「VirtualBox 7.1(7.1.0)」リリース、Apple Siliconホストが正式版に

Oracle Corporationより米国時間2024年9月9日、マルチプラットフォームに対応したオープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 7.1.0 Build 164728(Oracle VM VirtualBox 7 Update 1 Hotfix 0)」がリリースされ、プロジェクトサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、macOS(Intel、Apple Silicon)、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリーパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(バイナリーとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

Apple SiliconホストにおいてLinuxゲストを実行可能に

米国時間2024年7月25日よりテストリリース(パブリックベータ)が開始されていた「VirtualBox 7.1」では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、一連のテストリリース(「Beta 1 Build 164171」~「Beta 2 Build 164448」)を通じた主な特徴として、以下の項目等が示されています(「VirtualBox 7.0.20」からの主な変更点となります)。

Apple Silicon(Apple M1、Apple M2、Apple M3 Chip)ホストの改善

  • 「Apple Silicon(Apple M1、Apple M2、Apple M3 Chip)」ホストにおいて、ARM64(AArch64)アーキテクチャーのLinux、BSDをゲストOSとして実行可能に

仮想化エンジンの改善

  • Microsoftによるハイパーバイザプラットフォーム「Hyper-V」の使用時に、CPUIDのインストラクションに向けて「EFLAGS.TF」のハンドリングを修正

ユーザーインターフェイス(GUI)関連の改善

  • GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))においてモダンなルックアンドフィールを採用し、ユーザーのレベルに応じて、機能を制限した「Basic」、或いはフル機能を提供する完全版の「Experienced」の何れかを任意に選択可能
    刷新された「Oracle VM VirtualBoxマネージャ」
    GUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager)のルックアンドフィールを刷新
  • アクセシビリティをオーバーホール
  • GUIツールキット「Qt 6.5.3」をマイグレート
  • Aboutスクリーン(「VirtualBox」>「About VirtualBox(VirtualBoxについて)」)を再デザイン
    「VirtualBox 7.1」のAboutスクリーン
    リデザインされたAboutスクリーン
  • 「About」スクリーン(「VirtualBox」>「About VirtualBox(VirtualBoxについて)」)に連動して、アプリケーションアイコンも再デザイン
    再デザインされたアプリケーションアイコン
    「About」スクリーンに連動して、アプリケーションアイコンも再デザイン

ネットワーク関連の改善

  • NAT(Network Address Translation)エンジンを刷新し、新たに「IPv6」をサポート
  • 準仮想化デバイスのフレームワーク「virtio(virtio-net)」ネットワークインターフェイスにおいて、「FreeBSD 12.3」「pfSense 2.6.0」に向けた修正をフォローアップ

OCI(Oracle Cloud Infrastructure)との統合

  • ローカル仮想マシンのリソース使用量等を表示可能なパフォーマンスダッシュボードを実装
  • コンピュートインスタンスのクローン、リセットを実行可能に

「Unattended Installation(自動インストール)」の改善

  • 「Unattended Installation(自動インストール)」において、「Subiquity」「cloud-init」ベースのインストーラーをサポート。これにより、モダンなLinux(ゲストOS)を無人モードにてインストール可能に
  • 「Unattended Installation(自動インストール)」のプロセスにおいて、user(ユーザー)、admin(管理者)、root(ルート)の各アカウントに対して、別々のパスワードを指定可能に

全般的な改善(その他のコンビニエンスな機能)

  • エクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)においてライセンス(PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License))を調整し、重複評価オプションを削除(期間限定の評価目的での使用の場合には、Oracle Software Delivery Cloudからダウンロード)
  • エクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)において、完全な仮想マシンの暗号化に向けて、暗号化サポートモジュールの修正を適用
  • VRDE(VirtualBox Remote Desktop Extension)の改善。ユーザーがカスタム証明書にてTLS(Transport Layer Security)を設定していない場合には、古い証明書の有効期限が切れる前に、(新しい証明書を発行する等して)自己署名証明書にてTLS(Transport Layer Security)を有効化可能に
  • Linux(ホストOS、ゲストOS)の改善。ディスプレイサーバー「Wayland」において、クリップボード共有をサポート(「Fedora 35」等)
  • スクリーンレコーディング(画面録画)機能のパフォーマンスを改善
  • EFI(Extensible Firmware Interface)関連の改善。新規に作成された仮想マシンを対象として、Microsoft DB/KEX証明書を追加
  • コマンドラインユーティリティ「VBoxManage」関連の改善。仮想マシンの (ビデオ) 録画のプログレスを表示、及び(再)アタッチするための機能を追加
  • ゲストコントロールに向けた新たなサブコマンド「mount」を使用して、ゲストOSのマウントポイントを照会するための機能を追加(「Oracle VM VirtualBox 7.1」に向けたゲストOS拡張機能「Guest Additions」が必要)
  • 「VBoxShell」を対象として、多数の大小のバグの修正、及び「Python 3.x」との互換性の改善
  • And many others…

「Python 2.x」との互換性について。「Python 3」にアップグレードを

「Python 2.x」に向けたAPIのバインディングは現在非推奨としてマークされており、将来の版では削除される予定となっています。このため、コードをアップグレードして「Python 3」を使用するように、開発元から呼び掛けられています。

システム要件について

「VirtualBox 7.1」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、ホストOSはIntelホスト、Apple Siliconホスト共に「macOS Big Sur(macOS 11)」「macOS Monterey(macOS 12)」「macOS Ventura(macOS 13)」「macOS Sonoma(macOS 14)」となっています。「VirtualBox 7.0」にてサポートされていた「macOS Catalina(macOS 10.15)」は対象外となりますので御注意下さい(macOSホストは「Universal 2 Binary」ではなく、各アーテクチャーに向けたバイナリー(OSX.dmg、macOSAArch64.dmg)が個別に提供されています)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、OTN(Oracle Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

「macOS Sequoia(macOS 15)」の対応について

現時点で、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Sequoia(macOS 15)」に対する対応について、公式なアナウンスはありません。ユーザーマニュアルにおけるサポート対象ホストOS、ゲストOSにも、同版はリストされていません。