「Parallels Desktop 20(20.0.0)」リリース、「macOS Sequoia」に対応し、AIパッケージを導入

米国時間2006年6月15日付にてイニシャルリリース(Parallels Desktop for Mac 2.1)を迎えて以降、着実に年次のアップグレードを継続してきた macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac」が、2024年のリリースにて区切りのVer. 20(Parallels Desktop 20 for Mac)」に到達しました。

AlludoグループのParallels International GmbHより米国時間2024年9月10日、macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Parallels Desktop for Mac」のアップグレードリリースに相当する「Parallels Desktop 20 for Mac 20.0.0 Build 55653(GA版)」がリリースされ、Parallelsによる公式ダウンロードページを通じて、日本語含む11言語リソースを包含する マルチリンガル版のバイナリーパッケージが入手可能となっています(サブスクリプションユーザーは、追加のコストを伴わずしてアップグレード可能となっています。また、アプリケーションをアクティベートする際には、インターネット接続環境が必要となります)。

Apple Siliconにおいて、Intel(x86)ベースの仮想マシンをエミュレーションモードにて実行可能に

米国時間2024年3月26日よりテストリリース(プライベートベータ「pdfm 2024 TP」)が開始されていた当版では、一連のテストリリース(「March Technical Preview 1 Build 55283」~「August Release Candidate 1 Build 55610」)を通じた主な特徴として、以下の項目等が示されています(「Parallels Desktop 19.3.0」からの主な変更点となります)。

サポート対象オペレーティングシステムの追加

  • Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Sequoia(macOS 15)」を プライマリーOS(ホストOS)、ゲストOSとして試験的にサポート(ゲストOSとしては、Mac App Storeから入手可能なインストーラー(.app)、或いはリカバリーパーティション(APFS(Apple File System))を通じてインストール可能。インストーラーパッケージに含まれる「InstallESD.dmg」を抽出する必要はない)。「macOS Sonoma(macOS 14)」の正式リリース後には、ParallelsのサポートステータスもGAに昇格する予定

macOS(ゲストOS)の改善(Apple silicon)

  • Apple Silicon(Apple M1、Apple M2)ホストにおいて、Appleによる次世代デスクトップオペレーティングシステム「macOS Sequoia(macOS 15)」をゲストOSとしてセットアップして実行する事が可能に
  • macOS(ゲストOS)がインストールされた仮想マシンが、サスペンド、或いはシャットダウンした後に、常に初期解像度に戻ってしまっていた問題を修正

「Windows 11(ゲストOS)」の改善

  • macOS(ホストOS)アプリケーションから、Windows(ゲストOS)のファイルを開く事が可能な共有アプリケーション機能を再設計
  • デフォルトの用紙サイズをmacOS(ホストOS)の設定と同期したり、最も一般的な用紙サイズであるA4をデフォルトに設定したりする事によって、印刷時のエクスペリエンスを向上
  • 共有フォルダー機能を再設計して、共有フォルダー内のファイルへのポインターとしてシンボリックリンクを採用。この仕様変更によって、Windows(ゲストOS)からは 共有フォルダーがローカルディスク(C:)におけるファイスシステムリソースの一つであるようかのように扱われる。この機能の詳細については、ナレッジベース(KB130138)を参照
  • 「Windows 10(ゲストOS)」以降を実行している仮想マシンにおいて、macOS(ホストOS)における実際の使用可能なディスク容量(物理的な容量)を表示可能に

Linux(ゲストOS)」の改善

  • 「macOS Sonoma(macOS 14、プライマリーOS(ホストOS)」以降の環境において、「Fedora」、及び「Debian」ベースのLinux(ゲストOS)におけるデフォルトの印刷エクスペリエンスとして IPP((Internet Printing Protocol)印刷を追加
  • Linux(ゲストOS)からmacOS(ホストOS)に対してファイルをドラッグアンドドロップする場合に、当該のオペレーションが失敗するケースが確認されていたバグを修正

Apple Siliconホストにおける、Intel(x86)エミュレーションモード

  • Parallelsによる独自のテクノロジーを使用して、Intel Macにおいて作成されたParallels仮想マシンを、Apple Silicon Macにおいてエミュレーションモードにて実行可能に。尚、Apple Silicon Macにおけるx86ベースの仮想マシンの作成には非対応となっている他、当該機能は現時点において早期のプレビューフェーズにあるため、パフォーマンス面での課題が残る

