「Parallels Desktop 20.2.0」リリース、Apple silicon Mac(Apple M1〜Apple M4)において、x86_64(Intel)ゲストをエミュレーションにて実行可能に

AlludoグループのParallels International GmbHより米国時間2025年1月9日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac」のアップデートリリースに相当する「Parallels Desktop 20 for Mac 20.2.0 Build 55872(Parallels Desktop 20 Update 2 Hotfix 0)」がリリースされ、Parallelsによる公式ダウンロードページ、及びビルトインのソフトウェアアップデーター(「Parallels Desktop」>「Check for Updates…(更新をチェック…)」)を通じて、日本語含む12言語リソースを包含するマルチリンガル版のバイナリーパッケージが入手可能となっています。

「macOS Sequoia(macOS 15、ホストOS)」以降の環境においてUSBパススルーをサポート

「Parallels Desktop 20 for Mac」を対象としたアップデートリリースとして位置付けられている「Parallels Desktop 20.2.0」では、、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、「Parallels Desktop 20.1.3」からの主な変更点として以下の項目等が示されています。

全般的な改善

  • 「Parallels Desktop for Mac Pro Edition」「Parallels Desktop for Mac Business Edition」「Parallels Desktop for Mac Enterprise Edition」を対象として、Intel Macにて作成されたx86_64(Intel)ベースの仮想マシン(ゲストOS)をApple silicon Mac(Apple M1〜Apple M4)にインポートし、エミュレーションモードにて実行可能に(現時点では早期のテクノロジープレビューとして実装されているため、パフォーマンスに制限がある)。x86_64(Intel)ベースの仮想マシン(ゲストOS)をエミュレーションモードにて実行するためには、「Control Center(コントロールセンター)」に登録されている仮想マシン名を右クリックして、表示されたコンテキストメニュー(右クリックメニュー)から「Start using Emulator(エミュレーターを使用して起動)」を選択実行

Windows(ゲストOS)関連の改善

  • Windows(ゲストOS)において実行している「Microsoft Word」「Microsoft PowerPoint」「Microsoft Outlook(classic)」に対して、コンテキストメニュー(右クリックメニュー)項目として「Apple Intelligence」の「Writing Tools(作文ツール)」を追加
  • ゲストOSをCoherence(コヒーレンス)モードにて実行している場合に、「Apple Intelligence」の「Writing Tools(作文ツール)」を適切に起動する事ができなかった問題を修正
  • 「Windows 11(ゲストOS)」に対して、インスタントメッセンジャー「Tencent QQ(騰訊QQ)」をインストールする事ができなかった問題を修正

Linux(ゲストOS)関連の改善

  • AppleによるARMベースのSoC(System on a Chip)「Apple M4」との互換性を改善し、当該環境において、Linux(ゲストOS)のインストール中に仮想マシンがランダムにクラッシュしていた問題を修正
  • 「CentOS Stream 9(ゲストOS)」に対して、ゲストOS拡張機能「Parallels Tools」を適切にインストールする事ができなかった問題を修正
  • 共有フォルダーが有効化された「Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)」において、「Hard Link(ハードリンク)」のサポートを修正(「Hard Link(ハードリンク)」は、macOSの「Archive Directory Link」に相当するファイルシステムのポインティング機能)

macOS(ゲストOS)関連の改善

Apple silicon Mac(Apple M1〜Apple M4)において実行されている既存のmacOS(ゲストOS)では、ゲストOS拡張機能「Parallels Tools」の自動更新をトリガーするために再起動が必要になります。

  • ホストOSとして「macOS Sequoia(macOS 15)」以降を実行している環境においてUSBパススルーをサポートし、macOS(ゲストOS)に対してUSBデバイスを接続可能に(USB経由でのiPhoneデバイスの接続には非対応)
  • macOS(ホストOS)、macOS(ゲストOS)間において、タイムゾーンシンク(タイムゾーンの同期)をサポート。この機能を使用するためには、ゲストOS拡張機能「Parallels Tools」のインストールが必要
  • macOS(ホストOS)、macOS(ゲストOS)間において、スナップショットを作成した後に、クリップボード経由でコピーアンドペーストが機能しなかった問題を修正
  • IntelホストのmacOS(ゲストOS)において、共有フォルダーのコンテンツが表示されないケースが確認されていた問題を修正

x86_64(Intel)ゲストのエミュレーションについて

「Parallels Desktop 20.2.0」では、上位版の「Pro Edition」「Business Edition」「Enterprise Edition」を対象として、Intel Macにて作成されたx86_64(Intel)ベースの仮想マシン(ゲストOS)をApple silicon Mac(Apple M1〜Apple M4)にインポートし、エミュレーションモードにて実行する事が可能となっています。

この機能は、ファームウェアインターフェイスとして「UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)」を実装した仮想マシンのみがエミュレーションの対象となっており、BIOS(Basic Input/Output System)を実装するレガシーなゲストOS(「Windows XP」「Windows Vista」「Windows 7」等)はサポートされません。現時点では、UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)ベースの「Windows 10」「Windows 11」「Windows Server 2019」「Windows Server 2022」、及びデスクトップ環境として「Xfce」「LXQt(Lightweight Qt Desktop Environment)」「MATE」等を採用する軽量のLinuxディトリビューションがサポート対象となります(現時点では早期のテクノロジープレビューとして実装されているため、パフォーマンスに制限があります)。

x86_64(Intel)ベースの仮想マシン(ゲストOS)をエミュレーションモードにて実行するためには、「Control Center(コントロールセンター)」に登録されている仮想マシン名を右クリックして、表示されたコンテキストメニュー(右クリックメニュー)から「Start using Emulator(エミュレーターの使用を開始する)」を選択して実行する事となります。

「Parallels Desktop 20.2.0」のx86_64(Intel)エミュレーション
「Parallels Desktop 20.2.0」におけるx86_64(Intel)エミュレーション

システム要件について

「Parallels Desktop 20 for Mac」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター(Intel、Apple silicon)、ホストOSは「macOS Monterey(macOS 12)」「macOS Ventura(macOS 13)」「macOS Sonoma(macOS 14)」「macOS Sequoia(macOS 15)」となっています(ゲストOSとしてのMac OS X(macOS)のサポートは「OS X Mavericks(OS X 10.9)」〜「macOS Sequoia(macOS 15)」となります)。また、既知の問題点を含むその他の詳細が、リリースノート、PTN(Parallels Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

また、「Parallels Desktop 20 for Mac」からサポートされた「Writing Tools(作文ツール)」は、生成モデルを齎すパーソナルAI(Artificial Intelligence)システム「Apple Intelligence」が有効化された「macOS 15.1(macOS Sequoia for Apple Silicon)」以降においてサポートされています。