「VMware Workstation 2017 TP 1」リリース、VBS(Virtualization Based Security)をサポート

Dell TechnologiesグループのVMwareより米国時間2017年7月17日、開発過程にある Windows、Linuxベースの次世代デスクトップ仮想化ソフトウェア「VMware Workstation 2017」の最新プレビュー版(パブリックベータ「Workstation 2017 TP(July)」)に相当する「VMware Workstation 2017 Technology Preview 1 Build 6056110(e.x.p.6056110 July)」がリリースされ、VMware Communitiesを通じて、英語版のバイナリーパッケージが入手可能となっています(現時点では日本語リソースが含まれていないため、日本語環境のWindows、Linux(ホストOS)において実行した場合にも、英語によるインターフェイスが提供される事となります。バージョン表記は、現時点では暫定的に付されているものです。今後の開発過程において、正式なバージョンナンバーが決定されます)。

Linuxホストにおいて、ユーザインターフェイスに「GTK+ 3」を採用

次世代版のテスト、評価等を主目的としたプレビュー版として位置付けられている「VMware Workstation 2017 TP 1」では、機能の追加、全般的な安定性改善、パフォーマンス改善、バグフィックス、セキュリティアップデート等が行われており、主な特徴として以下の項目等が示されています(「VMware Workstation 12.5.7」からの主な変更点となります)。

