移行(本番環境へ導入前のテスト運用)、ヘルプデスクにおける迅速、且つ正確な対応、及び開発環境における各種のテスト、デバックの効率化等、様々なシーンでの利用が想定されます)。

これらの種々のメリットを、実用的な実行速度でMac OS Xホストに享受する事ができれば、マルチプラットフォーム環境の最適解として 大きな存在価値を生み出す事ができるでしょう。

元来は、「Virtual Server」を中心としたサーバ仮想化ソリューションの獲得を主目的とした、マイクロソフトによるConnectixの買収(2003年)でしたが、フルパッケージのWindowsライセンスとの組み合わせは、他社には真似する事のできない 大きな訴求力となるでしょう。現時点では、ユーザの利用状況等も含めて Appleと共に今後の計画を検討中との事ですが、末永く開発を継続して頂きたいと願う次第です。

尚、Microsoftが提供する最初のUniversal Binary(Intel、PowerPC 両アーキテクチャに向けたネイティブコードを包含)は、IM(インスタントメッセージング)ソフトウェア「MSN Messenger 6.0 for Mac」になる予定と伝えられています(2006年中にリリース予定)。

「Virtual PC for Mac」の開発中止の表明について(2006年8月8日に追記)

Microsoftより米国時間2006年8月7日、Intel Macに向けた「Virtual PC」の開発を行わない(「Virtual PC for Mac」の開発中止)との表明がありました。今回の意向は、Parallels Software Internationalが「Parallels Desktop for Mac」を正式にリリースした他、VMwareが Mac OS Xベースのデスクトップ仮想化ソフトウェアのベータ版を、2006年中にリリースする計画を 米国時間8月7日付にて明らかにした事を受けて示されました。

尚、WindowsホストのType 2 ハイパーバイザ「Virtual PC for Windows」の開発は 継続されるとの事です。