「VirtualBox 7.2(7.2.0)」リリース、WoA(Windows On ARM)をネイティブサポート

Oracle Corporationより米国時間2025年8月14日、マルチプラットフォームに対応したオープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 7.2.0 Build 170484(Oracle VM VirtualBox 7 Update 2 Hotfix 0)」がリリースされ、プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS(Intel、Apple Silicon)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

Apple siliconホストにおいて、「DXMT」を使用した3Dグラフィックスのアクセラレーションを試験的にサポート

米国時間2025年5月27日よりテストリリース(パブリックベータ)が開始されていた「VirtualBox 7.2」では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、一連のテストリリース(「Beta 1 Build 169020」~「Release Candidate 1 Build 169371」)を通じた主な特徴として以下の項目等が示されています(「VirtualBox 7.1.8」からの主な変更点となります)。

「VirtualBox 7.2」において新たに実装された機能

  • ユーザーインターフェイス(GUI)関連の改善。アクセス性を向上すべくして、グローバルツールとVMツールをハンバーガーメニューからグローバルツールタスクバー (左サイトにおける垂直エリア) 、VMツールタブ (右サイドのパネル上部における水平エリア) に移動

    刷新されたGUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))
  • 統合されたWindowsインストーラーパッケージを通じて、WoA(Windows On ARM)ホストに対して「Oracle VM VirtualBox」をインストール可能に
  • ARMホストにおいて「Windows 11(ARM)」をゲストOSとしてサポート
  • Linuxホストにおいて3Dグラフィックスを有効化した場合に、ビデオでコーディングをアクセラレート可能に
  • 新たなゲストOSタイプとして「Windows 11(ARM)」をサポートとし、同ゲストOSに対してゲストOS拡張機能「Guest Additions」をインストール可能に
  • Apple siliconホストにおいて、オープンソースのポーティングレイヤー「DXMT」を使用して、試験的に3Dグラフィックスのアクセラレーションをサポート。併せて、「MoltenVK」上で「DXMT」を使用する以前のソリューション(適切に機能しなかったソリューション)が削除され、Intel Macにおいては、3Dグラフィックスのアクセラレーションが非サポートとなる
  • ストレージ関連の改善。「NVMe(NVM Express(Non-Volatile Memory Express))」ストレージコントローラエミュレーションがオープンソースベースパッケージの一部となる

その他の追加、修正点

  • ARMベースの仮想マシンにおいて、「VirtualBox 7.1」に紐づけて作成されたARM VMのステート(スナップショット)は「VirtualBox 7.2」とは互換性がなく、同版では適切に機能しないため、「VirtualBox 7.2」にアップデートする前に、保存された状態の仮想マシンをシャットダウンする必要がある
  • 仮想化エンジンの改善。Microsoftによるハイパーバイザープラットフォーム「Hyper-V」を仮想化エンジンとして使用する場合の、x86_64、及びARM CPU機能のレポーティングを改善
  • Microsoftによるハイパーバイザープラットフォーム「Windows Hyper-V(x86_64)」を仮想化エンジンとして使用する場合に、「xsave」「xrestor」命令処理を追加し、最新のCPUにおいて「x86_64-v3」命令セット拡張(「Intel AVX(Intel Advanced Vector Extensions)」「Intel AVX 2(Intel Advanced Vector Extensions 2)」を含む)を提供

システム要件について

「VirtualBox 7.2.0」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、ホストOSはIntelホスト、Apple Siliconホスト共に「macOS Ventura(macOS 13)」「macOS Sonoma(macOS 14)」「macOS Sequoia(macOS 15)」「macOS Tahoe(macOS 26)」となっています。「VirtualBox 7.1」にてサポートされていた「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」は対象外となりますので御注意下さい(macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供されています)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。