「Parallels Desktop for Mac App Store Edition 1.7(1.7.0)」リリース、Apple M1をサポート

Corel CorporationグループのParallels International GmbHより米国時間2020年8月25日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac App Store Edition」のアップデートリリースに相当する「Parallels Desktop for Mac App Store Edition 1.7.0 Build 23447」がリリースされ、現在Mac App Storeを通じて、日本語含む複数言語リソースを包含するマルチリンガル版のバイナリパッケージが入手可能となっています(app 約298.7MB)。

「Windows 11(ARM Insider Preview)」を試験的にサポート

Ver. 1を対象としたアップデートリリースとして位置付けられ、「Parallels Desktop 17.0.0」をベースとする当版では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、及びバグフィックス等が行われており、前版(Parallels Desktop for Mac App Store Edition 1.6.1)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

パフォーマンス関連の改善(アーキテクチャー統一)

  • CPU、メモリの自動割り当て。当版ではMacのハードウェアを評価し、Windows(ゲストOS)において 与え得る最高のエクスペリエンスを提供するために、仮想マシンに対して必要な数のリソースを自動的に割り当て可能となった。また、当該の仮想マシンを別のホストコンピューター(Mac)に転送した場合にも、Parallels Desktopは転送先のハードウェア構成に基づいて、CPUとメモリを自動的に割り当てる
  • 仮想マシンレジューム時のパフォーマンスを、最大で38%高速化

パフォーマンス関連の改善(Apple M1 chip)

  • Windows 10、Windows 11(何れも、ARM Insider Preview)の起動時間を最大で33%高速化
  • Windows 10、Windows 11(何れも、ARM Insider Preview)を対象として、ディスクパフォーマンスを最大で20%高速化

3Dグラフィックスを含むグラフィックス関連の改善(アーキテクチャー統一)

  • よりスムーズなWindows UIの応答性、及び同期されたビデオ再生エクスペリエンスを提供すべくして、ディスプレイドライバーを改善。この新たなドライバーは、ゲーム体験の向上を齎すべくして、多くのWindowsゲームのフレームレートを向上させ、ホストコンピューター(Mac)のディスプレイとの同期を改善する
  • OpenGLによるグラフィックスパフォーマンスを 最大6倍高速化
  • Windows(ゲストOS)におけるグラフィックスパフォーマンスを 最大25倍高速化

3Dグラフィックスを含むグラフィックス関連の改善(Apple M1 chip)

  • Linux(ゲストOS)に向けて、コンソールウインドウのサイズに合わせて ゲストOSの解像度を動的に調整可能なダイナミックレゾリューションをサポート(フルスクリーンモードを含む)
  • MicrosoftによるマルチメディアAPI「DirectX 11(Direct3D 11)」によるグラフィックスパフォーマンスを、最大28倍高速化

ユーザービリティ関連の改善

  • 「Devices(デバイス)」メニューにおいて、macOS(ホストOS)と同一のデバイス名が表示されるべくした改善を適用
  • ゲストOSにマウントされたUSBドライブが、macOS(ホストOS)のFinderにおけるデバイス名と同じ名称で表示されるべくした改善を適用
  • ゲストOSにリストされたプリンターとスキャナーが、macOS(ホストOS)の「System Preferences(システム環境設定)」>「Printers & Scanners(プリンタとスキャナ)」におけるデバイス名と同じ名称で表示されるべくした改善を適用
  • 追加の通し番号(#2、#3 等)が、ホストコンピューター(Mac)に対して 同一のデバイスが複数接続されている場合にのみ使用されるべくした変更を適用
  • 「Free Up Disk Space(ディスクスペースの解放)」アシスタントにおいて、仮想マシンのスナップショットによって占有される容量が表示され、ディスク領域を より適切に管理すする事が可能に

当版におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター、ホストOSは「macOS Mojave(macOS 10.14.6)」以降となっています。Ver. 1.6にてサポートされていた「macOS High Sierra(macOS 10.13.6)」は 対象外となりますので御注意下さい(ゲストOSとしてのMac OS X(macOS)のサポートは「Server 10.5」〜「11」となります)。また、既知の問題点を含む その他の詳細が、リリースノート、PTN(Parallels Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

「macOS Monterey」への対応について

App Storeでは、GA版としてリリースされていないプロダクトに関する言及が禁止されているため、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Monterey 12.0」に関する記述がありませんが、「Parallels Desktop 17」と同様に、当版においても ゲストOS、ホストOSとしての試験的なサポートが進められていると予想されます。

名称(ブランディング)の変更について

米国時間2019年1月21日付にてリリースされた「1.5.0 Build 20116」より、プロダクトの名称が「Parallels Desktop Lite」から「Parallels Desktop for Mac App Store Edition」に変更されました。これは、「Lite」というラインアップ名が、Standard版よりも高価なサブスクリプションの金額設定に相応しくないとの指摘を受けての変更となります(Mac App Storeにおいては、名称の重複する製品が他には存在しないため「Parallels Desktop」と表記されています)。

「Parallels Desktop for Mac App Store Edition 1.7.1」リリース(2021年10月20日に追記)

米国時間2021年10月19日付にて「Parallels Desktop for Mac App Store Edition 1.7.1 Build 23524(Parallels Desktop for Mac App Store Edition 1 Update 7 Hotfix 1 )」がリリースされました。当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、前版(「1.7.0 Build 23447」)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

Windows(ゲストOS)関連の改善

  • Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 10」、次世代デスクトップオペレーティングシステム「Windows 11」に対してVirtual TPM(Virtual Trusted Platform Module、仮想TPM)チップを追加する場合に発生し得た問題を修正
  • Microsoftによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「Windows 11」の動作要件を満たし、同OSとの互換性を向上するために、「Windows 11」に向けて新規に作成され仮想マシンに対して、Virtual TPM(Virtual Trusted Platform Module、仮想TPM)チップが自動的に追加されるべくした改善を適用(この改善によって、「Windows 11(ゲストOS)」の新規インストール、アップデートインストール、アップグレードインストールを より容易に実行可能に)
  • Apple Silicon(Apple M1)が実装されたホストコンピューター(Mac)において、「Windows 10(ゲストOS)」をインストールするための仮想マシンを作成するために、Virtual TPMチップが自動的に追加されるべくした改善を適用
  • 種々のWindowsゲームアプリケーションを対象として、グラフィックス関連の問題を修正(「WoW(World of Warcraft)」「Age of Empires II: Definitive Edition」「Tomb Raider III」「Metal Gear Solid V: The Phantom Pain」「Mount & Blade II: Bannerlord」「World of Tanks、Raft」等)

Linux(ゲストOS)関連の改善

  • Virtio GPUにおいてVirGLがサポートされる事によって、サポート対象のLinuxディストリビューションにおいて、Linux 3Dアクセラレーションが有効化されるべくした改善を適用(この改善によってビジュアルパフォーマンスが向上し、Linux(ゲストOS)においてWaylandプロトコルを使用可能に)