「Oracle VM VirtualBox」の開発を手掛けるVirtualBox.orgが、2022年10月以来の約2年振りのアップデートを目指してBeta版を公開しました。ARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2、Apple M3 Chip)」に向けたARM64(AArch64)バイナリーの開発が進捗し、Linux、BSDをゲストOSとして実行可能となっていますので、その他の新機能や変更点の概要、システム要件等を纏めつつ、リリース情報をポストします。
Oracle Corporationより米国時間2024年7月25日、開発過程にある次世代デスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox 7.1」の最新プレビュー版に相当する「Oracle VM VirtualBox 7.1.0 Beta 1 Build 164171(Oracle VM VirtualBox 7 Update 1 Test Release 1)」がリリースされ、プロジェクトサイトを通じて、macOS(Intel、Apple silicon)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。
Table of Contents
「Oracle VM VirtualBox Manager」においてモダンなルックアンドフィールを採用
次世代版のテスト、評価等を主目的としたプレビュー版として位置付けられている当版では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、主な特徴として、以下の項目等が示されています(「VirtualBox 7.0.20」からの主な変更点となります)。
Apple Silicon(Apple M1、Apple M2、Apple M3 Chip)ホストの改善
- 「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2、Apple M3 Chip)」ホストにおいて、ARM64(AArch64)アーキテクチャーのLinux、BSDをゲストOSとして実行可能に
ユーザーインターフェイス(GUI)関連の改善
- GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))においてモダンなルックアンドフィールを採用し、ユーザーのレベルに応じて、機能を制限した「Basic」、或いはフル機能を提供する完全版の「Experienced」の何れかを任意に選択可能
GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager)のルックアンドフィールを刷新 - 「About」スクリーン(「VirtualBox」>「About VirtualBox(VirtualBoxについて)」)を再デザイン
- アクセシビリティをオーバーホール
- GUIツールキット「Qt 6.5.3」をマイグレート
ネットワーク関連の改善
- NAT(Network Address Translation)エンジンを刷新し、新たに「IPv6」をサポート
OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との統合
- ローカル仮想マシンのリソース使用量等を表示可能なパフォーマンスダッシュボードを実装
- コンピュートインスタンスのクローン、リセットを実行可能に
全般的な改善(その他のコンビニエンスな機能)
- エクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)においてライセンス(PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License))を調整し、重複評価オプションを削除(期間限定の評価目的での使用の場合には、Oracle Software Delivery Cloudからダウンロード)
- VRDE(VirtualBox Remote Desktop Extension)の改善。ユーザーがカスタム証明書にてTLS(Transport Layer Security)を設定していない場合には、古い証明書の有効期限が切れる前に、(新しい証明書を発行する等して)自己署名証明書にてTLS(Transport Layer Security)を有効化可能に
- Linux(ホストOS、ゲストOS)の改善。ディスプレイサーバー「Wayland」において、クリップボード共有をサポート(「Fedora 35」等。「VirtualBox 7.1」に向けた、ゲストOS拡張機能「Guest Additions」のインストールが必要)
- エンコーディングパイプラインに向けて、スクリーンレコーディング(画面録画)機能のパフォーマンスを大幅に改善(Windows(ゲストOS)において、レコーディング時のCPU使用率を低減。「VirtualBox 7.1」に向けた、ゲストOS拡張機能「Guest Additions」のインストールが必要)
- EFI(Extensible Firmware Interface)関連の改善。新規に作成された仮想マシンを対象として、Microsoft DB/KEX証明書を追加
- And many others…
上記のリストは、公式から発せられたChange Logを参照していますが、それ自体が網羅的ではなく、全ての変更がリストされている訳ではない事を御了承下さい。また、「Oracle VM VirtualBox 7.1.0」では、Aboutスクリーン(「VirtualBox」>「About VirtualBox(VirtualBoxについて)」)が再デザインされています。
リデザインされたAboutスクリーン
システム要件について
「VirtualBox 7.1」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、Intel版におけるホストOSは「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」「macOS Ventura(macOS 13)」「macOS Sonoma(macOS 14)」となっています。「VirtualBox 7.0」にてサポートされていた「macOS Catalina(macOS 10.15)」は対象外となりますので御注意下さい(macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供されています)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。