全般的な改善(その他のコンビニエンスな機能)

  • サポートされている全てのオペレーティングシステムのネイティブUIを使用して、ゲストOS拡張機能「Parallels Tools」を再構築(信頼性とユーザービリティを大幅に改善)
  • アプリケーションのアイコンにOSシンボルのバッジを追加する事によって、macOSにおけるメタデータ検索テクノロジー「Spotlight」でアプリケーションを検索する時に、macOS(ホストOS)とWindows(ゲストOS)のアプリケーションを容易に識別可能に
  • ゲストOSのファイルを削除する場合に、その都度ファイルを完全に削除するのではなく、macOS(ホストOS)の「Trash(ごみ箱)」に移動すべくした仕様変更を適用
  • サードパーティ製のドライバーによって、「Windows(ゲストOS)」 の起動時に「BSOD(Blue Screen of Death、ブルースクリーン)」が発生するケースが確認されていた問題を修正
  • ゲストOSをCoherence(コヒーレンス)モードにて実行している場合に、「Delphi IDE(デルファイ)」におけるコンテキストメニュー(右クリックメニュー)がブランク表示となり得たバグを修正

「Parallels Desktop for Mac Business Edition」の改善

  • コマンドラインユーティリティ「prlctl」における「prlctl installtools」コマンドを使用して、コマンドラインインターフェイスからゲストOS拡張機能「Parallels Tools」のインストール、アップデートを実行可能に
  • 「prlctl」を使用して、Windows(ゲストOS)コマンドラインインターフェイス「PowerShell」モジュールをインストールする事ができなかった問題を修正
  • リファレンスマニュアルを表示する「prlctl man」「prlsrvctl man」に対して、更なる追加の改善を適用
  • コマンドラインユーティリティ「prlctl」における機能性の拡張。「prlctl set –network-conditioner」コマンドセットを使用した、ネットワークコンディショナーをサポート
  • 「prlctl reclaim-disk 」を使用して、コマンドラインから仮想マシンディレクトリーのディスクスペースを開放可能に
  • 「prlctl list -I」コマンドのアプトプットを拡張
  • 確認されていた種々のバグ、エラーを修正

「Parallels Desktop 20 for Mac」において廃止された機能

Parallels Customer Experienceプログラムに参加しているユーザーからの統計をベースに、使用頻度の低い機能のサポートを停止して、よりクリティカルで使用頻度の高い機能のサポートと更なる機能強化に重点を置く事が決定されています(「Parallels Desktop 20 for Mac」にて廃止される機能)。

上記にリンクしたポストでは、前版の「Parallels Desktop 19 for Mac」を最後に、「Parallels Desktop 20 for Mac」にて削除される機能のリストを掲載しています。これらは何れもビジネスクリティカルな機能ではなく、当該の変更は現行のワークフローには殆ど影響しないと想定されています。

システム要件について

「Parallels Desktop 20 for Mac」におけるシステム要件は、64bitプロセッサーを搭載したApple製コンピューター(Intel、Apple silicon)、ホストOSは「macOS Monterey(macOS 12)」「macOS Ventura(macOS 13)」「macOS Sonoma(macOS 14)」「macOS Sequoia(macOS 15)」となっています(ゲストOSとしてのMac OS X(macOS)のサポートは「OS X Mavericks(OS X 10.9)」〜「macOS Sequoia(macOS 15)」となります)。また、既知の問題点を含むその他の詳細が、リリースノート、PTN(Parallels Technology Network)等を通じて確認可能となっています。

「CentOS Stream 9」on「Parallels Desktop 20 for Mac 20.0.0」
「CentOS Stream 9」on「Parallels Desktop 20 for Mac 20.0.0 Build 45485」on「macOS 14.6.1(macOS Sonoma、ホストOS)」

「Parallels Desktop 20.0.1」リリース(2024年9月18日に追記)

米国時間2024年9月17日付にて「Parallels Desktop 20 for Mac 20.0.1 Build 55659(Parallels Desktop 20 Update 0 Hotfix 1)」がリリースされました。当版では、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善が行われており、実行中の「Windows 10(ゲストOS)」において、ブラックスクリーンが発生するケースが確認されていた問題の修正等が行われています。