  • パフォーマンス、機能性の向上等を主目的として、「VMware Fusion Technology Preview 2017」等と同様に、デフォルトの仮想ハードウェアのバージョンを「13」にアップグレード(virtualHW.version = “13”)。仮想マシン(.vmwarevm)のハードウェアバージョンは、セッティングエディターを通じたGUIにて確認可能(「Other(その他)」>「Compatibility(互換性)」)
  • サポート対象オペレーティングシステムの追加。Microsoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 10 Creators Update」をゲストOS、ホストOSとしてサポート。ゲストOSとしては、「New Virtual Machine Wizard(新規仮想マシンウィザード)」において、同オペレーティングシステムのISOイメージを正確に認識し、自動インストール機能「Windows Easy Install(Windows簡易インストール)」オプション、共有フォルダー、Unity(ユニティ)モード等の諸機能を利用可能に
  • 新たに「Ubuntu 17.04(Zesty Zapus)」「Fedora 26」をゲストOSとしてサポート。プリコンパイルされたカーネルモジュールを伴う ゲストOS拡張機能「VMware Tools」が同梱され、自動インストール機能「Linux Easy Install(Linux簡易インストール)」オプション、共有フォルダー、ダイナミックレゾリューション等の諸機能を利用可能に(VMwareは、オープンソースのゲストOS拡張機能「open-vm-tools」の利用を推奨している)
  • セキュリティ関連の改善。セキュリティは仮想化を含む情報テクノロジーにとって最もクリティカルな課題の一つであるとの認識から、プライベートクラウドプラットフォーム「VMware vSphere 6.5(VMware ESXi 6.5)」において導入され、セキュアなブートプロセスを実現する UEFI(Unified Extensible Firmware Interface)セキュアブート、及び「VMware Workstation Tech Preview 2017」においてゲストOSとして実行されているMicrosoftによるデスクトップオペレーティングシステム「Windows 10」、サーバーオペレーティングシステム「Windows Server 2016」を対象とした「VBS(Microsoft Virtualization Based Security、仮想化ベースのセキュリティ)」に対するサポートを追加した。当該機能は、ユーザーエクスペリエンスやパフォーマンス等のフィードバックを聞くために、現在もアクティブに開発中である
  • ネットワーク関連の改善。仮想化ラボの構築において、複数の仮想ネットワークアダプターを使用する可能性のあるパワーユーザーの場合には、仮想ネットワークアダプターの名称をカスタマイズしたいと考えるケースもある。このようなリクエストに応じて「VMware Workstation Technology Preview 2017(仮称)」では、仮想ネットワークエディターを通じて、仮想ネットワークアダプターをリネーム可能に(現時点では、Windowsホストにおいてのみ利用可能)
  • 強化されたネットワークコントロール。「VMware Workstation」を使用した各種のテストの実行は、その利便性とコスト効率の高さから高い評価を得ているが、「VMware Workstation 2017」では、既存のネットワーク速度、及びパケット損失シミュレーターと共に、新たなネットワークレイテンシーシミュレーション機能を使用する事によって、特定のネットワーク環境を容易にシミュレート可能とした。また、組織を改善するためのVMネットワークの名称変更等の新たな機能を追加しながら、NAT(Network Address Translation)ルールを管理するためのリクエストの多いインターフェイスも提供した。尚、「Network Adapter(ネットワークアダプタ)」>「Advanced Settings(詳細設定)」におけるオプションをチェックする事によって、当該の機能を有効化する事が可能
  • 「VMware Workstation 11」で導入された、リモートvSphereホスト(リモート仮想マシン)、及びクラスターを管理する事が可能な「VMware vSphere」との統合機能を強化し、「VMware Workstation(リモート環境)」からダイレクトに、サーバー仮想化ソフトウェア「VMware ESXi」ホストに対して、各種のパワーオペレーション(メンテナンスモードへの移行、退出、パワーオフ、サスペンド、レジューム、ポーズ(一時停止)、リスタート、シャットダウン等の仮想マシンのリモート管理)を実行可能に
  • 「VMware Workstation」は、ローカルマシンにおいて VMwareによるデータセンタープロダクトを実行して学習するためのベストなソリューションであるが、当版では 仮想マシンフォーマットにおける標準規格 OVF(Open Virtualization Format)における「OVA(Open Virtualization Format Archive)」パッケージ(.ova)に対するサポートの改善により、「VMware Workstation」に対して(以前よりも容易に)VCSA(VMware vCenter Server Appliance)をインポートする事が可能となった
  • ユーザーインターフェイス(GUI)関連の改善。GUIクライアント(VMコンソール)のルックアンドフィールを刷新すると共に、各種のタスクを簡素化するための機能を追加。「Virtual Machine Library(仮想マシンライブラリ)」における各仮想マシンのウインドウに、仮想マシンのIPアドレス、MACアドレス、ゲストOSのバージョン(ビルド番号、カーネルの詳細等)を一目にて迅速に確認可能な「Information(情報)」エリアを追加。再デザインされた「New Virtual Machine Wizard(新規仮想マシンウィザード)」では、インストールプロセスにおけるステージを容易に確認する事が可能なコントロールを追加。この機能を有効化するためには、ゲストOS拡張機能「VMware Tools」の最新版がインストールされている必要がある
  • Linuxホストにおいて、新たに「GTK+ 3」をベースとして、ユーザーインターフェイスを完全にリライト。これは、ユーザーエクスペリエンスの改善のみならず、新たなLinuxディストリビューションの継続的なサポートを保証する
  • 仮想マシンの環境構築全般によって、ユーザーの各種の実作業が阻害される事を最小限に抑えたいとした取り組みの成果の一つとして、各種の自動化されたタスクを導入した。既存のWindowsホストにおいて利用可能な、手動での「Clean Up Disks(クリーンナップディスク)」コマンドは、VMware仮想ディスク(.vmdk)のフリースペースの回収に便利ではあるが、定期的に実行すると その効率性が低下する可能性が生じる。この問題を解決するために、「VMware Workstation Tech Preview 2017」では、当該のオペレーションを仮想マシンの電源オフ時における自動手順とする。この機能は、セッティングエディターにおける「Advanced(詳細設定)」タブの「Clean up disks after shutting down this virtual machine(この仮想マシンをシャットダウンした後に ディスクをクリーンナップする)」のチェックボックスをオンにする事によって試用する事ができる。このプロセスはパフォーマンスに影響を与える事なく、オンザフライに実行され、WindowsホストにおけるWindows(ゲストOS)仮想マシンにおいてのみ試用可能となっている
  • 「Virtual Machine Library(仮想マシンライブラリ)」外にロケートされた仮想マシンをオートスキャンで自動収集し、「Virtual Machine Library(仮想マシンライブラリ)」に追加する事が可能に(スキャン対象(収集対象)として、ネットワーク共有ストレージ、USBドライブもサポート)
  • ホストOSのシャットダウン時に、実行中の全ての共有仮想マシンを自動的にサスペンドさせる事が可能に
  • 仮想ディスクスペースの自動クリーンナップ。これまでに利用可能としていた手動の「Clean Up Disks」コマンドは、Windows(ホストOS)におけるディスクスペースを再利用するためには便利だが、定期的に実行すると効率が低下するといった相反性がある。「VMware Workstation Tech Preview 2017」では、仮想マシンの電源オフ時に実行する当該の操作が 自動化された手順になる。この機能を試すためには、セッティングエディターにおける「Advanced(詳細)」>「Clean up disks after shutting down this virtual machine(この仮想マシンをシャットダウンした後にディスクをクリーンアップする)」にチェックを入れる(この機能は現在、Windowsホストにおいてのみ利用可能)
  • 多数のゲストOSを対象として、メディアの検出性を改善
  • 3Dグラフィックスを含むグラフィックス関連の改善。各種プラットフォーム、アプリケーションを対象として、グラフィックスのレンダリングにおける正確性を改善し、グラフィックスドライバーのチューニング(Windowsビデオドライバーをアップデート)を実行
  • グラフィックスにおけるデスクトップエクスペリエンスを向上(パフォーマンスの改善等)
  • 一部のデバイスを対象として、USB関連の互換性を改善
  • 一部特定のシステム構成において、ハングアップ、仮想マシンのフリーズが生じるケースが確認されていた問題を修正
  • 全般的な安定性、パフォーマンス、及びアプリケーション互換性を改善
  • And many others…

仮想ハードウェアとシステム要件

上記リストにも示しましたように、「VMware Workstation Tech Preview 2017」では 新規仮想マシン作成時におけるデフォルトの仮想ハードウェアのバージョンが「13」にアップグレードされていますが、このバージョンが適用された仮想マシンは、旧版の「VMware Workstation」とは互換性がありません。特に旧版で作成した仮想マシンをアップグレードする場合には御注意下さい。