「VirtualBox 5.1.12」リリース

KVM準仮想化関連の修正等が適用された メンテナンスアップデート

Oracle Corporationより米国時間2016年12月20日、マルチプラットフォームに対応した オープンソースのデスクトップ仮想化ソフトウェア「Oracle VM VirtualBox」のアップデートリリースに相当する「Oracle VM VirtualBox 5.1.12 Build 112440」がリリースされ、現在コミュニティサイト、及びOracleによる公式ダウンロードページを通じて、OS X、Windows、Linux、Solarisを対象としたバイナリパッケージ、ソースコード、SDK(Software Development Kit)、PUEL(VirtualBox Personal Use and Evaluation License)に準拠したエクステンションパック(Oracle VM VirtualBox Extension Pack)が入手可能となっています(Mac OS X版 dmg 約89.7MB。バイナリとソースコードには、ライセンスとしてGPLv2(GNU General Public License Version 2)が適用されています)。

Ver. 5.1を対象としたメンテナンスアップデートとして位置付けられている当版では、バグフィックス、セキュリティアップデート、パフォーマンス改善等が行われており、前版(「5.1.10 Build 112026」)からの主な変更点として、以下の項目等が示されています。

  • KVMインターフェイスにて準仮想化を有効化した場合に、一部のLinuxゲストにて発生し得た Guru Meditationに相当する深刻なエラー(VERR_IEM_ASPECT_NOT_IMPLEMENTED)を修正(「5.1.0 Build 108711」におけるリグレッション)
  • 一部特定状況下にて発生し得た、Guru Meditationに相当する深刻なエラー(VERR_VMX_UNABLE_TO_START_VM)を修正
  • GUI関連の改善。起動後間もない状態で仮想マシンを終了させた場合に、一部特定状況下にてGUIクライアント(Oracle VM VirtualBox Manager(Oracle VM VirtualBoxマネージャ))がクラッシュするケースが確認されていた問題を修正
  • Mac OS Xホストにおける一部特定のキーボードにて発生し得た、キャプチャリングに関する問題を修正(「5.1.0 Build 108711」におけるリグレッション)
  • Seamless(シームレス)モード実行時に ゲストOSのウインドウをドラッグにてリサイズした場合に、当該機能が適切に動作しないケースが確認されていた問題を修正(X11ホストにおいてのみ発生し得た問題)
  • 新版の検出を通知するダイアログが、仮想アプライアンスのインポートダイアログに覆い隠されていた問題を修正(Mac OS Xホストにおいてのみ発生し得た問題)
  • ストレージ関連の修正。Linux(ゲストOS)において「rmmod nvme」「modprobe nvme」を実行した場合に、NVMe(NVM Express(Non-Volatile Memory Express))のリセット処理が適切に実行されないケースが確認されていた問題を修正
  • NVMeコントローラを有効化した仮想マシンの実行時に発生し得た、スナップショットの作成に関連した問題を修正
  • LsiLogic SCSIコントローラに関連して発生し得た問題を修正
  • Intel e1000ネットワークドライバ関連の改善。ケーブルの接続を解除した場合に発生し得た問題を修正(Mac OS Xゲストにおいてのみ発生し得た問題。「5.1.10 Build 112026」におけるリグレッション)
  • 「TX unit hang」に関連して、ネットワークインターフェイスが適切に機能しないケースが確認されていた問題を修正(Linuxゲストにおいてのみ発生し得た問題。「5.1.10 Build 112026」におけるリグレッション)
  • パラレルポート関連の改善。Windowsホストにおけるポートエニュメレーションを修正
  • API関連の改善。仮想マシン名のサニタイズを行った場合に、クラッシュするケースが確認されていた問題を修正
  • 「Linux Kernel 2.6.18」を採用するホストOSにおいて、I/Oの高負荷時に非同期I/Oを自動的に無効化する機能が有効化されていた場合に、この機能がkernel oopsのトリガーと成り得ていた問題を修正
  • 「Linux Kernel 2.6.28」において発生し得た、コンパイル関連の問題を修正(Linuxホスト、Linuxゲスト)
  • 「Linux Kernel 4.9」において発生し得た、コンパイル関連の問題を修正(Linuxホスト)
  • ゲストOS拡張機能「Guest Additions」関連の改善。3Dグラフィックスを動作させるために手動インストールを要求する 比較的古いLinuxゲスト(「Debian 7」等)を利用する場合に、既知のバグが警告表示されるべくした変更を適用
  • 「Linux Kernel 4.10」以降にて、グラフィックスドライバをビルドできないケースが確認されていた問題を修正(Linux Additions)
  • ディスプレイドライバモデル「WDDM(Windows Display Driver Model)」において、Windows Additionsがクラッシュするケースが確認されていた問題を修正
  • 種々のパフォーマンス向上等を齎すべくしたハイパーバイザの最適化
  • And many others…

その他にもOracleからは、米国時間2016年11月23日付にて 旧版(Ver. 5.0)を対象としたアップデートリリースに相当する「VirtualBox 5.0.30 Build 112061」もリリースされ、OS Xホスト、Windowsホストにおいて確認されていた、幾つかのNAT関連のリグレッションの修正等が行われています。

尚、VirtualBoxでは現在、年末年始に合わせて、期間限定のオリジナルのスタートアップスプラッシュが表示されています。

VirtualBoxの起動画面
↑VirtualBoxより、メリークリスマス and ハッピーニューイヤー!(クリックで拡大表示します)