CanonicalによるLinuxディストリビューション「Ubuntu 20.10(開発コードネーム「Groovy Gorilla」)」が、英国時間2020年10月22日付にてGAリリースを迎え、現在Ubuntu Foundationによる公式ダウンロードページを通じて、x86-64(AMD64)を対象としたisoイメージが入手可能となっています。今回は、同オペレーティングシステムの公式フレーバーの一つ「Lubuntu 20.10」を macOS(Mac OS X)ベースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Fusion 12」にゲストOSとしてインストールしてみましたので、そのプロセス等を簡単に纏めてみたいと思います。
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ライトでミニマルなUbuntuの公式フレーバー
「VMware Fusion」では、米国時間2008年9月15日付にてリリースされたVer. 2.0より、Linux(ゲストOS)を対象とした自動インストール機能「Linux Easy Install(Linux簡易インストール)」オプション(「New Virtual Machine Assistant(新規仮想マシンアシスタント)」)が実装されていますが、当エントリーでは、インストーラーを通じたマニュアルインストールを実践しています(ゲストOSのタイプとして「Ubuntu 64-bit」を選択しています)。
「Lubuntu」では、Live CDを そのままインストールCDとして利用する事が可能となっており、ウィザードに従って タイムゾーン指定、キーボードレイアウトの選択、インストールの種類、及びアカウント設定等を行っていく事となります。
↑「VMware Fusion 12」に「Lubuntu 20.10」をインストール
「open-vm-tools」をインストール
「VMware Fusion 12」は、米国時間2020年11月19日付にてリリースされた「12.1.0 Pro Build 17195230(現行GA版)」の段階において「Lubuntu 20.10(Ubuntu 20.10)」をゲストOSとして正式にサポートしていませんが、ゲストOS拡張機能「VMware Tools」のオープンソース実装「open-vm-tools」をカーネルモジュールとして組み込む事が可能です。
*「VMware Fusion.app」には、Linux(ゲストOS)に向けた「VMware Tools」も同梱されていますが、VMwareからは、各OSベンダー、OSコミュニティーから提供されている「open-vm-tools」の利用が推奨されています(同社によるサポートポリシーでは、認定されたオペレーティングシステムでの使用を目的として、各OSベンダー、OSコミュニティーから配布される「open-vm-tools」は、完全にサポートされるとの事です)。尚、Ubuntuのリポジトリーでは、Ver. 14.04 LTS(Trusty Tahr)以降において「main」に含まれています(Ver. 13.10(Saucy Salamander)以前では「multiverse」)。
「open-vm-tools」は、パッケージ管理システム「APT(Advanced Packaging Tool)」を通じてインストールする事が可能となっています。この場合には、「Terminal(端末)」を通じて以下のコマンドを実行します(要管理者権限)。
sudo apt install open-vm-tools
sudo apt install open-vm-tools-desktop
2行目の「open-vm-tools-desktop」は、デスクトップ仮想化ソフトウェアでのインタラクティブ機能を拡張するための追加パッケージ(オプションパッケージ)です(open-vm-toolsを追加のユーザースペースプログラムやライブラリーで拡張します)。このパッケージをインストールする事によって、タイムシンクロナイズ、ダイナミックレゾリューション(フルスクリーンモードを含む)、ゲストOS、ホストOS間におけるテキストのコピーアンドペースト、及びファイルのドラッグアンドドロップ等の諸機能が利用可能となります。尚、パッケージ名をスペースで区切る事によって、複数のパッケージを1行のコマンドでインストールする事も可能です(APTのGUIフロントエンド「Synaptic Package Manager(Synapticパッケージマネージャー)」は、デフォルトではインストールされません)。
※Linux(ゲストOS)に対して同梱されている「VMware Tools」を手動でインストールする場合には、マウントされたイメージファイルに含まれているtarボール(VMwareTools-xx-xx.tar.gz)を展開した後に、コマンドラインを通じてインストールスクリプト(~/vmware-tools-distrib/vmware-install.pl)を実行する必要があります(要管理者権限)。
デスクトップ環境、ダークモード
Lubuntuでは、英国時間2018年10月18日付にてリリースされたVer. 18.10(Cosmic Cuttlefish)より、デフォルトのデスクトップセッションとして、「LXDE(Lightweight X11 Desktop Environment)」に代わり、Qtベースの「LXQt」が採用されています。
LXQtは、LXDEとRazor-qtを統合して開発が進められているプロジェクト(デスクトップ環境)で、インターフェイスは「Ubuntu」セッションと同様に、各種のコントロールボタンがウインドウの右上部に配置されています。
アピアランスから適用可能なダークモードは、タスクバーとメニューの背景に限定した対応となり、ウインドウの背景には適用されません。これは、「OS X Yosemite(OS X 10.10)」「OS X El Capitan(OS X 10.11)」「macOS Sierra 10.12」「macOS High Sierra 10.13」における対応と類似しています。
メモリー使用量、Linuxカーネル
起動直後のメモリー使用量は約467MBとなっており、軽量級のディストリビューションと言えるでしょう(Ubuntuをベースとして、デスクトップ環境にCinnamonを使用する「Linux Mint 20.1(開発コードネーム「Ulyssa」)」は、同じ条件で約720MB)。
GAリリース時において「Linux Kernel 5.8.0」「X.Org Server 1.20.9」を実装しています。
↑「Lubuntu 20.10」におけるダークモード。タスクバーとメニューの背景に適用されます。「Lubuntu 20.10(Groovy Gorilla、ゲストOS)」on「VMware Fusion 12.1.0 Pro Build 17195230」on「macOS Big Sur 11.1(ホストOS)」